1月は大好きチリ人のロベルト・ボラーニョの『ムッシュー・パン』が出る模様なのでそれやって2月は昨日『かなわない』読み終えて激烈に凄かったので植本一子の新しいやつ『家族最後の日』でやろうかなーと思っているんですが
ていうのだけではないやり方をいい加減考えないとなー、ということが以下書かれる予定なんですけど。
10月にはじめた「
会話のない読書会」は、ここまで5回やって、とてもいい。非常にいい。
同じ空間に集った人たちが同じ本を読んでいる。それぞれの眼前なり脳裏なりに本のなかの世界が開けている、のが人数分ある。フヅクエという場所で、所定の一冊の世界が一枚あたらしいレイヤーとして横たわっていて、でもそれぞれ認識している景色は少しずつ違っていて、というこの入り組んだ宇宙、という感じの読書会、「コズミック・グルーヴ」がコンセプトですけど、それは嘘ですけど、ともあれ、いい。
Eのだけど、だけど、ここまでのところ5回、アンソニー・ムーア、保坂和志、夢の本屋ガイド、ジョン・ファンテ、レイナルド・アレナス、それでぼんやり予定しているのがボラーニョと植本一子でしょ、なんていうかこれ、僕のチョイスだけなんですよねーというのがすごい退屈というか、これはこれでもちろんいいのだけど、これだけだとなーというところがあって。狭くて。
夢の本屋ガイドだけ選定のあれが違くて「原稿書かせていただきましたーなのでそれもあってやりますのでーーー」なんですけど、それ以外はどれも「俺これ読みたいなーって思ってたやつなんですよねー俺これ読むの楽しみなんですよねー同じくそう思う人どうぞ集まってーーー」みたいな、そういうやつで、僕が僕の嗜好で選んでいる以上僕の外には出ない。なので狭い。とてもマニアックだというわけでもないけれど、ある種の何かにはどうしてもなってしまっている感じがする。
たとえば僕は推理小説ってほとんど読まないのだけど、あるいはSFってめったに読まないのだけど、あるいは、あるいは、あるいは、というので、僕では拾えない本ばかりがこの世界には溢れている。これ由々しい。
由々しい。というのも、これが同じ形のただ読むだけという読書会が津々浦々で開催されているような状況であれば、フヅクエは「じゃあ僕好きだしうちはラテンアメリカとか海外の小説を中心に担いますね、というか僕の趣味でどんどこやりますね」みたいなこともありかもしれないけれど、でもこんな読書会ってたぶんほとんどやっていなくて、そしてこの形の読書会を気持ちよく開催できる場所というのがそもそもとても限られている。フヅクエはその最適解の一つで、他の場所でやったとしても、席の配置や構造からして一人向けに作られていないところがほとんどなので、そんなにいいことにはならない気がする。だからフヅクエが最適解、というわりと強い自負みたいなのがある。
だから、フヅクエのこの読書会は、僕の嗜好という狭い範囲の中だけでおこなわれるのではなく、もっとたくさんの人に向けて開かれなければならない、というかそっちの方が楽しい、と僕は思っている。
そもそもフヅクエという店自体が、「こんな嗜好の人間がやっている店なんですよ、どやどや〜??」ということをしたい店ではなく、「ゆっくり気兼ねなく本を読める場所ってマジでいいよ」という、「本をゆっくり読みたい人」全般に広く開かれた店としてやっているので、読書会もそれに従ってそうあるべきだと、そう思っている。「俺が選んだこの本、ええやろ〜??どやどや〜〜??」ではなく「みんなで集まって同じ本を黙々と読むだけの時間ってなんかおかしいグルーヴあってマジでいいよ」を。今のままではこぼれる対象が大きすぎる。
これは、実は第1回をやる前から思っていたことで、第1回面白かったら何回もやろうと思っていたのだけど第1回やる前から面白いに決まっているから何回もやろうと決めていてだからこの先どうやってやっていこうかなーというのを考えていた。
で、だから、僕では拾えない本をどうやって取り入れるかという話で、どうやっていこうかなというのを考え続けていたのだけど、最近なんか考えるのさぼっちゃっているのだけど、なんとなく年内のやつは終わったしここらで何か書いておこうというので書いているだけなのだけど、だから、どういう形にしたら気持ちの悪くない感じでやれるかなーというのを、考えているというかちゃんと考えなきゃなというところですね。(と言いながらやりたい本はとんとんと出てくるものでとりあえず次とその次の予定は決めているので考え切らないまま続けちゃう可能性もあるのだけど)
なんとなく半分は僕チョイスでやってもいいというかやったほうがいい気もするなせっかくフヅクエだしみたいな、結局そういう意識はあるのだけど、だから月2回やることにして月1はこれまでみたいに「俺これ読みたい」な本で、もう月1を例えば、なんだろうな、すごい広範な知識のある方にお願いして月1チョイスしてもらうとか、あるいは誰か本好きそうな人に声かけてその人に「最近読んで面白かった本」であるとか「もうなんといってもこの一冊」みたいなやつを選んでもらって、それでその人が本好きそうな知り合いにリレーしてみたいなテレフォンショッキング形式でやるとか、あるいはなにか本の雑誌たとえばダヴィンチとかの何かのランキング1位の本でやるとか、あるいは最近の新聞の書評で紹介された本の中からやるとか、やりようはいろいろあるはずで、まあなんか、考えているようで考えていない、けっきょく何も言っていない、という話でした。
なんか妙案とか提案とかあったらお声掛けしてくださるとすごい傾聴しそうな気がするのであれしてみてください。
photo : sachiko saito