今日の一冊

2019.05.09
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####武田百合子『犬が星見た ロシア旅行』(中央公論新社)
2018年5月9日
夜、『犬が星見た』を読み始める。のっけからいい。
昭和四十四年六月十日 晴 朝七時半、毎日新聞社の高瀬さんが迎えにきて下さる。玄関に入ってきた高瀬さんの喉のところには、ちり紙をちぎって貼りつけてある。三ヶ所貼りつけてあって血がにじんでいる。貼りつけてないところにも点々と血がにじみ出てかたまっている。高瀬さんの自宅は遠いので、遅れるといけないから昨夜は本郷の知合に泊ったのだという。今朝あわてて顔と喉を剃って血が出てしまったのだろう。ワイシャツの襟にも血がとんでいる。七時四十五分に出る。横浜大桟橋に九時十五分前に着く。
武田百合子『犬が星見た ロシア旅行』(中央公論新社)p.5
夫婦のやりとりも、やっぱりいい。いとおしい気持ちになる。
「百合子。面白いか? 嬉しいか?」ビールを飲みながら主人が訊く。 「面白くも嬉しくもまだない。だんだん嬉しくなると思う」と答える。
同前 p.9
五時からサロンで映画会。私は眠りたいので行きたくないが「一緒に行こう。一緒に行こう」と主人が誘う。 「きっと文化映画だよ。タメになる映画だよ。眠いから行きたくない」と言うと、 「さっき船に乗ったばかりの癖に、もうバカにする。そんなこっちゃいかんぞ。何でもバカにしてはいけない」とにらむ。
同前 p.10
しばらく読むと、「あそうだ」と思い出し、友人に教わったとおり、パッケージ通販でいろいろなもののサンプルを取り寄せることをした。本当にいろいろなものが売っているのだなあ、と思った。そのあと、シーラーについて調べた。シーラー。いろいろとあり、どれならいいのだろうか、なんかめっちゃ高いけど……と思ったりしていろいろ検索していたらコーヒー屋さんのブログにたどり着き、これでいけますよ、という記事が書かれていた。安いやつだった。こういうのはものすごく助かる。助かるし、最悪、というかいつでも、と思っていたけれど、友人に聞けばいいと思っていたけれど、知っている人に教わればいい、というのが僕のスタンスだから、それでよかったのだけど、知っている人がどこにいるのかわからない、という状況はいくらでもあって、そういうとき、本当に困るよな、ということを思った、情報というものには、価値があるよな、というような。
そのあとは、これも教わったものだ、アスクルでいくつかのものを買った。アスクル、僕は名刺を作ったりするのに何度か使っていると思っていたら登録した痕跡がどこにもなかった。よく見ると、名刺を作っているのはラクスルだった、アスクルとラクスルがある、ということはこれまでどうやら考えたこともなかった。
それにしても、なんというか思うのは、お店屋さんごっこ、という言葉を思うことはしばしばあって、今日もそう思った。お店屋さんごっこ、それは、楽しい。
一日、なんとなく気分が明るかった。
寝る前、武田百合子。
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