本の読める店

2015年に好きこのんだ本・映画・音楽

Entry blog fuzkue315

なんというか本年もご愛顧であるとかをいただきまことにありがとうございました。ええと、そしたら掲題通りに今年読んだ本とかの俺のベストはこれだ〜みたいなやつやります。
(なお、リンク先は言及している記事なんですが、必ずしも感想とかが書かれているわけではありません)

まず本からで、本は今年はここまでに92冊を読んだらしく、再読のやつもけっこうあったけれどそういったペースで本が増えているんだなーと思いました。来年も楽しい読書生活を送ってください。

【一番感動した一冊】
ジョン・ウィリアムズ『ストーナー
フヅクエブックスでも扱ったけれども、まあ、読んでいるあいだじゅう充実していくのが積み重なって最後にとめどなくあふれるこのあつい思い、という、最愛というか最敬礼というか最愛の一冊。ストーナーさんはマイヒーロー。

【一番エキサイティングだった一冊】
ハリ・クンズル『民のいない神
まあ次から次へとというかここからあそこへ、あそこからさらにむこうへ、という感じでダイナミックでエキサイティングな小説だった。やたら好きなのがイラク派兵予定の陸軍か空軍かの演習か何かの場面。緑色の視界。

【一番どんどん読んだ一冊】
アンディ・ウィアー『火星の人』
ほんと楽しかった。ひとり取り残された火星で「見てみて!おっぱい!」とか軽口を聞く、そんな彼はマイヒーロー。映画もすごい楽しみ。

【一番どんどん読んだ3部作】
ベン・H・ウィンタース『地上最後の刑事』『カウントダウン・シティ』『世界の終わりの七日間』
世界が終わるっていうのにいっしょけんめい仕事というか使命というかに追われる刑事さんの3部作。2作目でけっこう狂気を帯びてきたような気がしてどうなるかと思ったけれど、終わりの七日間はうつくしかった。世界が終わると知れたとき、自分は何をするだろうな、というのはこういうの読んだらきっと誰もがちらっとは思うけれど僕もちらっと思った。特に妙案はなし。

【一番よく売れた一冊】
岸政彦『断片的なものの社会学
一番感動した一冊としても挙げたいくらいだけど、というそういう好き具合が伝わったのか、伝えやすい本だったのか、よく売れた。圧倒的によく売れた。
この本にまつわるいい話を一つ。5冊ずつ仕入れさせていただいているからちょこちょこ追加をお願いすることになるのだけど、先日追加発注をおこなったところ今年最後だろうしというところで出版社の営業の方がわざわざ来てくださった(最初も来てくださった)。店始まる前の時間だったのでコーヒー飲みながらいろいろとお話をしているなかで「今年いちばん好きだった本ってなんですか」とおたずねしたところ、少しだけ考えてから「断片的ですね」と。そのあとで「でも一位って難しくて一位群だと」というので何冊か挙げていただいたのだけど、僕は真っ先に断片的を挙げるそれ聞いてなんかすごく嬉しかったんですよね。お〜!というかのろけか!みたいな。ニコニコ。という。営業職としてこんな幸せなことってあるだろうか、というか、そしてそんな幸せな商品ってあるだろうか、というか。そりゃあ売れていくわ!みたいな。愛!というか。幸せな一冊。

【一番「いいぞいいぞ!」と思った一冊】
武田砂鉄『紋切型社会』
僕自身が日々わりとあれこれに氾濫する貧相で内実のない不誠実な言葉の数々みたいなものにうんざりしているというか苛立っているというところがあるためそういうのを一枚一枚はがしてあばいて「ほーら!」とやってくれる手つきにこれすげー賞賛を送りたいわーと思いながらいいぞいいぞと思って読んだ。超たたかってるとおもった。

【一番「あ〜今まで意識したことなかったけど」だった出版社】
朝日出版社
さっきの続きという感じだけど。これまで僕は朝日出版社といったらアイデアインクの薄くてカラフルなシリーズくらいしか知らなかった気がするのだけど、今年は図ることなく何冊も読むことになった。再読したこれはそのアイデアインクのシリーズの内沼晋太郎『本の逆襲』、それから國分功一郎『暇と退屈の倫理学』、上述の『紋切型社会』と『断片的なものの社会学』、そして吉川浩満『理不尽な進化』と、どれも極めて面白くて、最後の『理不尽な進化』を買ったときにやっと「あ、また朝日出版社じゃないか!」と気づいた。今度は都築響一の『圏外編集者』を読んでみようと思う。

