読書の日記(7/15-21)

2024.07.26
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抜粋

7月15日(月) 

うどん食い、MLB特集の『Number』を読み終えたのでサッカー特集の『Number』、遠藤航の決断について読みながら。それにしても「『Number』を読み終える」というのはどういうことなんだろう。読了という概念の付き合いづらさを思う。雑誌やアンソロジーの本を読み終えるとはなんだろうか。すべての記事を読んだら読了とするのか、自分が興味のあるものをさらったらそれでいいとするのか。それは小説を読んでいたってそうで解説まで読み切って初めて読了なのか。大してそれに興味がなくても読了のためにはと解説まで読むのか。読了で記録をつけているときは僕にはそういう部分があった。読了という概念は常に不全感をもたらしてくるように思う。それに了とはなんなのか。終わりまで行った本は常に再び開かれることを待つ状態に置かれるとは言えないか。本のステータスが、読みたい、積んでる、読んでる、読了、というのは何かを捉え損ねている、あるいはその分け方によって何か余計な不全感を与えてくる。でも読み終えの読み終えた感もわかる。

7月16日(火) 

夜は今日も今日とて『消去』で終わりが近づいてきた。とても明日の葬儀のシーンを描くまではいかなそうで、ヴォルフスエック到着の日を描き切って終わりということになるのだろう。そうなると小説の中で流れた時間はたったの2日で、もちろんこれが3日になっても変わらないが、ものすごい密度だ。2日間でいったいどれだけの憎悪の言葉を吐いたのか。葬儀の日も見たい。それは見ものだろうなと思う。『消去2』を待望する。書いてくれないかな。

7月17日(水) 

B&Bに行って伊藤さんとオールナイトの打ち合わせ。今回はB&B内にも席をつくってそこで一晩読めるようにするわけだがいざ店内にいてその様子を想像するといいもので、みっちり本に囲まれたここで読む夜というのは特別な感じがする。

7月18日(木) 

11時前まで寝、アイスコーヒー。2時間のアラームを掛け、珍しく音楽も掛け、今月の経理作業を始めた。聞いていたのは電球のアルバムで前に「街」という曲をSNSで見かけて聞いたらとてもよくてアルバムをライブラリに入れていた、聞いたらやっぱりかっこよかった。ボーカルの言葉はだいたい轟音の陰に隠れてほとんど聞き取れないが、なんとなく、話すことのある人、という印象を受けた。それでレシートを入力し、未登録の取引に請求書を紐づけたりし、ガシガシ進めていくとアラームが鳴ってあと数分で済むところだったので6分やり、2時間でほぼほぼ済んだというわけだ。経理作業が月を追うごとに速くなっていく。

7月19日(金) 

開店前にカレーを食べて、僕はキーマカレーとても好きみたいで、今回初台はチキンからキーマに変更したが10年ずっと出していたカレーを変更することになんのためらいもなかったのはフヅクエのキーマカレーがやたら好きだからだったのだろう。みんなも好きっしょ、と勝手に思い、軽い変更に思ってしまっていた。変更のお知らせのあとにいくつか具体的な悲しみやショックの反応を見、僕は心構えも段取りも今回間違えたということが知れた。もっと早くから今度変更しますとアナウンスしておくべきものだった。ともあれキーマカレーはうまい。人参のラペをはじめとしたおかずがよく合う。満腹で満足。

7月20日(土) 

今日は久しぶりに戸塚さんとの日で黙々と働き、途中で買い物をお願いしようとしたときに、この感覚は豪雨の日に買い物をお願いするのと同じであることに気づいた。こんな大雨の中で心苦しいんですが、の感覚がよく晴れた日に起きている。災害のような暑さというのは本当にそうだ。

7月21日(日) 

できあがると試合の続きを見てコロンビアとアルゼンチン。スペイン語の人たち。コロンビアは『百年の孤独』の国だ。そう思ったらしばらくコパアメリカを見ていきたい気になってきて南米の人たちをまとめて見るまたとない機会だ。南米要素をしばらく浴びてまたラテンアメリカの小説に行くというのもよさそうだ。試合は延長後半の112分にアルゼンチンが見事なゴールを決めた。時間を稼ぐ感じなのか、終わりのほうはファールばっかりで試合が続かない感じで他のスポーツを見ているみたいだった。アメフトとか、プレーがちょこちょこ止まる系のスポーツ。
アルゼンチンが勝つのを見届けた。アルゼンチンというと僕はまっさきにフアン・ホセ・サエールが思い出される。ボルヘス、コルタサル、プイグとかではなく、サエール。
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