読書の日記(9/23-29)

2024.10.04
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抜粋

9月23日(月) 

今日もあっという間に6時。ぴゅーん。なんとか片付けて店じまいし、このあと阿波おどり見物だが、外に出るのが怖いような感じがあった。楽しそうに踊る人たちを想像すると怖かった。僕も楽しまないと、という強迫に晒されるのが怖かった。阿波おどりは僕はとても好きだけど苦手なのかもしれない。楽しそう過ぎて。

9月24日(火) 

食後、ちょっとでもやろう、と思って投稿画面の改善作業。これまではテキスト入力がガッチャガチャだった。入力フィールドに入るのはいいが、外に出るためにフィールド外をタップしてもキーボードは閉まらず、閉まったら閉まったで動きが上下に急激で、また、フィールド内でコピペや入力箇所移動のために動こうとすると入力状態が外れる。打ち途中でスワイプやモーダルを閉じる動きをするとなんの警告もなく遷移する。それらをひとつずつあるべき姿にしていって、前にやろうとしてうまくやれなかったフィールド外のオーバーレイも掛けることができた。改行時にややガチャつくのは気になるが、おおむね直感に反しない状態にできた。満足して布団。暗号通貨のサムはチームを率いることなくひたすら個人プレーで、というのを見て身につまされるところがあった。僕はひたすらプリ活。プリ活社長。プリ長。陰でプリ長と呼ばれていたりして、と思いながら寝た。プリ太郎かもしれない。

9月25日(水) 

電車に乗ると横の人が強く鼻を啜る人で、ごごごごご、と啜る人で、プリ太郎はこの音がものすごく苦手。ルンバが充電ステーションで集塵するときの音。もっと嫌な音。もうちょっと弱い啜りは紙を破く音。音としても嫌だが、それ以上に生理的にダメで、ここでいう生理的にとはつまり「痛い」ということのようだ。痛い、痛い、と聞くだけで感じる。鼻の粘膜絶対傷つく。鼻粘膜絶対傷付。本当にその啜り方やめたほうがいいですよ、と、本当に言って差し上げたくなる。

9月26日(木) 

夕方、ふとお客さんの机に置かれている本が目に入ってそれは『ホメーロスのイーリアス物語』で岩波のやつだった。少年文庫というのがあるらしい。ギリシア神話とか憧れあるというか、読んでる人かっこいいという気持ちがずっとある、と思い、それから別のお客さんのところにドリンクを出しに行くとふと机に置かれている本が目に入って今度は岩波文庫の『イリアス』だった。今3人いるうちの2人が『イリアス』読んでるなんて、こんなことある!? と思って興奮した。何かで話題にでもなっているのだろうか? もしそういうわけはないのだとしたら、ちょっとすごいことだ。この事態について大声で共有したかったが自重した。それで6時で田村くんと引き継ぎをし、『イリアス』の話を吹聴すると出た。

9月27日(金) 

数日前に『楡家の人びと』をe-honで注文してみたが、使い勝手は本当に悪いというか、このサイトにクレジット情報与えていいのかしら、と不安になるようなつくりだった。トーハンがやっているもののようだが、トーハンみたいなでかい会社がやっているのにどうしてこんなことになってしまうのかなと思うが、どうしてもなにも、重きを置いていないから、力を入れていないから、でしかないのでしょうが。ともあれ、Amazonと楽天だけというのは寂しく、何か書店と関われないか、書店にも意味のあるものにできないか、とは思うが、アフィリエイトが発生するわけではないし、やはりAmazonと楽天になるのかもしれない。Amazonと楽天以外の選択肢があればいいのに、本のしっかりしたプラットフォームができればいいのに、とずうっと思っているが、本当にできないものだな、とずうっと残念に思っている。

9月28日(土) 

遊ちゃんが朝から「トッ、トッ、トッテナム、トットットッテナム」と歌っていたので昨日のトッテナム青年の話をした。

9月29日(日) 

遊ちゃんが館に行くというので一緒に家を出て、いま何を食べたいかと聞かれたのでサンドイッチかなと言った。今日はもともとはノンシフトの日だが昼番に少し入ることになり、気持ちはどこか休みの日のモードがあり、それがサンドイッチを思わせたらしい。すると遊ちゃんは庄野潤三が大阪に帰省するときの一番の楽しみは新幹線でのコーヒーとサンドイッチだと書いていた、と教えてくれた。 駅で別れて電車に乗ると『ことばが変われば社会が変わる』。『たまごクラブ』や『ひよこクラブ』が2016年ごろから「主人」「旦那」を使わなくした、『VERY』も2018年ごろから「主人」をやめた、テレビでも誰かが「嫁」と言ってもテロップでは「妻」とするような工夫があったりする、テレビドラマ『カルテット』は誰もが「夫さん」と呼ぶ、とかそういうところを読んでいたらなぜか泣きそうになってそれぞれがそれぞれの土俵で闘っているというかできることをやっている、というのに感動したらしかった。それで本が終わって初台に着いたのでセブンに行ってサンドイッチを買った。
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