BREWBOOKSインタビュー|ひとりで手に負える範囲で何かをつくる

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本屋さん×フヅクエ連携企画「本の読める日」参加書店へのインタビュー企画。今回は西荻窪のBREWBOOKSの店主・尾崎大輔さんにお話をうかがいました。(取材・写真=フヅクエ・阿久津隆)

自力で、独学で、勉強しながら、覚えないといけない

阿久津
まずはどんなお店か教えてください
尾崎大輔さん(以下「尾崎」)
はい、「麦酒と書斎のある本屋」って、店名の後ろにちょろっと書くことが多いんですけど、クラフトビールがあって。それからこの2階を「書斎」って呼んでいるんですが、こういう場があるっていう。1階が本屋で、シェア型本屋って言うんですかね、ブックマンションとか下北沢の和氣さんのところとかみたいな棚もちょっとあるっていう、いくつかの要素があるお店ですね。クラフトビールは隣町の久我山でつくっているやつを置いてます。マウンテンリバーブリュワリーさんっていうんですけど
阿久津
もう一回いいですか?
尾崎
マウンテンリバー
阿久津
マウンテンリバー
尾崎
山、川
阿久津
山川さんだったりするんですか?
尾崎
それは違うんですよね
阿久津
へへへへへ
尾崎
由来聞いたことあるんですけど、忘れちゃったんですけど
阿久津
マウンテンリバーブリュワリー以外には
尾崎
今はマウンテンリバーだけですね
阿久津
あ、今そうなんですね、へ〜
尾崎
のボトルを置いてて。最初は他にも入れてたんですけど、コロナ禍に入ってから、なんかタップマルシェってあるじゃないですか
阿久津
タップマルシェ?
尾崎
キリンがやっている、クラフトビールのタップですね。2タップと、4タップと
阿久津
あ、道具の名前?
尾崎
はい。があるんですけどうちそれ入れてたんですけど、ドラフトはロスが出ちゃうんで、コロナ禍をきっかけにやめて、ボトルの取り揃えもブリュードッグとか志賀高原ビールとか入れてたんですけど、それも絞って、久我山のビール一本ですね今は
阿久津
あそうだったんですね
尾崎
そっちのほうがわかりやすくていいかなっていうのもなんとなく思ってますね
阿久津
たしかに。やっぱりあれですか、勝手にタップ出していると思ってたんですけど、生ってフヅクエも出してなくて全部ボトルなんですけど、生ってけっこう怖いっていうか、管理も大変そうだし、ロスもいっぱい出そうみたいなイメージがあって
尾崎
そうなんですよね
阿久津
やっぱりあれですか、一回コロナで全然出せない時期だいぶ長かったと思うんですけど、そこからも、ビールの提供量も減ったりする感じだったんですか?
尾崎
うちはやっぱイベントありきなんですよねドリンクを動かすのは。だからイベントがまず打てなくなって、それと連動してドリンクも動かなくなっちゃうっていう感じだったんで、タップはやめました。生ビールあるって言ったほうが、お客さんからしたらわかりやすいし、価格もボトルより安くできるし、だからアイテムとしては魅力的だったんですけどね。だけど一回開けちゃうと期限が短いんで
阿久津
そうですよね
尾崎
キリンの人には2週間で売ってくださいって言われたけど、ちゃんとした飲食店だったらなんの問題もないと思うんですけど、うちみたいなイベントありきだとね、イベントの予定が立たないと、ちょっと出せないっていう感じになっちゃいますよね
阿久津
でも2週間くらいはいけるものなんですね
尾崎
そうですね、そう言われてましたね。まあ他のドラフトがどのくらいかは僕もよく知らないんですけど
阿久津
開業が、2018年の秋っていう感じですよね
尾崎
そうですね、だから4年ちょっとですね
阿久津
今日は始まりの話をいろいろ聞きたいんですけど、もともと、システムエンジニアをされていて、辞めて、立ち上げたっていう
尾崎
ですね
阿久津
大学はでも日本文学を専攻してたんですよね
尾崎
そうですね
阿久津
あ、ごめんなさい、そもそも、システムエンジニアって僕ずうっと、なんか、はっきりと理解しない職業なんですけど、あれって、プログラマーとは、また違う、どう同じでどう違うんですか、まったく別の職種なんですか
尾崎
システムエンジニアがプログラマーよりおっきめの
阿久津
おっきめの概念
尾崎
概念
阿久津
あ、はいはい
尾崎
プログラマーって、あんまり、言わないんですよね実際
阿久津
ああ! そうなんですねえ!
尾崎
プログラミングだけしてる職業の人って、ほとんどいないと思いますね
阿久津
へえ!
尾崎
もっと全体の、お客さんと話して、要件を決めたりとか、設計したりとか、わりと上のほうの工程があって、下のほうがプログラミング
阿久津
ふ〜ん!
