三浦哲哉『食べたくなる本』(みすず書房)

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5月11日(月)
コンビニで鶏肉と大根の煮物、らっきょうの漬物を買ってセブンはすごい、コンビニはすごい、と思う。今までこういう出来合いのものを買うことに対して抵抗があったしそもそも選択肢になったことがなかったけれどなんの抵抗もない自分を見つける。
シャワーを浴び、ビールを飲み、ご飯、納豆、煮物、らっきょう、それで夕飯。おいしい。バクバク食べる。珍しいコンビニ飯というそういう食事の日に読み始めるのが『食べたくなる本』というのも変な取り合わせというかもしかしたらちょうどいい取り合わせで食事について考える契機だったのかもしれない、ウイスキーを飲みながら、それから柿ピーをつまみながら。
他人がなにをどう作りどう食べているかを知ると、とうぜんながら、「おいしい」のかたちが千差万別であることにしみじみと思いいたる。そして、自分がふだん「おいしい」とか「おいしくない」という場合のその基準など、この世界に存在する無数の基準のなかのほんの一つにすぎないということに気づかされる。そのことを貴重だと思う。なにか、肩の荷をおろしたような、ほっとする気分にさえなる。それはつまり、自分が抜き差しがたく囚われている「習慣」の狭さに気づき、それを相対化し、ほんの少しだけ、その囚われから解放されるきっかけを与えてくれるからではないか。これも料理の本を読む理由と言えるだろう。いろいろな「おいしい」を知って身軽になること、優しくなること。 三浦哲哉『食べたくなる本』(みすず書房)p.8
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