今日の一冊

2019.12.13
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####『すばる 2019年1月号』(集英社)
2018年12月13日
3時半。2時半過ぎにおひとり来られ、よかった。『すばる』を読んでいる。古井由吉のインタビューを読んでいたら古井由吉を猛烈に読みたくなった。以前人に教わったのはなんだったか、読書メーターをさかのぼって見てみたところ『野川』だった、古井由吉ならまずは『野川』だよ、という『野川』だったはずだ、読みたい、朝は、今日は猛烈に読みたくなったのは『日本語組版入門 その構造とアルゴリズム』という本だった、何を知りたいのかわからないというか知ってどうしたいのかがわからないが、読みたくなった。
それから野村由芽、柴崎友香、滝口悠生と、インタビュー、ルポルタージュ、ルポルタージュと読んでいき、次の山崎ナオコーラのルポルタージュコーナーだがインタビューでもあった、HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEの店長の花田菜々子さんへのインタビューで、読んだ、最後、震えた。
山崎「花田さん個人の野望についてお聞きしてもいいですか?」 花田「先ほど言い忘れましたが、本がヒットしてとてもよかったことは、まとまったお金が手に入ったことです。書店員として普通に働いているだけでは、貯金をしたり、開業資金をためることは無理だとあきらめていました。それは職業上の理由だけでなく、貯金ができない性格上の問題もありますが……。ところが大金が手に入ると気づいたとき、自然と『自分の店をやるためのお金ができた』と思い、そこではじめて『どうも自分は、お金があったら自分のお店をやりたかったらしい』と知ることができました。今すぐではないですが、店をやるのではないかなと思います。そしてそれがゴールとも思えず、今回の『本を書く』という一件のように、いつも意外な出来事に直面して思わぬ方向に流れながら生きていきたいです。帰る場所や、一生を添い遂げる相手や、将来の約束、安定した生活がほしいとはやっぱりどうしても思えません。でも何年か後にはそういう気持ちになっていても面白いし、自由に泳ぐように生きていると感じられる時がいちばん幸せです。本のヒットは客観的に考えてまぐれだし、一発屋になれただけで十分幸せです。作家としてやっていくという覚悟や信念は今はないです。本屋として働く日々のことや、新しい家族のあり方などについて、次の本を書き始めてはいますが、その山を乗り越えたときにまたその場所から考えたいです」 『すばる 2019年1月号』(集英社)p.63
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