####鴻池留衣『ジャップ・ン・ロール・ヒーロー』(新潮社)
ダンチュラ・デオというバンドに関しての小説のようでそのメインメンバーである喜三郎のことを読んでいると何度もチラチラと滝口悠生の『高架線』のバンドをやっていた青年のことが思いだされて、それはバンドをやっていたというところでなのか、長髪というところでなのか、散らかった畳の部屋というところでなのか、畳は記憶違いか、ミステリアスなところのある感じというところでなのか、いろいろありそうだがそれよりもこの小説を滝口さんのツイッターで見かけて知ってそれで読んでみたくなって買ったからというのが一番のところだろう。ツイッターで見かけて、トークイベントがあるということで、なにやら「構造がややこしくてもう大変」ということで、それで読んでみたくなって買ったはいいがいっこうに開かれる気配がないまましばらく家のテーブルに置いてあったそれが昨日ふいに、「あ」と思って読み出されて面白くて今は本を開くならこれを開くというふうになっていていつどういうところでスイッチが入るのかというのはわからないものだから買っておくというのは大切なことなのかもしれない。
それで『高架線』のバンドをやっていた、彼は、なんという名だったか、と思って僕はいつもその友人の歩くんと混同するところがあって「歩はその友人だよな、ええと」と確認したら片川三郎ということでだから「三郎」で、喜三郎のことを読んでいてチラチラと思いだされるというのはまるで故のないことではなかったどころかたくさんの故があったということだった。
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