その一方で本はファッションではないけれど(本棚製作秘話)

blog_fuzkue68.png
そもそも秘話でもなんでもないのだけど。
先日「おしゃれなどくしょ」という記事でそんな感じでいいと思うんだよね、読書がおしゃれポジション狙っていくので、みたいなことを書いたけれども、一方で、というところで。
ここ3日ほど、カウンター下の足置き台を作って塗ったり背板を付け替えたり、隙間テープを買ってきて入り口の扉の隙間をどうにかしようと思ったり、という中で、インパクトとかオイルステインとか刷毛とかスケールとか(どや!夏に覚えた専門用語や!みたいなつもりなんだけど意外に一般的に流通してる言葉だったりするのかな。知らないしどっちでもいいのだけど)、そういうものを触ったり触らなかったりしていたためか、夏の工事の時分を思い出し、それから、本棚を作ったときのことを思い出した。
物としての本というのも僕は大好きだし本が並んでいる光景はそれだけで胸がときめきもする。だからどれが正解とか正義とかっていうふうには思っていないのだけど、少なくとも僕が取る振る舞い方としては「本はあくまで読まれるためにあってほしい」という気分に則ったものだ。
並んではいてもアクセスできない、暗くて読めない、とかにはしたくない。本がそう扱われているのは僕にはファッションに見える。ファッションだから悪いということではない(ファッションとはまるきり縁遠い人間がファッションという言葉を使うのは危うい気がしてきた)。
ただ僕にとって本は手に取られて開かれてなんぼ、読まれることを欲望されてなんぼ、ということだ。
だから、工事のときに本棚どうしますかねーとか話し合ったりしている中で、どうしたらちゃんと手に取れるかな、ということが考えられた。最初はカウンターのところの本棚は今の窓に面した感じじゃなくてもっと空間として手前、座った方の頭の真上くらいまでせり出しているイメージだった。そうすれば仮に取りたい本がある位置に人が座られていてもわりと取ることができそう。
ただ、そうすると照明の位置はどうするのか、頭上に棚板って圧迫感が大きいんじゃないか、あと工事も格段に大変になる、ということでもっと普通に窓に面してっていうことになった。
じゃあ、奥は奥でも高さが低くなれば取りやすくなるしいいんじゃない?机の奥行きけっこう広いし、よりいっそう本棚は低めの方が、ということで160cmくらいの高さにしようかと。ただ、そうすると窓が狭まってやっぱり視界とか窮屈な感じになっちゃうんじゃないか、閉所というか、なんかバランス的にも、というので却下。
その結果、下側の高さがたぶん180cmちょっと、身長174cmの僕でちょっと高めだけど問題ない、みたいな高さだから、取りづらいか取れない方が結構いるよなというものになった。高くて取れなかったらおっしゃってくださいとか書いているのだけど、声かけることに抵抗ある方もおられるだろうし、踏み台を用意したいとも思っているのだけど、そんなもん持って横移動とかもやっぱり面倒だろうし。
そうやって、本はただの景観に成り下がり、ファッションと化していくのだった…
という妥協の物語が書かれたということですかね今日は。
いや、今のは今のでいいように収まったなというか、見た目としてはとても気に入っているのだけど、機能としてはやっぱりベストとは程遠いというか。限られた空間で本を適切に並べようとするのって難しいと実感したというか。いつかベストな形が実現できたらいいなというか。まあ「ファッションじゃないとか言ってるお前がファッションめいた事態に陥ってるんだぞ、その認識だけは持っておけよ、そもそもファッションって言葉の使い方を今一度ちゃんと考えたほうがいいぞ」という自戒というか。