読書の日記(7/8-14)

2024.07.19
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抜粋

7月8日(月) 

ブラックサンダーを冷凍して食べたらおいしかった。

7月9日(火) 

今日はプルーストの誕生日で、それからグラニテの宣伝投稿をしようと思っていた日で、グラニテはフランス語で氷菓でgranitéで、そのeの上のちょんが見えたときに、ふと、この単語、『失われた時を求めて』に出てきていたりしないかな、と思って検索をしたら原文全文のPDFがあって検索したらまさに登場していた。最初の巻の『スワン家のほうへ』の最序盤、「Aussitôt mon anxiété tomba」から始まる息の長い長い一文の中に、それも「 – le « granité » –」と、文中に差し挟まれる強調の言葉としてあった。そのあたりをコピペしてChatGPTに翻訳させてみるとこう出た。
すぐに私の不安は消えました。今や、母を翌日まで失ったわけではなく、私の小さな手紙が母の注意を引き、彼女の耳元で私について語りかけるのです。あの敵対的で禁じられた食堂も、母が私から離れて楽しんでいるのが悲しく思われたその「グラニテ」や口をすすぐ時間も、私にとっては遠いものではなくなり、その空間は私にとって甘く、心を酔わせるものでした。今や、私と母を隔てていた障壁は取り払われ、甘美な糸が私たちをつないでいました。そして、母はきっと私のところに来てくれるだろうと。
印象深い、ママがキスをしに僕の部屋に来てくれないよ〜とメソメソするくだりだった。

7月10日(水) 

昼飯はどういう風の吹き回しなのか冷やさずに釜揚げでうどんを食べて大谷が表紙の「MLB最強打者伝説 」特集の『Number』を読んだ。
途中で生姜をすりおろして、僕は手の甲にトン、トン、とおろし器を叩いて生姜を落とすのだが、それを目撃した遊ちゃんが「そんなふうにやっているんだねえ」「丁寧」「阿久津くんらしい」と珍しいものを見る目でずいぶん面白がった。そう言われてみるとその所作は何か板前っぽいというか、と言いながらトン、トンを再現するとそれはたしかに妙に丁寧な所作に思え、ふたりして笑った。なんか照れた。恥ずかしいところを見られたような照れ。なにも恥ずかしくないのだが、秘密の儀式を見られたような、そういう照れ。

7月11日(木) 

昼のうどんの際に具を食べたくなったので豚肉と小松菜も茹でて生姜と麺つゆで混ぜ混ぜしながら食べた。

7月12日(金) 

「Node.jsをインストールします」という言葉を見ると、お腹がきゅーーーーっと締め付けられる、強い緊張をする。ワクワクが極大化したときの症状が出てウケる。

7月13日(土) 

久しぶりに忙しい休日になってくれて、うれしい、うれしい、と思いながら働いた。『あらゆることは今起こる』は書店のカバーに巻かれた状態でもわかることがわかった。判型と小口のパラパラ写真の位置から推測された。

7月14日(日) 

Firebaseに入って、SDK、やっとVSCodeの出番になってLoginScreen.js、App.js、何かのエラー、またCocoaPodsがどうとかRubyがどうとかとなってまたHomebrewがとかrbenvがとか、嫌な予感、これは事なきを得た、Podfileがどうとか、Firebase/Auth、firebaseConfig.js。何かを通過してシミュレーターを起動させるとパソコンの中のiPhoneにSyntax Errorの赤い文字。これは何かのときに見かけていた画面でなつかしい心地がある。でももう限界。プロジェクトの再ビルド。赤い文字たち。プロジェクトのクリーン。まだ赤い文字たち。限界。またRubyのインストールをしてこいと! やっぱりここをどうにかしないと何度だってこういうことが起こるということなのか。もうRubyのインストールを試行したくない。赤い文字たち。ビールを飲む。頭はもう動いていない。頭のクリーンと再ビルド。それは睡眠。cd ~/Desktop/Bedで意識を消去。
・・・
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