尾崎
なんだろう、けっこうサラリーマンチックです実際は。コミュニケーションの仕事のほうが全体の割合としては多いんで
阿久津
あ〜〜、あ、へ〜あ、じゃあ、あれですかね、全然コードを、あ、プログラミングっていうのはコードを書くっていうことで合ってますか?
尾崎
そうですね
阿久津
じゃあ全然コードを書かないSEっていうのもいるっていう感じですか
尾崎
いますいます
阿久津
ああ!
尾崎
だんだんこう、中堅とかベテランになっていくと、あんまり触らなくなっていって、お客さんとの要件定義とか、なにか決める仕事が増えていきますね、一般的には
阿久津
あ、へ〜〜〜
尾崎
プログラミングはわりと若いときにやる。といっても、忙しくなったら誰でもやらなくちゃいけないっていうことは起こりうるんですけど
阿久津
あ、一度離れてもやれるもんなんですね、へ〜!
尾崎
基本はそういう流れなんですよね
阿久津
尾崎さんは、そこで、どういうことをされていたんですか? あれ、何年くらい働いてたんですか?
尾崎
たしか11年くらい、10年以上は働いてましたね
阿久津
会社は
尾崎
会社は2社ですかね。新卒で入ったところ、一度転職して、そうですね、10年以上は合計で働いてましたね
阿久津
じゃあ10年もいるとけっこう、いろいろやって
尾崎
最後のほうはそうですね、中堅的なところにいて、お客さん先に行って働くとかしてました
阿久津
あ、出向っていうやつ
尾崎
出向的なやつですね、けっこうそういうのも多くて。ややこしいんですよね、業界構造が。お客さんのところに行ってその先に本当のお客さんがいてとか、あるんで。こう、多重下請け構造とか言うんですけど、悪い構造なんですけど
阿久津
えっへっへ
尾崎
下請けの下請けの下請けみたいな
阿久津
へ〜〜〜
尾崎
あんま、イメージつかないですかね
阿久津
なんか人の仕事の話って面白いですよね
尾崎
あっはっは! だから2社にいましたけど、実際はその客先に常駐していることとかも多いから、だから現場の数的にはもっと実はたくさんあるんですよね
阿久津
出向って、なんか、出向先の会社への帰属みたいなものって、生まれて、なんかどういう扱いになるんですか
尾崎
契約的には派遣契約なんですよね
阿久津
あ出向先の会社との、はいはい
尾崎
だから僕は元いる会社の正社員なんですけど、その客先と派遣契約して、月いくらとかで、僕がそっちに働きに行くんですよね
阿久津
ああなるほどなるほど
尾崎
でそこの人たちと一緒に仕事をするみたいな
阿久津
じゃあもう、そのときは仲間っていうか、その会社にいるっていう感覚
尾崎
そうですね、そこの名刺つくられて、そこの会社の名刺でクライアントのところ行って打ち合わせしたりとかするんですよね
阿久津
ああなるほど、へ〜〜〜
尾崎
で、そういうときは、だいたい上流、上のほうの会社の人たちって細かい技術的な知識はないから、具体的なところは僕みたいな人がサポートしながら、案件を取ってきたりとか、そういうことをするんですよね
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阿久津
その、新卒でシステムエンジニアになったわけですよね。その、日本文学を学んでいた人が入れるもんなんですね
尾崎
入れますね
阿久津
そのときはプログラミングとかできたんですか
尾崎
いや、全然できなかったです
阿久津
ほえ〜
尾崎
まったく未経験で、入りましたね
阿久津
けっこうあるもんなんですか?
