抜粋
11月27日(月)
早々に出て銭湯に向かって歩いていると前を行くカップルが楽しそうにしていて、「薬物なんてダメ絶対、大麻の代わりに吸うおっぱい」と歌っていた。ハスキーボイスの女の子が最初から最後までを担当し、男の子は「おっぱい」のところだけ声を合わせる、そういう歌い方。
11月28日(火)
寝る前、今日は何を読もうと、部屋の机の上に積まれているというか、数冊ずつの山がいくつも並んでいる、そこを見ていくと『体はゆく』が目に留まったのでそれを手にして布団。桑田のところまで読んでいったん中断されてそのままだった。
11月29日(水)
しかし13連勤が終わりといっても明日も10時からミーチングだし昼には家を出て下北沢に行くし鍼はそこで挟まるけれど9時までの仕事はあるしこれは休日では絶対になく、そうなると迎える12月の最初の週はけっこう怖く、土曜も日曜も一日シフトで、さらに水曜も一日シフトで、けっこうエグいかもしれない。不安・ホセ・サエール。不安・ソト。
11月30日(木)
B&Bに入って『消去』は前にはなかったし、ないだろうけど、と思いながらベルンハルトコーナーに行くとやはりなく、ベルンハルトコーナーはけっこう充実していて未読のものだと『消去』と同じくみすずから出ている分厚い『破滅者』があって、あとは松籟社とかから出ているソフトカバーの厚くない自伝シリーズがいくつかあり、これらもいつか読むだろうか。でも今は『消去』だ、そう思って離れてラテンアメリカコーナーに行くとアドルフォ・ビオイ・カサーレスの『英雄たちの夢』があって2021年刊行だが知らなかった。それからしゃがんで下のほうを見ると木箱の中にも水声社のあの感じが見え、見ると『証人』というもので分厚い、でかい本だった。作者は不安・ビジョーロ。昔のやつかと思ったが2004年の作品で、帯には「偉大なるメキシコ小説」とあってがぜん読みたくなる。マジで? とは思う。これ読み始めたら、これずっと読むことになるよ? 『グロサ』を終えて次がこれってなんか、どういう水声社的な勢いがついたの? おかしいだろうと頭は思うのだが、どうも、これは、買うんだな、という気配が生じて、それで手にずっしりとした重みを感じながら持ち運び、雑誌のところで文芸誌を探すが今は何もなく、だからそのままレジに行って購入した。
12月1日(金)
だから第二本庁舎に続く空間がシンフォニーの地下を思い出させてそのまま歩き続けていると通りすぎて、少し戻ると第二本庁舎だった。免許の更新。前回もここで、そのときは大谷翔平の本を携えていた記憶がある。『野球翔年』、そろそろ続きを読みたい。エンゼルス編としてそろそろまとめてもいいのではないか。で、今日は『体はゆく』を読みながら列に並び、毎日毎日すごい数の人が免許を更新しに来るわけだ。
12月2日(土)
田村さんの上がり際に外で話していたら最近『高架線』を読み終えたそうで良すぎて一日で読んでしまったということでそれはいい一日だ、あの話がよかったこの語りがよかったとあれこれ話していたら『高架線』をまた読みたい気持ちがムクムクと湧いてきて、『高架線』も読みたいし柴崎友香の新作も読みたいし『消去』も読みたいしはたして『証人』はそんなに読みたいだろうか?
12月3日(日)
牛カルビ焼きのやつとひじきのやつを買って帰り、遊ちゃんがうまく寝付けないようで6時に濃いコーヒーを飲んだのがいけなかったか。あたたかそうなフリースの背中をしばらく撫でて眠くなるおまじないを掛けた。それから買ってきたやつと昨日の遊ちゃんのナスのとブリのをまたもらい、あとはお湯を沸かしてやはり昨日遊ちゃんがこしらえた味噌玉を溶かして味噌汁にして素晴らしい食卓。ニューカッスルとどこかの試合を少し見てから中継が始まったシティとトッテナムの試合に移るとシティのコーナーキックをうまくやり過ごして上手に粘って相手をかわしてそして長いパスがソン・フンミンに通ってディフェンダーを振り切って強烈なシュートが決まってすごい! 「いいもん見たー」という心地で笑顔。今日もナスもブリもめちゃくちゃおいしくて味噌玉もいいものだった。シティがすぐに追いついた。
2時過ぎ、寝室に行こうとする僕は机に置かれた分厚い重い本を手に持っていて、まさかこのタイミングで『証人』読み始める?