##11月17日(日)
朝、百均でのこぎりを買って昨日見つけたちょうどよすぎる板を切った、やりづらく苦戦したが結果としては上手に切れた、入り口の扉の隙間風をどうにかできないかと昨日の夜に思案していて去年は扉につけるふさふさがついた隙間風ストッパーを使ったが外れて、外れるし扉の前のところは下手な工事だったのだろう、平らでなく隆起している箇所があってぴったりつけるとすごくこすれて開閉のたびにこすれる音がしてベストではなかった。受ける側でどうにかできないか、と思って、なにかぴったり受けられたら風が入らない。板、ちょうどいい板、ないか、と思ったらバカみたいにちょうどいい板があって幅も奥行きも完璧で、開閉の軸側のところでこちらにせり出してくるからその部分だけ切ったらそのままぴったりはまるものだった、だからそうした。それでそれを置いたら上出来だと思った。あとはサイドというか縦の線というか、そこにもなにか受けをつけられないか。ゴムみたいな、なにかそういうのがいいだろうか、なにかちょうどいいものはないか。
店を開けてお客さんがとんとんと来られるとわかったのがそのぴったり板によって扉が閉まるときにバタンと鳴るようになったということで、一息には行かないものだった、静かに閉めたら大丈夫だが開けてそのまま手放してで閉まるとバタン、と鳴る。勢い、と思い、つまり、と思い検索をするとそれはドアクローザーという名前でいわゆるあのあれだった。しかしいろいろとあるようで何を選んだらこの扉でできるのかさっぱりわからなかった。
店はなかなか忙しくなり今日は一人だった、わたわたぱたぱたと働いているとうれしさがこみ上げてきて、よかった、忙しくあってほしい。昨日マキノさんと話しているときに「なんか4月までは俺の中では過渡期というか、人件費でどのみち赤字だしなんか地ならしというか、売上がしょぼくてもそこはもうなんか春まではそれでも別に構いはしないんだけどさ」と言っていて頭の半分ではそう思っているが残りの半分は口だけみたいなところがありやはり忙しいのはうれしいものだった。夕方から人が減っていって夜はまたぱったりと止まって、夜になったら人が来る気がもうしなかった。なんなんだろうか、と思いながら、『ドラフト最下位』を読んでいた。最初の句点はたぶん誤植。長谷川潤は1991年。いい誤植。
長谷川潤は1991年。東京・府中市に4人兄弟の末っ子として生を受けた。兄弟の影響で野球をはじめると、3人の兄がそうであるように投手になった。ちなみに長兄がアンダースローだったことで「ピッチャーはそういうもんだと思っていた」と、兄弟全員が横か下手投げになっていたという。
村瀬秀信『ドラフト最下位』(KADOKAWA)p.300
笑った。笑っても昨日ほどは顔がヒリヒリしていなかった。化粧水と乳液の上にワセリンだったものを昨夜は「ヒリヒリには即効性を」との思いからちょんちょんと最初にステロイドを塗ったのが功を奏したのかもわからなかった、今日もそうしようと思いながら閉店時間を迎え算段していたとおり豚肉とピーマンの花椒炒めみたいなものをつくって味が濃かった、少し口のまわりがヒリヒリした、『Number』を読みながら食った、阿部慎之助、稲葉篤紀。帰宅後、小島信夫。
「啓一、自転車で怪我をしたときのことをおぼえている? 習いはじめのとき坂の上から啓一を自転車にのせて押し出したから、溝へ転がりこんで怪我をしたが、大したことはなかった。啓一はすぐ乗れるようになった。坂からとばしてきたバイクにぶつかったときは、啓一はお父さんの腕の中で、瀕死の鶏みたいだった。いく針も縫った」
永造は小さいゴツゴツした身体の息子が眼を閉じて、自分に抱えられている感触を思い出した。橋の上をかけて通るとき、ここから投げこんだら、とふと思った。そのとき優しい気持がなかったわけではない。
永造は息子を見た。優しい気分になった。
小島信夫『別れる理由 Ⅰ』(講談社)p.214
心理状態の予断の許されなさ油断のできなさもずっとおもしろいし登場人物の描かれ方にも不安定なおもしろさがある気が今日はして京子ってこんな話し方こんな態度でここまで描かれていたっけ、と思ったり、百合子がモデルをやっているということは事前に言われていたっけ、というところもそうで風呂上がりだけでなく電気を消したあとつまり眠る直前にも乳液で顔を包みこんだ。
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##この週に読んだり買ったりした本
『Number 989「ホークス日本一の組織学。」』(文藝春秋)
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滝口悠生「全然」『新潮 2019年 11月号』(新潮社)
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山縣太一、大谷能生『身体(ことば)と言葉(からだ) 舞台に立つために・山縣太一の演劇メソッド』(新曜社)
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村瀬秀信『ドラフト最下位』(KADOKAWA)
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