尾崎
どうなんですかね、あると思いますね
阿久津
あ、へ〜
尾崎
まあなんか、未経験大歓迎とかよく書いてるじゃないですか求人広告
阿久津
はいはい
尾崎
そういうのはその、システム開発の業界でも別に一緒で、まあ、きついですけどねなんにも知らないと。入る会社にもよるとは思うんですけど、まあゼロから始めるってなったら、別に全部教えてくれるってわけじゃないんで、自力で、まあ独学で、勉強しながら、覚えないといけないんですけど
阿久津
ふんふん
尾崎
案外そんな理系の知識とか別に要らないんですよ、実際は。うん、なんか技術書とか分厚いのいっぱいありますけど、そういうの買って、やればまあ覚えられるんで。阿久津さんはNotionとかすごい使ってるから、イメージ湧くと思うんですけど、まあ触りながら覚えていくじゃないですか
阿久津
まあ
尾崎
うん、だからそこは、やる気があればできて、やっぱりそれ以前にコミュニケーション能力が大事なんで
阿久津
あー、そうなんですね
尾崎
社内のやりとりでもクライアント相手にでもきちんと説明できないといけないんで、そういう意味では最初のイメージとは違いましたけど
阿久津
あ、へ〜〜〜
尾崎
黙ってなんか作ってりゃいいのかなってやっぱり
阿久津
あ〜〜〜
尾崎
最初は僕も思ってたんで
阿久津
そしてそれが、肌に合ってそうだなって感覚だったってことですか
尾崎
そのときはそう思ってましたね。営業まわりとかは絶対に嫌だって思ってたんで、絶対ないなって思ってたんで、そうするとあんまり選択肢が思いつかないんですよね、就職どうしようって思ったときに
阿久津
うんうん
尾崎
日本文学部だったから。商学部とか、経済学部とか、なんとなく、もうちょっと具体的な学部の人たちがいるじゃないですか他に
阿久津
うん
尾崎
なんかそういうことも学んでないしなあみたいなへっへっへ
阿久津
えっへっへ
尾崎
まあそれもね、今にして思えば別に大して関係ないんですけどね
阿久津
いやあ本当ですよねえ、でも就職って、新卒の就職活動ってほんとに、なんにも知らないでやりますよね
尾崎
ね! ちょっと不思議ですよね
阿久津
うん
尾崎
マジでなんにも知らないでがんばってますよね
阿久津
ほんとですよね、なんていうか、結局、一日の、なんていうか、仕事って、その一日の中で、何を具体的にやるのかみたいなことの積み重ねだと思うんですけど、なんか、みんな商社とかに、就活強者たちは行きますけど
尾崎
そうですよね
阿久津
商社で何をやりたいんだろうなってえへへへへ、ほんと、今でも思いますねというか、今でも僕商社って何をやる会社なのかわかってないははは!
尾崎
なんかね、異動とかもありますしね。やっぱ、企業に就職するんですよね、職種じゃなくて。その中でなんでも、やりまっせみたいな、感じなんですよね
阿久津
そうなんですよね、まあそれしか、選ぶもなにも、取っ掛かりがないっていう感じはありましたよね、なんせわかんないですもんね
尾崎
システムエンジニアとかプログラマーってのは、職種じゃないですか。だから手に職を持てるのはメリットだと思ったんで。まあ別に、開発をしてる会社いくらでもあるし、なんとかなんだろうと思って、選びましたけどね、やっぱ僕も商社的なところに入れたとして、何するかまったくわからなかったから、そっちにはなんか、こう、行けなかったですよね
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事業計画とか考えるの好きだったんですよ

阿久津
それであれですよね、西荻窪開店前夜としては、西荻窪に引っ越してきて住んでいて、西荻いいぞみたいになってったんですよね
尾崎
そうですね
阿久津
それ以前はどこに住んでたんですか
尾崎
それ以前は、まあ学生時代になるんですけど
阿久津
尾崎
小田急線沿いに住んでましたね、相模大野駅ってのがあって
阿久津
あ、はいはい
尾崎
でも学生時代は何度か引っ越してるんですけど
阿久津
あ、そかそか、僕なんか西荻、働いてる途中で引っ越してきたのかなと思ったんですけど、もしかして会社員やってるときはずうっと西荻ですか?
尾崎
そうですね
阿久津
あ、そうか勘違い
尾崎
学生時代の後半と、就職してからもしばらくは相模大野に住んでていて、そのあとこっちに引っ越してきた感じですね
阿久津
じゃあもう長かったんですね
尾崎
長いですね
阿久津
じゃあ、西荻窪の、なんていうか、なんか僕西荻に途中で引っ越してきてこう、その、後ろの3年くらいで、西荻ライフで、西荻いいぞウキウキ、ここでやろうみたいな流れかと、思ってたんですけど、もうどっぷり西荻にい続けた上で、改めて「西荻」ってなったっていう
尾崎
そうですね
阿久津
それはすごいことですね、西荻の酸いも甘いも知り尽くしてあっはっは
尾崎
や、言ってもそんな詳しい人ってわけじゃないです僕は。なんだろう、好きだけど、ちっちゃい店とか入るの、臆病だからすごい勇気が必要だったりするので、そんな詳しくないっす
阿久津
じゃあ、「西荻でやりた〜い」、あれ? 「独立したい」が先だったんですか、「何かしら西荻で仕事がしたい」が先だったんですか?
尾崎
後者ですかねえ
阿久津
ああ、へえ!
尾崎
別に、独立ありきってわけじゃなかった気がしますね最初は
阿久津
はあ〜、あ、その感覚ってすごい、全然想像がつかないな
尾崎
あそうですか
阿久津
なんかよっぽど好きだったんですね
尾崎
どうだったんですかね、なんか、うん、最初はもっと小さい発想だったんですよ、それこそプライベートでプロジェクトを立ち上げて、アプリでもつくるかとか、その程度の発想から始まっているので
阿久津
ふん
尾崎
なんかそれがいつの間にか、最後は本屋やるってなってるんですけど
阿久津
へへへちょっと! ごめんなさいそれはもうちょっとちゃんと、言ってもらっていいですか
尾崎
あっはっは!
