読書の日記(10/28-11/3)

2024.11.08
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抜粋

10月28日(月) 

今日はノンシフトなのでゆっくり起き、部屋で仕事をしていると遊ちゃんが部屋から出たので僕も出て、誕生日おめでとう、と言った。去年のこの時期はつまり、サエールの『グロサ』を読んでいた、世界堂で絵の具を買った、エンケティアがハットトリックを決めた。去年の遊ちゃんの誕生日の日とその前日の分をエディットしたものを『誕生日の日記』に寄せたのでそういうそこに書かれていたことが普段日記を書く以上に頭に定着していて、だから思い出された。遊ちゃんから「正反対な君と僕が更新されてない!」という通知が来ていた。

10月29日(火) 

朝になってからやっとしっかり眠れた感じで起きると眠い。しかしそうも言っていられないので出、遊ちゃんもコンビニに行くとかで一緒に出、なんでそういう話になったのか、遊ちゃんから『アイオワ日記』にあった「悠生は英語にするとカームライフ」の話が出て、「私はプレイ」「俺はエクスパンディングとかかなあ」と話して朝から大きく笑った。
駅で別れてホームに立つとイヤホンをつけてヨラテンゴを流した。数日前はソニックユースを聴いていて、何かそういう音楽づいている模様。

10月30日(水) 

2時か3時か布団に入って『嫌われた監督』を読み始める。「二〇〇三年十月三日の朝、東京の空は晴れていた。白い雲間からのぞいた青の下で、私は見知らぬ町の、見知らぬ家の前に立っていた」という書き出しで、期待が高まった。最初は川崎憲次郎の章で怪我で長らく登板していないのにオールスターに選出されてしまったときのことが書かれ、川崎は「自分が出られる場所ではないので常識的に考えて辞退します」というコメントを出して辞退した。
プロとしての苦境を弄ばれた格好となった川崎は被害者とみなされた。同情を寄せてくれる人もいた。もう二度とこんな事態を招いてはならない、と憤ってくれる人もいた。当然、本人もひどく傷ついているはずだと、誰もが思っていた。
だが一連の騒動の中、川崎は胸の奥でずっとこう願っていた。
どんな形だっていい。このままオールスターのマウンドに立てないものか。そうすれば、自分はそこで劇的に復活できるのではないか……。 鈴木忠平『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋)p.33
これはすごい。こういう、なかなか言語化されることのない、スポーツ選手だけが持つリアリティみたいなもの、こういうものに触れられる瞬間本当に好き。それからもずっとめちゃくちゃ面白く、やばい、これはめちゃくちゃ面白いかも、となりながら川崎の章を読み終えると寝た。

10月31日(木) 

食べ終えるといろいろ慎重になりながらデプロイし、うまく行った。と思ったらコメントを入力しようとするとクラッシュし、いくつか試してみると、長めの投稿にコメントをしようとすると、あるいは短い投稿に対してでも入力するコメントが長くなると起きるようだった。元投稿とか元コメントとか、それを表示させるのに使ったnumberOfLinesというやつがよくないのかもしれない。初めてのクラッシュ。バラードの『クラッシュ』でそのことを報告する投稿をつくろうとしたらなぜか投稿できず、山田詠美の『ファースト クラッシュ』という本で共有した。むしろうってつけだった。

11月1日(金) 

今日はもう疲れているし酔っ払ってもいるのでアプリはやめて、明日の分の仕事をいくつかやり、3時ごろ切り上げて布団。今日もお楽しみの『嫌われた監督』で今日は福留孝介の章だった。お世話になっていた球団職員が解雇されてから落合への感情的なつながりはなくしつつ、しかしその打撃技術と眼力には惹きつけられ、技術だけでつながる師弟関係のようなものができていった、とか。ずっと面白い。

11月2日(土) 

そして突然、私の心臓を指差して声を尖らせた。
「お前がテストで答案用紙に答えを書くだろう? もし、それが間違っていたとしても、正解だと思うから書くんだろう? それと同じだ! そんな話、聞きたくない!」
落合は憤りにまかせたまま監督室のドアをぴしゃりと閉めた。
狭い通路は静まり返っていた。私は何が起こっているのか、わからなかった。落合の後から続いて入ってきた選手やスタッフ、他の記者たちが何事かと、その場に呆然と立ち尽くしている私を見ていた。
大勢の人間がいる前で、落合がこれほど怒りを露わにするのを初めて見た。私は落合の抱えている何かに触れたのだ。 同前 p.173,174
僕はこの「私は落合の抱えている何かに触れたのだ」が僕の何かに触れる感じがあって肌が粟立つ感じがした。激怒ってたしかにヒントだ、と思ってゾッとした。その章が終わると2007年の日本シリーズの継投完全試合の舞台裏が、中継ぎの岡本、コーチの宇野や森の視点から立体的に描かれていって「むはー!」という面白さで長い章で、読み終えたら遅くなりすぎちゃう、と思ったので岩瀬が青白い顔をして登板する前に閉じた。

11月3日(日) 

6時からは田村くんと僕。田村くんがオーダーをこなし、僕はブラックサンダーを食べたり。じわじわと忙しい夜で、カレーを仕込んだり。カレー仕込んだのは僕。ブラックサンダー食べるばかりではない。チョコだらけも食べた。
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