読書の日記(3/13-19)

2023.03.24
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トリガーポイント注射、超音波検査、痛みが思考を奪う/取材、銭湯、7年ぶり/整形外科、内科、皮膚科/痛みの逃げ場がなくなってきた、WBCの取材、痛くて下を向けない/信金、借り入れ、面談/病院探し、明大前、千歳烏山、仙川/俺は昂ぶっているぜ、『ラーメンカレー』、ゴロゴロの施術/僕と野球、準々決勝、ジョナサン/銭湯、整形外科、痛みの変質/唐突な焼き肉、ChatGPT、痛苦のフルコース/期待への疲れ、『死のロングウォーク』、『ポーラX』/鍼灸院、期待するな、引く痛み/戻る痛み、『正反対な君と僕』、『アムラス』

抜粋

3月13日(月) 

一日中痛かった。痛みに塗りつぶされるような日で立っていられないような感覚になるような時間もあって
立ってられない感じ。顔を顰めながら歩く。
ポーラXを思い出す
向かい風で歩くみたいな歩き方

3月14日(火) 

再診料
明細書発行体制等加算
超音波検査(断層(心臓超音波検査を除く(その他)))(その他)
トリガーポイント注射
ネオビタカイン注シリンジ5ミリ
以下、余白
初診料
超音波検査(断層撮影法)(胸腹部)
単純撮影(イ)の写真診断
単純撮影(デジタル撮影)
電子画像管理加算(単純撮影)
電子媒体にて保存
うずくまる痛さ

3月15日(水) 

すぐに病院に行き、先入観を持たせないために整形外科のことは言わないでおこうと思っていたのだがお腹をめくられたら絆創膏が貼られていたのでたちまち隠せなくなってウケた。熱はあるか、お腹を下しているか、押したら痛いか、先生は明るい気持ちいい調子の人でいくつかの問診のあと別の部屋に移ってレントゲン、そのあと寝台に寝ると部屋が暗くなった。機械が機械らしい音を上げた、看護師が画面に何かを打ち込むと、打鍵ごとにぴっぴっぴっと柔らかい電子音が鳴った。ファスビンダーのSFとか、黒沢清の『ドレミファ娘の血は騒ぐ』を思い出させるおもしろいうさんくさい雰囲気になって、それから医師がやってくるとお腹に冷たいものを塗ってつるんとした丸い機械をお腹に押し当てた。エコー検査みたいなやつで僕の胆嚢や、膵臓と肝臓も見えると言っていたか、それらを見、何度も「きれいですねえ」「ガスガスしてもいないし」「健康ですねえ」と言いながら僕の内側を覗いた。

3月16日(木) 

帰り、夕飯はどうしようと思ってファミレスに行ったのだった、ジョナサン。けり子。『ラーメンカレー』がずうっとよくて、文芸誌で半分くらいは読んでいたから知っていたことだけれども、ずうっとよくて、このままファミレスでも読もうと思っていたのだが着いたらパソコンを開いてアマプラで野球を映し出した。もう十分に、という感じで日本がリードしていて吉田正尚がホームランを打った。村上宗隆が二塁打を打った。それを無音で見ていた。

3月17日(金) 

名を呼ばれて診察室に行き窮状を訴える。また注射を打ってくれると言う。処置室に移り、横になると、医師が来るまでのあいだ、僕は痛みのある箇所を探し、そこを抑えておく、医師が来て、ここだ、と伝える。そこをエコーみたいなやつで見ながら、僕は壁を向いているのでそれが何を映しているのかは知らない、見ながら、医師は、神経が肋骨にほとんど張り付いている、と言う。それを聞いて、僕は道理で前かがみになると痛いわけだ、そりゃあ痛いわと、痛みの仕組みのひとつが解明されたような、うれしい気持ちになる、それで医師は注射を3度ほど打っていく。神経に刺さるような強い痛みがあって、でも痛みが来るたびに、これで痛みがなくなるならば安いものだ、と思いながら、額に汗が滲んでいくのを感じている。注射を終えると医師はその張り付いていたやつを今の注射で剥がしたと言う。ただこの注射はけっこう慎重を要するもので、今の箇所は、注射針があと4ミリ行くと肺に穴が開く、そういう位置だった、だからこの病院の機械だとやれるのはここまでで、もっと精度のいい機械で見ないとこれ以上は行けないし、あまり繰り返せる手ではない、そんなことを言い、4ミリ、と僕は思う、人の手でその4ミリをコントロールできるものなのか。

3月18日(土) 

『ラーメンカレー』を読みながら初台まで行き、店。マキノさん上がり、前田さんがまだいる。前田さんが8時までいる。そのあと太田さんが手伝いに来てくれることになった。この数日、本当にみんなに助けられている。僕は直立していないと痛い、直立して顔をまっすぐ前に向けているのがベストだ、それでは店でできる仕事はない、でも洗い物とコーヒーを淹れることだったら後者のほうが楽だ、だから調理的なことを担うことにして、洗い物は前田さんにお願いする、そういうフォーメーションでしばらく過ごし、すぐに疲れる、痛みが追ってくる、逃げる。

3月19日(日) 

ぼーっとしながら洗い物もまだしない中でツイッターを見ていたら「ティラズマ」という言葉が見え、あ、と思って少年ジャンププラスのアプリを開くと『正反対な君と僕』の最新話が更新されていた、それで読んだ、修学旅行だ、平と東の様子を僕はずうっと気にしていて、ボウリングの回で平が怒ってから、何かが変わったのではのではないかと勘ぐっていたし、東がケラケラと明るく笑うのを見るたびに何かうれしい気持ちになっていた、風呂上がりの男子たちが女子たちと遭遇して恥じらう、そのときの次のコマで東が平にちょっかいを出す、そういう場面を見ながら、これはどういう願いなのだろうか、平と東がくっついてほしいとかではない、それはきっとどちらでもいい、けれど、どちらもが、のびのびと明るい楽しい顔をしていてほしいと、きっと強く祈るような気持ちで思っていた、そのひとつの結実がこの回にあったような感じがして、僕は心底うれしい気持ちになって、無料で読める過去3回か4回をまた読み直し、平と東もだけど、山田とニッシもだし、みんなみんなだ、みんな、うららかに、伸びやかに、好きなように、明るく、自分の声を発しながら、生きていってほしいと、そう思うのだった。
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