読書の日記(12/16-22)

2024.12.27
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抜粋

12月16日(月) 

早めに動き出して味噌汁とショートブレッドを仕込み、朝ごはんはカレーになった。すこぶる暇な月曜日となって12月のフヅクエが暇すぎる。誰もいない時間が長く続いた。心細い気持ちが強まっていくのを感じる。心細い。人はひとりでいるよりも人といるほうが心細さを感じやすいと思っているが、ひとりはひとりで心細い。心細さから逃れる術なんてないのかもしれない。心細く、そして惨めだった。半端な形のショートブレッドを食べようとつまんだら指からすり抜け、床に落ちたショートブレッドを見、「わあもったいない」という気の抜けた声が自分から出て、その声が自分の惨めさを増長させそうな気配があって「やばいやばいやばいやばい」と言ってかき消した。

12月17日(火) 

今日も今日とて暇で、敷野くんと交代すると座してお客さんを待った。するとちらほらとお客さんがあってよかった。12月はひどい数字になりそうだった。

12月18日(水) 

悪夢の更新を目の当たりにして興奮すると布団に入って買収取引の中で起きた訴訟でツイッター側の前面に立っていたガッデさんとマスクが意外なことに和やかなミーティングをおこなったとのこと。
2人は、アグラワルが進めているコンテンツ・ポリシーの改良計画「プロジェクト・サターン」について話した。ガッデは、ツイッターユーザーのための政府による検閲回避支援策として、スペースXが提供する人工衛星を使ったインターネットサービス「スターリンク(Starlink)」を活用する案についてマスクに質問した。さらに、テスラが上海に工場を持つ中国での利害衝突の可能性についてこれまで検討したことがあるかとたずねた。テスラの中国ビジネスを人質に、中国政府がツイッターオーナーとしてのマスクに圧力をかけてくることがあり得るのではないかと考えられていたのだ。ガッデのチームメンバーの中には、マスクとのミーティングを明るい兆しだと受け止める向きもあった。少なくとも、スムーズな移行をサポートするためにガッデはツイッターに残るつもりなのだろう、と。
その日の午後、太平洋時間4時、マスクは440億ドルでのツイッター買収手続きを正式に完了させた。その瞬間、ガッデは解雇された。 カート・ワグナー『TwitterからXへ 世界から青い鳥が消えた日 ジャック・ドーシーからイーロン・マスクへ、炎上投稿、黒字化、買収をめぐる成功と失敗のすべて』(鈴木ファストアーベント理恵訳、翔泳社)p.305
さらに数人の幹部が即解雇された。さらに会社都合での解雇ではなく正当な事由に基づく懲戒解雇として報酬を支払わなくていいようにした。金がほしければ裁判を起こせと。さらに法務チームに、彼らのあらゆる通信記録を保存するよう指示を出した。裁判になったときに使える過失を探すために。ぎょえ〜、だった。

12月19日(木) 

スーパーに寄って今晩のお粥の材料を買って帰宅し、Miroに戻り、できていった。しかしこれで開発の優先順位をつけようとするとNotionのタスクと同じで、ただの決め打ちにしかならないように感じた。僕はユーザーによる本の作成とブックリスト作成機能を早くつくりたくて仕方がないようだ。何か違和感を覚えつつはんぞーを招待し、お粥をつくり始めたのは1時とかだった。鶏肉と大根と長ネギと小松菜としめじとニンニク、牛脂入り。お粥ができるまでは遊ちゃんがお土産に買ってきてくれた輪島のビールを飲んでおいしかった。輪島朝市ビール。はんぞーがすぐに見てくれて、ユーザーが何をきっかけにアプリに戻ってきて、というのが考えられるといいかも、と言ってくれてわかったというか、僕がつくったやつはけっきょく機能カタログみたいになっていて時間が流れていないんだ。これは切り口を大きく変えないと、と思って、大事なことだが、開発が進まない、開発を進めるために、大事だ、そのあいだでグラグラと不安定な心地になった。

12月20日(金) 

夕方になると家を出、時間に余裕があったのでくまざわ書店に寄って『新潮』ゲット。保坂和志の短編読みたさだったが表紙を見ると滝口悠生の短編もあるようでうれしい。保坂さんの胡蝶のやつもずっと読みたいのだが本にはなかなかしないのだろう。そして文芸誌、と考える。文芸誌に著者情報を加えたり、作品名を加えたり、そういうことができてもよさそうというか、できると気持ちいいというか、僕のこれまで取ってきた読書記録だとそうなっていて、保坂和志「死んだ友達」『新潮 2025年1月号』(新潮社)みたいになっていて、この感じをできるといいのですが。と考えながら出勤。

12月21日(土) 

夕方に家を出、風が強いことに次第に気づいていった。コロコロと乾いた軽い音がして、見ると銀色のオーナメントが転がっていた。ひとつふたつでは済まない数だった。それが風に押されて地面を転がっていた。少し行くとピッツェリアの前のクリスマスツリーが倒れていて、その横でお店の人がお客さんと談笑していた。倒れたクリスマスツリーを気にするフェーズはすでに過ぎていたのか、そんなものはないかのような雰囲気だった。

12月22日(日) 

夕飯はオーブン焼き。鶏肉、キャベツ、人参、大根、長ネギ、ズッキーニ。35分焼き、大根を食べるともう少し焼いたらもっとおいしくなりそう、と思ったため全体的にひっくり返してあと10分焼いた。食べながらはパレスとアーセナル。ジェズスがゴールを決めてうれしかった。パレスがハイプレスで元気だった。

今週言及した本

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