今日の一冊

2019.05.13
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####アンディ・ウィアー『アルテミス(上)』(小野田和子訳、早川書房)
2018年5月13日
11時前に最後の方が帰られ、片付けが済んだら餃子を食いにいくか、と思いながら洗い物をしていたところお一人来られ、12時までですけど大丈夫です? と尋ねると大丈夫とのことで、座ると、こちらを向いてわりと話し始めた。聞くと、すぐ向かいのマンションに住んでいる方で、朝は出勤前に犬の散歩をするとの由。この週末は奥さんがどこかに行っていて、暇なので飲み歩いているとの由。少しろれつが回りきらなかったりしながら、アウトドアブランドの話を教わった。登山をする人とのこと。ノースフェイスのレインウェアを最近買った。今日もそれを着て夕方、犬の散歩をした。犬は散歩をしないとおしっこをしないので、しないといけない。マンションは、体高50cmまでの犬は飼っていいことになっている。1匹まで。飼っている犬はちょうど50cm。マンションは分譲。フルリノベーション。勤務先は徒歩圏内。これは偶然。本社は品川のほう。出向先が今ちょうど徒歩圏内。出向先の会社で顧客管理システムのデータベースのどうこう。バグがたくさん発生。大仕事。
僕は厨房の中の、シンクの前のあたりに立って、洗い物をゆっくり静かにやったり、食器を拭いたりしながら話していた。お客さんと話すことがあってもそれは帰り際に扉の外で、ということがほとんどで、こういう、まるでカウンターの店みたいな感じでお客さんと話すことはまずないことで、不思議な感じ、と思った。それに、なるほど、カウンターの店だとこういうふうに、特にこちらから水を向けなくても、自分の話をし始める人というのが、本当にいるもんなんだな、と思った。
12時過ぎに帰られたので店を出、餃子屋さんに行き、ご飯大盛りとビールと餃子を2枚とつまみをいくつかお願いし、それで『アルテミス』を開いた、ビールを少し飲むと、なんだか朦朧とした気分になった、溜まった疲れが今、どんどんあふれようとしている。みたいな感じがあった。それで『アルテミス』を少し読み、読むと、月で、帯には「今度は月だ!」とある、月で、そこには町がいくつかあって、暮らしがあって、富裕な人ももちろんたくさんいるが、それを支える労働者階級がいて、語り手のジャズという女性はそういう一人で、カプセルホテルみたいな部屋で暮らしている、その女性が語る。そういう語りが始まり、ほお、と思いながら読み始めた。店は2時閉店で、入った12時40分くらいにはもう完全な片付けモードで、カウンターのほとんどの席は片付けのためにいろいろ使われていて、僕は空いたところに座っていた、どんどん、片付けの圧が高まっていって、最後の一人になり、なんだか居づらい気にもなったし、まあ、帰ろう、と思ってわりとすぐに帰った。
シャワーを浴び、ウイスキーと水をグラスに注ぎ、ポテチを開き、読書を再開した、わりとすぐに朦朧となって、歯磨きをし、布団に移り、読書を再開した、わりとすぐに朦朧となって、知らないあいだに寝ていた、朝起きると、おかしな曲がり方をした本が枕の下から出てきて、悲しい心地になった。
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