ゴールデンウィークがやっと終わったら雨が降っている。去年のゴールデンウィークはかなり暇で、いま調べてみたところ「かなり暇です」ということが2回にわたって書かれていた(
これと
これ)。よほど暇だったのだろうし、去年の経理のデータを見ても他の週末よりもずっと暇そうだった。
上記の暇報告記事のなかで「今年でゴールデンウィ~クは暇ということがわかったので来年は何かどうかするかもしれないし、「いや去年は暇だったけど、今年は忙しくなるんじゃないか?」とかバカなこと思ってまた同じようにするかもしれないし」とも書かれていたのだけど、まさに、というところで「今年は忙しくなるんじゃないか?」とかバカなこと思ってまた同じようにしたのが今年だったのだけど、前半はわりと調子よくて、後半はどんどん尻すぼんでいった。昨日とかはずっとぽけーっと放心した顔で天井を見上げながら開いた口の端からよだれが垂れるのをときおり感知して勢いよく音を立てて吸い込んで嚥下して、また天井を見上げ口を開け、を繰り返す、ということはしていなかったものの、非常に暇だったのは確かだったので本読んだりして過ごしていた。
読んでいたのは都築響一の『ヒップホップの詩人たち』で、とても楽しい。みんないろいろやな〜おいらもがんばるやで〜と思いながらよろこんで読んでいる。
ところでKOHHというラッパーがいて、
インタビューの記事見たら「2012年に彗星のごとく現れ(…)一躍日本語ラップ界の風雲児となった」とのことで、あそんなに前から話題になってた人だったのか、僕はいつも遅い人なので去年知ったのだけど、何で知ったのか忘れたのだけど、YouTubeで初めて見たときに強烈な嫌悪感を覚えた。
もうなんかすごい嫌悪感で、「ぶええええーーーーーなんなのなんなのこれなんなのなんでこれがそんなもてはやされてるかまるで意味わからんし聞いてると寒気するわ生理的に無理無理無理ーーー」という感じだった。
ヒップホップの話をする何人かの友だちに「どうなの?」と聞いてみると「そんなに無理なんだw 俺けっこう好きだよ?」という感じがわりとあって「えーもー意味わからんしーーーどうなってんのーーーこの世界ーーー」と思ったし、ライブを見る機会が一度あったのだけどそのときもすごい人気で「えーもーぜんぜん意味わからんしーーービッチのかばんは重いとか面白いけどだからってそんなに盛り上がるのぜんぜんわからんしーーーどういうことーーーーこの世界ーーーー」と思ったし、まあとにかく、嫌悪、不愉快、そして不可解だった。
ただその一方で、自分のなかに湧き立つ嫌悪感が気に掛かったところはあって、「あるいはこれはもしかして」とも思っていた。「どっかのタイミングでころっといく可能性はあるかもなーなんせ多分いろんな人にちゃんと支持されてそうな感じもするし俺レイトマジョリティー気質あるというか要はいろいろ反応遅いし」という気もちょっとしていた。「KOHH好きになるとか今のところぜんぜん想像つかないけどー」と思いつつ。
たまにそういうことって起こっている気がして、と言ってもあまり思い浮かばないのだけど、ビョークとかかな、最初聞いた時は「えーなんかうげーーー」って思ったんだった。
あとTHA BLUE HERBもそうで、「はああああ???こんなん文句言ってるだけじゃん????MTVはポルノだ????だからいったいなんなんですかああああああ??????」みたいな。で、そのあと、特にTBHのほうは「はいほとんどこれは信仰です帰依しています」という程度に大好きというかもう好きとかそういう言葉ではとらえられないです助けられていますありがとうございます日々感謝していますといった程度にあれになって、なので、嫌悪感というのはなにかのシグナルである気すらする。と、ほんの少しだけ思っていた。
そしたら。
一週間くらい前に友だちが「kohhの新作好きです。新作ゆーても去年末でした」と言ってきて、そのときにどう思ったんだっけな、わりとすんなりと「じゃあ聞いてみよか」となって、それで聞いたところ、「あ、とうとうわたしにもその日が来たのね」ということになった。なんか音もラップもかっこいいし、うわーすごいーーーこんなこと言えちゃうのかーっていうリリックもかっこいいし、かっこいいじゃないですか、と。普通にびしびし響きますわ、と。
いやーほんと、こういうことってあるもんですよねーという話でしたという話でしたっけな。
まあなんだろうな、無関心より嫌悪感の方がよほど楽しいな、という話かな。そんな話だったかな。嫌われたくなんてないけれど、無視されるよりはまだいいのかもな、という、そんな話だったかな。忘れちゃったな。