読書の日記(8/28-9/3)

2023.09.08
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抜粋

8月28日(月) 

駅に着いて本を開くと「なぜヒトだけが言語を持つのかという問いを考えていくとしよう」とあって、朝からこんなことを考えないといけないのか! と思いながら本を開くとグイグイ面白く、謎解きがクライマックスに向かっていくような興奮がすごい。対称性推論をするバイアスというのが肝のようでこれは「学習したことを逆方向の結びつきに過剰一般化するバイアス」で論理的には正しくない推論をナチュラルにしてしまうものということで、それは人間以外はほぼ持たない性質らしい。
ヒト以外の動物種では、ほんの少数の(グレーな)例外を除いて対称性推論は行わない(あえて行わないのか、行えないのかはわからない)。これらの観察できる事実からアブダクション推論を行うと次のような仮説が得られる。そう、対称性推論をごく自然にするバイアスがヒトにはあるが、動物にはそれがなく、そのことが、生物的な種として言語を持つか持たないかを決定づけている、という仮説である。 今井むつみ、秋田喜美『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中央公論新社)p.234
つまり人間の推論のバイアスの不完全性こそが、言語を生んだということのようで、それは、すごい! と思ってだから興奮がすごい。どうなっちゃうの!? と思っていると初台で、降り、階段を上がり、通路を歩き、また階段を上がり、外に出、朝から暑い。

8月29日(火) 

ソファに置かれていた『オアハカ日誌』を拾ってリュックに入れると家を出て、昨日遊ちゃんが『犬が星見た』みたいな紀行文が読みたいと言っていたのは、この本をソファで見かけたからかもしれない、と初めて思った。電車でさっそく読み始めてオアハカにシダ植物を観察しに行くとのこと。これからたっぷりシダ植物を見るようだから、シダ植物ってどういうものなんだっけ、というのをあとで検索して見ておこうと思う。

8月30日(水) 

帰り、千切りキャベツを塩揉みするとシャワーを浴びてそれから昨日の試合の続きを見た。シティがPKを獲得したがハーランドのシュートはポストに当たって点にはならず、ハーランドと聞くと雄大な気持ちになるのは彼の体の大きさもあるだろうがハートランドのボトルの大きな木の印象もあるかもしれない。大根を切ってチンしてからフライパンでじっくり焼いて大根ステーキのつもりだった。焼き色がついたらめんつゆと生姜のすりおろしでからめてキャベツはマヨネーズとお酢とかでコールスローに。そのあとハーランドがとうとうゴールを決めて喜ぶよりも「やっと決まった」みたいか顔をしていた。チームスタッフと思しき人が背後から飛びつき、こういうので頚椎とか怪我したら大変だなと思った。不意に見えたから。不意に見えても、そういう衝撃にきちんと備えているのかもしれないが。

8月31日(木) 

明日から減酒をしようと思っている。きっとますます働く必要が出てくる。酒を抜けば体がもう少し軽くなるのではないかと。だけどそれは明日からで今日は変わらずにビールを飲み飲み歩いていると薄い雲の中に明るい大きな満月が輝いているのが見えて
「満月」
と僕の口は言って昨日遊ちゃんが月を見ながら明日が満月だと教えてくれたこれがそれかと思い、ふと目が路上に何かを捉えたように感じてそちらを見ると黒い影に見えるが猫だった。猫も立ち止まって月を見上げているように見えた。僕に気づくとさっと横の家の駐車場に入っていった。

9月1日(金) 

朝の電車は混み合っていて前に立っている人が『20世紀少年』を読んでいて、そういえば登場人物、娘だっけ、「カンナ」というのだったな、と思った。仲間なのか誘拐犯なのかわからない小物の小男がふたり。彼らに何か毅然と。車でどこかに運ばれていく。こずるそうな政治家ふたりがこれで一安心みたいなことを言っている。制服姿で箒のギターを掻き鳴らす若かりし日の主人公。全部読みたい気持ちになっていく。『20世紀少年』はたぶん最後までは読んでいない。僕これ多いなと思う。めちゃくちゃ面白く読んで、途中までしか読んでいない漫画。『違国日記』は面白すぎて6巻くらいで止めたが完結したそうだし、また頭から全部読みたい。と言いながら時間が経っていくのだろうか。
『20世紀少年』の後ろで僕は今日もオアハカで今日は山のほうに。待望のシダ観察。

9月2日(土) 

銭湯まで歩きながら、一本しか飲めないビール、それをどのタイミングで飲むかだよな、と考える。今というのもある話で、いつもそうしてきたように歩き出したら即飲酒というのは仕事の終わりを言祝ぐ、今日の自分をねぎらう。それもしたいけれど、銭湯でたっぷり汗をかいて風呂上がりのビール、それもどう考えても捨てがたいというか、それはマストだろう。今日は土曜日だ。土日は無礼講とかはダメかな? がんばってるし俺。とか甘々なことを考えているうちにありがたいことに歩は進み銭湯に向かっていた。風呂上がりに飲む。

9月3日(日) 

今日は晩ごはんをつくろうの日で遊ちゃんはウー・ウェンさんの本を見てどれがいいか考えている。パクチーの白和えとスペアリブと豆鼓の煮物をつくることにして、あとは今日遊ちゃんが遊びにいった家でもらってきた野菜があるのでそれを使って何かとか、僕はツイッターを見ていたらお刺し身を食べたくなったのでそのことも言い、それでスーパーに言って必要なものを買う。スペアリブは初めて買う。遊ちゃんが「滝口さんを思い出す」と言って僕も『長い一日』のことを思い出していてスペアリブといえば『長い一日』だ。
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