【一番多く読まれた作家】
柴崎友香
最新刊の『パノララ』は読んでいないのだけど、年始と年末になんでか柴崎モード、みたいなので1月に『きょうのできごと』『きょうのできごと、十年後』『春の庭』、12月に『寝ても覚めても』『わたしがいなかった街で』を読んだので5冊。が一番多い作家だった。次がちょっとズルというか上下巻とか含めればというところでロベルト・ボラーニョ。まさか上下でけっこうハードな『野生の探偵たち』を再読しようと思うとはという感じで。『アメリカ大陸のナチス文学』は「面白かったんだけどやっぱり人間が喋り動くのが好きだなーこの最後のラミレスホフマンのやつみたいな」と思っていたらその最後のやつを膨らませた中編作品が11月末に刊行された『はるかな星』で、やっぱりとてもよかった。

【一番「じゃあそういった流れでいっちょ」といなった流れ】
吉川浩満『理不尽な進化』〜リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』〜ケヴィン・ケリー『テクニウム』
人に教わって読んだ『理不尽な進化』で進化って面白いなーと思った気がしたので「じゃあ代表的な」と思って『利己的な遺伝子』を読み、次に「じゃあ生命の第七界としてのテクノロジーの進化もひとつ」と思ってというわけではないけど帯か何かに進化論!みたいな文言があって『テクニウム』にいった。いずれもおもしろかった。学び・気づきとしては「進化ってなんかすごいなー、理不尽だし利己的だしテクニカルだし」ということです。

【一番なんとなく手に取ったらたいへんいいぞ!となった一冊】
アルベール・カミュ『ペスト』
まったくなにを読んだらいいのかわからない絶望的な気分に今年いったい何回陥ったか、という感じで暗い顔して書店の本棚のあいだを亡霊のようにうろつく中で、「お、ぺすと」と思ってぺすとかってよんでみたら「ひじょーにいいぞ!」となった。よろこばしかった。

【一番これ読んだの今年だったかーと思った一冊】
糸井重里『インターネット的』
新しく読み終えた本とかがわりと並べられていく低い本棚コーナーにずっと置かれているので、なんかずっと前に読んだ気がしていたら今年の一月だったらしくて驚いた。ずっと置いているってことは人々はこれを読んだらいいぞと思う一冊なのでとても好きな一冊というか、予言の書なんかじゃ全然ないというか、もっと別のところに価値があるぞ、と思う。

【一番知ってうれしかった作家】
上田岳弘
『太陽・惑星』を読んだ時は快哉を叫んだというか、快哉!と思ったし『私の恋人』も快哉!と思った。次も何か発表してたっぽいけど読んでないから知らないのだけど、このスケール感で400ページ以上くらいの作品を書いてくれたらいいなーと期待している。

【一番ノンフィクションって面白いんだなーと思った二冊】
国分拓『ヤノマミ』、ジョン・クラカワー『荒野へ
ノンフィクションっておもしろいんだなあ!と思った。とても好きだった。

【一番ミランダ・ジュライって面白いんだなーと思った一冊】
ミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』
ミランダ・ジュライって面白いんだなあ!と思った。とても好きだった。

【一番磯崎憲一郎はやっぱり面白いなーと思った一冊】
磯崎憲一郎『電車道』
いそざけんいち

【一番保坂和志はやっぱり面白いなーと思った一冊】
保坂和志『遠い触覚』
ほさかかずs

【一番ピンチョンはやっぱり面白いなーと思った一冊というか上下巻二冊】
トマス・ピンチョン『V.』
ぴn

次は映画で今年は67本見た模様でそのうち映画館で見たのは54とかで、意外に見ていたんだなと思いました。来年も楽しい映画鑑賞生活をぜひ送ってみてくださいね。

【一番「順位つけるとしたら1位はこれしかないなー」という一本】
濱口竜介『ハッピーアワー
昨日も友人と飲んだ際にハッピーアワーのことをああだこうだと話していたら二人して泣きそうになっているというかまあ完全に目をうるませているよね双方、ということになるようなぐあいで、まあもうなんていうか、おかしな映画体験というか体験でした。いや、この「でした」じゃない感がすごいというか、もはや私が生きている世界を名指すとしたら、というかそうやってハッピーアワーについて考えたり話したりしていろいろな感情を抱いている時間を名指すとしたら「ハッピーアワーアフターハッピーアワー」という感じで、いろいろいやおうない。イロイロイヤオーナイ。くらしに浸潤。すごいすごい。

