今日の一冊

2019.03.20
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####マリオ・バルガス・ジョサ『マイタの物語』(寺尾隆吉訳、水声社)
2018年3月20日
あとがきに至るまでもなく昨夜未明、キューバ・ソ連・ボリビア共産主義連合軍がペルー領土を侵犯。これを受けてアメリカに援軍の派遣を要請した。昨日見た『ラテン・アメリカを知る辞典』にはそんなことは書かれていなかったし、聞いたこともないし、さすがにこれは起こったことではないのだろう、ということが知れた。
遅くまで起きていたところ遅くに起きた。ちょっと呆れるくらいに遅かった。人参のラペを作ることにして人参をラペにして、塩を振ってしばらく置いて、絞ってオリーブオイルとお酢と砂糖と醤油と胡椒と、ミックスナッツを細かく砕いたやつを混ぜた。それで昨日のカレーをまた食べた。また高い満足感があった。
食べながら、そして食べたあとも、『マイタの物語』を読んでいた。現在と過去を細かく行き来しながら、物語は確かに、グルーヴィーに進んでいった。現在のペルーは無茶苦茶なことになっているようだった、共産主義連合軍からも米軍からも爆撃されているような感じだった。国民はどちらに対しても反目しているらしかった。過去、1950年代、ペルー山間部でマイタたちは革命闘争を開始した。
残る者たちの先頭に立った後にバジェホスが下した命令を聞いて、マイタは鳥肌の立つ思いを味わった。《全体、前へ進め!》武器を構えたまま石畳の通りを広場に向かって行進する四人の大人と五人の学生、この正体不明の奇妙な集団は周りに当惑を引き起こさずにはいなかったことだろう。人目を引き、歩道を進む人々の動きを止め、窓辺や戸口に集まる人々の眉を顰めさせたことだろう。この行進を見てハウハの人々はどう思ったのだろう?
マリオ・バルガス・ジョサ『マイタの物語』(寺尾隆吉訳、水声社)p.234
「せんとう」と打ったらまず「銭湯」と出てきて、銭湯に行きたいと思った。ともあれこの、憫笑を誘うような小さな革命戦士たちの行進の様子に、なにかグッときたというか、小説、と思った。 あと少しで読み終わりそうだった、夕方、驚いたことに、笑ったことに、強い眠気に見舞われた。時間がなかったので眠らずに店に行った、バトンタッチのひきちゃんと外で話しながら、やたら眠いんだよね、たくさん寝たのに、ということを話したら、春だからですかね、と返ってきて、そうか、春だからか、と合点がいき、眠いのでいいと思うことにした、すでに眠気はなくなっていた。それから働きながら、春眠暁を覚えずというのは「春、眠い、朝起きられない」という意味か、と考えていた、ひたすら眠い、ということになったとき、柴崎友香の短編を思い出す、覚えているのは主人公が眠いということと、それを大学の先生かなにかに話している、というその場面だった。研究室かなにかで話している。その研究室は僕は自分の大学のゼミの部屋で思い描いている。考えてみたら、『10:04』で主人公が調子の狂った学生と話すときの場面も、同じ部屋で思い描いていた。
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