抜粋
6月26日(月)
今日は一日。駅の高尾山のポスターで夏は「夏の高尾山は、音楽だ。」だ。2年間だろうか、春夏秋冬で変わるが去年と今年で内容はまったく同じものを繰り返していてそれも珍しい気がする。だから同じ表情の高尾山ガールを見続ける2年間で、おらがまちの高尾山ガールという親しみの気持ちを持っているし、おらがまちというかおらが京王線だが、広範なおらだが、親しみを持っているし、ぜひここから羽ばたいて活躍してほしい、高尾山から世界へ、ぜひ、と思っているのだが、今日そのポスターが目に入って高尾山ガールは元気だろうか、と思って調べたら清原果耶という人で少し前にネットの記事で名前を見た記憶があるぞ、岡田将生と一緒に舞台挨拶とかそういうやつで見た気がするぞ、と思って調べたらウィキペディアに「NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で主演およびヒロインを務めた」とあってすっかりとっくに羽ばたいていた人だった。なんともいえない気持ちになった。ところで主演とヒロインというのはまた別なのだろうか。電車に乗ると『桃を煮るひと』を開いた。
6月27日(火)
大通りに出ると通りの反対側に寺っぽい塀が長く広がり、宣伝のターポリンがあった。「聞いて下さ〜い! 76・8万円というお安いお墓をつくりました どなたでもお求めいただけるんですよ〜!」と書かれていた。
ぶつかった交差点を左に折れると街路樹が続く登り坂で、右側に白い四角い小綺麗な建物が見えてきた。あれが温泉だとしたらずいぶん小綺麗だと思ってもう少し歩くと図書館であることが知れてかっこいい図書館だった、図書館だと最終的に知らせてくれるのは窓に貼られた文字一枚ずつを印刷した「稲」「城」「市」「立」「中」「央」「図」「書」「館」の貼り紙によってで、かっこいい建物にありがちすぎるパターンだった、シュッとするのはいいが、必要な情報まで削ぎ落とされちゃって、なにがなんだかわからない、というパターン。遊ちゃんによると最近の公共施設はこういう反省を踏まえたものがつくられつつあるそうだ。
その向かいが温泉だった。
6月28日(水)
アイスコーヒーを淹れてパソコンの前に座り、これからミーチングというところで「ぷす〜」という何かが消尽していく音がして外付けモニターが落ち、エアコンも止まった。ブレーカーが落ちたようだ、洗面所の洗濯機の上のブレーカーのところ、いくつかの荷物をどけて開けて落ちているやつを探すも見つからず、遊ちゃんも部屋から出てきた。落ちているやつがないんだよねと言って数秒後、同じタイミングではっと顔を見合わせて電気が止められたことに気がついた。先週13枚の督促のやつを支払ったが、そのあとにまた何か来ているということは聞いていた。何か残っていたのだろう。また今度、と思って放っていた。電気料金未払いで電気を止められる私たち。笑った。
6月29日(木)
6時前に店に入ると客人はゼロで、今日も暇な日らしい。6月は総じてひどい月として終わるようだ。売上もひどいし、なんだか5月以降、悪いことのすべてが起きていくような感じがする。そんなこともないはずなのだが。
6月30日(金)
今日も暇だ。6月はひどい。どの店舗もひどい。つまりフヅクエ全体がひどい。そのひどい6月が終わろうとしている。重い気持ちはしかし目の前の作業で薄まる感じはあってイラレで下北沢のテイクアウトポスターの編集をしたりフヅクエ月報をつくったり来月の営業日とかのお知らせ記事の更新をしたりメルマガの配信をしたり、そういうことをしていれば暗澹の気持ちから少し距離が取れる。
7月1日(土)
タイムアップ。6時、店。空いている。伝票を見たらけっこう壊滅的に暇だったようで、天気は思ったよりも崩れなかったけれど、予報が悪いというか、予報が悪いともうダメという感じがある。予報の段階で人は動きをある程度決めてしまう、みたいなところだろうか。
7月2日(日)
座っていたらふと背中のあたりに張りを感じて、今日は早く出て指圧に行こうと思う。それから少しすると、何かを思い出す。え、肋間? 肋間神経痛をやったときの違和感に似ている。マジで? 前回の肋間神経痛はいつだったっけか。あのときは一週間は完全に身動きが取れなかった記憶。もしいま僕が肋間神経痛を再発させたら、本当にまずい。営業が完全に成り立たない。不穏すぎるし不安すぎる。