今日の一冊

2019.11.29
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####オオヤミノル『珈琲の建設』(誠光社)
2017年11月29日
『珈琲の建設』は面白かった、パドラーズコーヒーのことを次のように言っているのがああ、そうだなあ、そういうことだなあ、と思った。パドラーズコーヒーは明るい健やかな顔をしながら強い芯のある感じがして僕はいつ行っても気持ちがよかった。
「消費者のあり方に憂いて新しいデザインをぶちかましたかっこいい人達」ではなくて、「もうお客さんのあり方には憂うことはないし、そのまま来てくれたらいいんだけどこっちは揺るがないよ。ということはお客さんがその店のデザインに組み込まれるよね」っていう安定感があるんだよね。だから見かけは今時のカフェだけど本質はいい喫茶店と同じ。 オオヤミノル『珈琲の建設』p.18(誠光社) 
それからオオヤコーヒーのコーヒーの味についての説明が面白かった、飲みたくなった。
良い意味で言うと軽いし、悪い意味で言えば没個性的。膨らまないし、カップから上がる香りがほぼ無い。料理が出てきた時に鼻から匂いが入ってくるっていうのがあんまり好きじゃないの。いい気分がしないというか。ぱっと蓋を開けたらふわっと出汁の匂いが漂ってくるようなお吸い物とか、だいたいそういうものって冷めたら生臭くなるんだけど。口にしてから匂いが戻ってくるような、京都で言うところの「はんなり」という味があって、あっさりでもなく、薄いでもなく、「はんなり」としかいいようのない味なんだけど、それをコーヒーで表現するためには今自分の知っている限りでは鼻に入ってくる香りを抑えることしかない。「はんなり味」は器から鼻へ来る風味と反比例するから。 オオヤミノル『珈琲の建設』p.68(誠光社)
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