愉快なプライシング

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フヅクエの店主席みたいな、番台みたいなところに座っている男には、どちらかと言うならば「ピンチョンとデリーロの系譜に連なるインド系イギリス作家による「越境文学」」であるところのハリ・クンズルの『民のいない神』を読んでいてもらいたい。そのように思う人の方が多いのではないか。その作家なり小説なりを知っていようが知っていまいが、棚には小説が多い感じだし、知らないけどそういうたぐいの高尚げなやつなんでしょ、というところでおさまりがつきやすいのではないか。
ちきりんの『マーケット感覚を身につけよう 「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法』を読んでいるのと比べれば、はるかに。
ということで昨日の営業中、特にやることもなくなった気がしていた時間、俺もいっちょマーケット感覚なるものを身につけるかなとか思ってちきりんのやつを読んでいた。営業中に本を読むことはあまりしないのだけど、読むとしても小説よりもこういういつ止めてもいいやっていうやつがよくて、だからくんずるではなくちきりんをチョイスした。
それで僕は呆けた顔をしながら「ほうほう」とか言って読み進めていくのだけど、要は価値の本質というかコアみたいなところをよくよく知ろう、人がいったいそのモノなりサービスなりの何に価値を見出して金を払っているのかよくよく考えよう、みたいなことなんですかね。
まあいいんだけど、それで、これから何が売れるのかがわかる人になるための5つの方法のうちの1つめのプライシングのところまで読んだのだけど、プライシングはなんというか極めてアクチュアルな問題なので、というかだったので(「フヅクエ、値段決めるってよ | fuzkue」)、なんかより強く「ほうほう」と思って読んだ。
「日本では、プライシングは売り手側の行為であり、買い手には関係がないと思っている人がいます。というのも、今の日本ではほぼすべてのモノが、売り手の決めた価格のまま取引されており、消費者が自分で値付けをする必要がほとんどないからです」(P147)
「モノやサービスの価値(もしくは、妥当な価格)は、買い手によって異なるのです。」(P151)
「売られているモノやサービスは、それ自体が固有の価値を持つわけではありません。「同じものなら、誰に対しても同じ値段で売られるべき」と考えている人は、大きな勘違いをしています。」(P153)
っていう、これ全部についてアグリーですという感じなのだけど、
(アグリーですがツボに入って激しく今その番台みたいなところでニヤニヤしている。鈴木亜久里の顔しか浮かばない。なんなんだよアグリーですってwww うるせーよwww 普通にしゃべれよwwwという。
僕の友人に一人だけ「そこまではアグリーなんだよね」とか言うやつがいて、彼は元リクルートの人なのだけど(これわざわざリクルートって書いたのは「そういう方面の人が使ってるんでしょ?」という僕の憶測があるからで、誤解だったらすいませんという感じだけど)、で、その友人と話していると僕もたまに流されて使ってしまうのだけど、というか今もわざわざ自分からその言葉選んで打ったわけだし、いつの間にか普通に使い出したりするのかな俺も、とか思うと空恐ろしいね。アクチュアルとかだって人によってはアクチュアルwww 笑止wwwみたいに見えるだろうし)
まいいや。というかもういいや。
アグリーに気を取られていたら続き書く気がなくなった(身から出た錆)
photo by 斉藤幸子