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2015.01.09
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なんで買ったんだろう、なんで俺はこれを買ったんだろう。繰り返し自分に尋ねてみても答えはわからないまま、なぜだか買ったポパイのガールフレンド特集、小松菜奈の笑顔を見ていたら自然と頬が緩んでしまい、そして次の刹那、途方もない虚しさに襲われたため慌てて閉じた。息が止まるような虚しさ。虚をついてくる虚しさ。無理だ…こんなもの読んじゃいけない…こんなものを読んではならない…決して…
というところで粛々と学習に励むべく、ポパイと一緒に買ったウイスキーのムック本を手に取った。
ウイスキー。う・い・す・きー。
なんだか今、こういうのは何を調べるか決めて取り掛かればこれまでがそうだったように何かしらが学ばれることになっているのだけど、たった今「これ知りたい!」みたいな欲求というか思いつきが出てこなくて、要は今なんのやる気も起きないということなのだけど、日々、夜々、僕はウイスキーを飲んでいる、ということが改めて思い出されるばかりだ。
夜々、ウイスキーを飲んでいる。
いくらか前にお客さんにおそわったトゥワイスアップという、あれと水を1:1で割って飲む飲み方で飲んでいる。テイスティングとかもこの飲み方でするとかしないとか。たしかにストレートやロックで飲むよりもトゥワイスアッピングした方が、味の違いが(言語化できずとも)感じられるような気がなんとなくする。
ストレートやロックで飲んでいたときは「うん、アルコール!」という感覚と言ってだいたい過言でもない感じでいたのだけど、TUで飲むようになってからは「うん、ウイスキー!」という感覚になっている気がする。そうやって夜々過ごす。そう、これはトゥワイスアッパーズナイトクルージング。
そのおかげか、店で出しているものをそれまで夜々飲んでいたのだけど(「これ全部ただで飲んでいいの?」みたいなアホのようなというか完全に頭の悪い無邪気さを装って)、たいして出てもいないのに次第にボトルが軽くなっていく状況を目の当たりにするにつけ、ただではないんだよな確か、ということを改めて実感したため、ある日スーパーマーケットストアに赴いた際に一本1000円とかの相当安いやつを買ってきてそれを飲んだ際に、「ん、なんだこれは、おいしくないじゃないか!」という偉そうな気分すら抱けたのだった。それもこれもトゥワイスアップネスクラブに入会したおかげ。
口が何かを知っていくこと。それは幸福なことでもあるし、あるいは不幸なことでもある。そんなことをひとりごちながら、僕は今宵も安ウイスキーを飲む。飲み方?それはもちろん、トゥワイスアップで。
photo by Sönke Biehl