【一番スクールガールのディストーショナルなアディクトな一本】
ジョン・カーニー『はじまりのうた
よるのおくじょう。 そしてろじょう。

【一番「ハッピーアワーもそうだけどあーもうなんかもっとずっと見ていたいっていうこの感覚ってなんかすごいなーだって映ってるのって音楽作ってる人とかあと普通に街とかそれだけのはずなのに、しかしこの全貌を見られない感というか全貌なんて人間の目ではどうやったって見られないんだ感をつきつけられる感ってなんかすごいなー」となった二本】
三宅唱『無言日記』『The Cockpit
なんでこれが「映画!」という大きくて強い喜びを僕に与えるんだろうなと、不思議だしうれしかった。以降、日々わたしのコクピットで「シンクグッドすな〜」と思いながら生きている。

【一番「それら上位3本に続くのはここらへんかな〜」と思う数本】
オリヴィエ・アサイヤス『アクトレス』、ナンシー・マイヤーズ『マイ・インターン』、黒沢清『岸辺の旅』

【一番「やっと見られた!そして最高だった!」となった一本】
富田克也『サウダーヂ

【一番「何度見てもやっぱり最高でした!」となった一本】
濱口竜介『親密さ

【一番「やっと映画館で見られたけど見る前に飲み過ぎてほとんど寝た!」となった一本】
ジョナサン・デミ『ストップ・メイキング・センス

【一番「昨日そのハッピーアワーの話してたら双方泣きそうになってるぞってなった友だちはストップメイキングセンス見にWWW行ったときも一緒だった友だちなのだけど、それで昼から飲んでた店を出たあと彼が夜から予定があるけどまだ時間あるからもう一杯くらい飲もうぜつって渋谷に移動してビール飲めるところに行ったら親子がいて、お父さんと小学生とかの男の子といった感じで、外国語(英語)を母語とする人っぽい見た目の親子で、すると音楽が鳴った、あ、これは…!というところでトーキング・ヘッズの「サイコキラー」が流れ始めたんですがそのパパが一緒に口ずさみ始めたんですよ、僕らもこの曲が大好きなのでニヤニヤしてて、しかもこれ映画のライブの音源だよねというのでうへへ〜〜と思って、で時間がっていうので帰るかっていうので店出ると出るタイミングがその親子と一緒になったのでサイコキラーですよね〜みたいなこと言ったか何かしたらケスクセ?つってファファファーファつってラランランラーンつってっていう合唱がおこなわれるというなんとも僕のような閉じた人間としては極めて異例の愉快な場面が起こりました」という一曲】
Talking Heads「Psycho Killer

で最後が音楽というかひとつ前からなしくずしに音楽になっちゃったんですが、音楽といえばアップルミュージック登録したけど全然聞かず、聞くのもカニエ・ウェストとテイラー・スイフトに限られていて、そこから広がる感じもしなくて、で無料期間終わったらさっさと退会してカニエ・ウェストの持っていなかったアルバムをCDで買ったり、あと途端にいろいろ音源買いたくなったり、という、今のところの僕はサブスクリプションっていうんだっけ、ああいうやつ、で音楽聞くっていうのはあまり魅力的じゃないみたいで。なのでというかなのでもなにもなんですがあまり新しく買うっていうのはしていない中でなんですが。

【一番「うおおおおおお」と思いながら聴き続けた一枚】
OMSB『Think Good』
なんかもうこれに尽きるでした。おらは元気を出したいぞ、みたいな時はいまも高確率でこれが選ばれている。

【一番お店で流す音楽として「お〜〜〜〜」となった一枚】
Le Berger『Music for Guitar & Patience』
もう一聴して「お〜〜〜〜」と、テンション上がる音楽じゃないのだけどすごい高揚した。これだ!というような。これはドローン的なもの聞いて覚える感覚としては僕としては珍しいもので、まあとにかくこれはもうなんか最高でしたね。水の中にいるみたい。一日中これ掛けていたいと思って実際そうした日もあった。

それじゃあよいおとしを!あるいはあけましておめでとうございます!あるいは、あるいは、!

「本のこと」の他の記事