本の読める店

おしゃれなどくしょ

Entry blog fuzkue66

(写真はおしゃれなどくしょの様子)

以前「人の読書離れを憂うな」という記事で「嘆く大人のみなさん、少しお静かにしていただけますか、離れようが離れまいがどうでもよろしいじゃありませんか」みたいなことをもう少し丁寧な調子で書いたことがあったけれども、ただ僕個人としては本がたくさん読まれるといいな、売れるといいな、と思っている。
もっとも大きな理由としては、本が売れなくなることで僕が読みたいと思う本が出版されなくなるような状況になったら僕が嫌だから、という身も蓋もないもので、身も蓋もないけれどもこれは一つ切実な問題としてあって。
今読み返してみたら同じことをそのときに書いてましたが。

だから、だからというか、なんというか、読書が年々されなくなっていますねつって憂いていいのは本を読むことを必要としている人たちと、本を作ったり売ったりすることで生計を立てている人たちだけなんじゃないのかと僕は思っていて、それ以外のおためごかし的な若者へ向ける心配みたいなそういうものは全部唾棄、みたいな感覚でいるし、なので「唾棄!」みたいな憤りを先日は書いたのだけど、本売ったり作ったりしてる方々は「唾棄!」とか無駄に怒ることなんかにエネルギーを向けることなく色々されていますよねそもそも、と改めて思った。

改めて思ったっていうのもあれだけど、正月のときに「たまには雑誌でも」みたいな気分で買ったブルータスの読書入門が思いのほかに好ましい内容に思え、「いいね!」と思ったのだった。
僕は雑誌ってこれまで本当に読んでこなくて、店を始めてから「新しめの雑誌とかも置いておいておいた方が、どうなのかな、いい感じですかやっぱり?」みたいな妙な気負いの一環として雑誌コーナーをたまに覗くようになってたまに買うようになった身分で、トレンドみたいなものはさっぱりわからないのだけど、最近はあれなんですか?本絡みの特集みたいなのが「困ったら」ネタみたいな感じとして確立しているとかそういう風潮だったりするんですか?ちなみにそれってここ何年かの話?それともずっと昔から?

ってこれ本当にただの疑問というか誰か教えてくれたら嬉しいなという質問で、だから本当に全然わかっていないんだけど、もしここ数年の話で、そういうトレンド気味のものがあるとしたら、それはいいことなんじゃないかなというか。しゃれた顔して「こっち、楽しいよ」って手招きしている感じが好ましいというか、「読書=おしゃれ」みたいなモードがもし出来上がるんだったら間口を広げるっていう意味ではそれは出版業界的には単純にわりといいことなんじゃないのかなと僕は思っていて。
入り口への手招きの身振りとして、それ自体がおしゃれな存在が「本読んでる方がヒップな雰囲気を醸せるよ、しかも意外に楽しいんだぜ」って語りかけることほど有効なものはないんじゃないかというか。「今どきの若者は」とかクソみたいな大人たちに嘆かれるよりも、頭でっかちそうな人々に「これくらい読んでおかないと」とか言われるよりも、しゃれてんなーこいつってやつに「本読んでる方がヒップな雰囲気を醸せるよ、しかも意外に楽しいぜ」でおいでおいでされる方が100倍くらい、というか「今どきの〜」だと誘引力はマイナスだから、掛けるのも負の数にしておかないとマイナスが大きくなるだけだからマイナス100倍くらいと言った方がいいのかな、くらい、「じゃあなんか読んでみますか、ここは一つ」って気になるような気がする。そのためそれがトレンド気味だとしたらそれはとてもいいことなんじゃないのかなと。
(先日Twitter見てたら「本当は女子にこんな文庫を読んで欲しいのだ」フェアと「文庫女子」フェアというのが非難されているところに出くわしたのだけど、これは要は招く身振りの上手い下手というか、打った手が悪手だっただけという話じゃないかなというか、立ち位置の読み違いであったりメッセージが誤配されちゃった結果であったりというか)

そういうふうに思っていて、そういう中で読んだブルータスの読書入門特集では星野源とか角田光代とか蒼井優とかバランスよい感じで配置された様々な人々がこんな本の読み方していますというのを紹介していて、これが思った以上に多様な感じがしてとても面白かった。
家中に本を置いて場所場所で別のものを読む人、他人の感情を知るって楽しいねって読む人、いろんな人の日記をつまみ読みする人、赤線入れながら有用なものとして本を読む人、自分が行く旅と関係づけて読む人等々、けっこうなんでもありですよね、自分が心地いいように読んだらそれでいいですよね、っていうのが提示されていて、入門というのが敷居を下げることであるとか間口を広げるっていうことであるならば、この特集は「本とか読みたいけどハードル高い気がするし何読んだらいいのかあれだし」みたいな人たちにとてもちゃんと機能しそうだなあ、希望的観測だけど、と思った。

特につながりもないのだけど、なんというか、読書に限らずどんな分野でもわりとそうかもしれないけど、ヘビーなユーザーみたいな層はライトなユーザーみたいな層を取り込もうとする動きみたいなものに対して寛容にというか、「なんかちゃらちゃらしたことやってんなー、しゃらくせーなー、ペラッペラちゃいますか中身」みたいなニヤニヤくらいで対処しておくといいよなきっと、平和というか、ということを思ったというか。

ということを最近思ったというか。

photo by Peter Kirkeskov Rasmussen

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