####エリック・ホッファー『波止場日記 —— 労働と思索』(田中淳訳、みすず書房)
2017年11月10日
家に帰れば暗い情けない弱い気持ちは、シャワーを浴びれば、布団に入れば、だいたい消えるもので、『波止場日記』は二日目にして一気に心地いいものになった、なんとなく勝手にイギリス人だと思っていたらアメリカ、カリフォルニアの人ということだった。
七月九日
リリーおよび息子と数時間楽しくすごした。息子の成長は早く、もう道理をわきまえてきた。冷凍のボイスンベリータートをとてもおいしそうに食べていたが、きちんとした食べ方をする——まずプレートの上のベリーにとりかかり、それをたいらげてからタートにとりくんだ——のを初めて目にした。私は、食べ物や飲み物と同じように彼との交渉を味わっている。リリーは相変わらずで、具合の悪いことは何も起こりそうにない。私たちのすることはすべて適切であり、言うことすべてに意味があり、見るものすべてが忘れがたい。
エリック・ホッファー『波止場日記 —— 労働と思索』(田中淳訳、みすず書房)p.31,32
私たちのすることはすべて適切であり、言うことすべてに意味があり、見るものすべてが忘れがたい。すごい。すごいフレーズに出会った。
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