阿久津
え、なんですか、プライベートでプロジェクトを立ち上げてアプリでもっていうのって、それってどういうことですか
尾崎
それは、システムエンジニアで働きながら、趣味的にももともとやってたんですよ、アプリつくってリリースしてとかは、個人で趣味でやってたんです
阿久津
ふんふん
尾崎
だから趣味でなんかやるっていうのはもともとあって、で、リリースすると、ちょっと外の世界とつながって楽しいみたいな感覚は知ってたので、それで日頃からなんとなく、何か面白いことできんかなみたいなことは多分、考えてて
阿久津
あ〜、それは西荻に関する、西荻と関わるような何かしらのアプリケーションということですか
尾崎
そうですね、なんか流れで、西荻がらみでできんかなみたいな発想にあるときなったんですよね。まああんまり、アプリと街っていけてる組み合わせじゃないから、それは最初のほんと発想だけでしたけど、そうこうしているうちに、なんだろうな、事業計画とか考えるの好きだったんですよ
阿久津
むふふそれは、なんか、仕事の中でもそういうことをやる機会があったんですか
尾崎
そうですね、本業ってわけじゃないんですけど、会社って常々求めてるじゃないですか、新事業とか、ヒットする何かとか
阿久津
ふんふん
尾崎
一応そういう社風だったんで、提案は聞いてくれる会社だったんですよ、とりあえず聞いてはくれる。だから事業計画とか考えて提案したりとかの、社内だけどそれも半ば趣味でやってて
阿久津
へ〜〜〜
尾崎
ふるさと納税が簡単にできるアプリとか考えて提案したりとかしてたんですよ、そのときは。寄附の文化が広がるきっかけになったら面白いなとか思って。だからなんていうんでしょうね、その延長とまでは行かないけど、思考回路としてはもともとそういうのがあって。で、それとは別でもともと本が好きだったっていうのがあるんで、でビールも好きだから、なんか西荻に帰ってきてから、一杯飲める本屋があったらなあって素朴に思ってましたよね
阿久津
はいはい
尾崎
仕事柄時期によっては夜遅くなるんで、けっこう閉まっているから、本屋も飲み屋も。だからその、飲むだけならまあ店ありますけど、なんかほんとに一杯だけでいいから飲みたいときってないですか?
阿久津
いやありますよねえ!
尾崎
ちゃんと座ってなんか注文してじゃなくて、中ジョッキ一杯だけでいいんだみたいな!
阿久津
めっちゃ、ありますね、へへへめっちゃってほどじゃないけど
尾崎
かはは
阿久津
あるあります
尾崎
まっすぐは帰りたくないけど、そんなしっかり一時間とか二時間とかいたいわけでもない。なんかなあって思って。でその一杯だけっていうのを求めて、夜中にうろうろするんですけど
阿久津
あははははは!
尾崎
でそれはないんですよ
阿久津
あ、へ〜〜〜、なんか、ちょっと、しっかり招き入れられちゃうみたいなお店っていうことですか
尾崎
そうなんですよね、まあ入って別に一杯で帰ってもいいけど、なんだろ、そういうふうにはつくられてないから、入るとなんとなく長居しちゃうじゃないですか、なんか頼まないとなって思っちゃうし
阿久津
うんうん
尾崎
もうちょっと、だからほんと、一杯だけ飲めるビールスタンドないかなみたいな、思ってたんですよ
阿久津
やあ、わかるなあ
尾崎
でそういうことができて、本も物色できるお店があったらいいなっていうのは、なんか思ってたんですよね、それと事業計画とか考える回路が、なんとなくつながって。そういう店あったらいいなーって思ってましたね。それで調べ物とか始めたんですよ。アルコール出すのってなんか許可とか要るのかなとか
阿久津
うんうん
尾崎
調べ始めたりとか、あと本屋ってどうやるのかなとか、それも許可とか要るのかなとかっていうところから調べて、そうしたら『これからの本屋読本』っていう本が出て、内沼さんの。そこに全部書いてあって。あとはTitleの辻山さんの『本屋、はじめました』が出て、事業計画書とか載ってて、なんか「揃った!」って思ってあはははははは!
阿久津
あはははははは! えへへへへへ!
尾崎
揃ったぞみたいな
阿久津
すごーいなんか、本って偉大ですねへへへ、なんか先人たち、偉大だなあって今、ははは
尾崎
へへへだからタイミングがよかったんです、それ以前は調べてもたぶんそうそう出てこなかったと思うので、本屋のことに関しては。飲食はいくらでも調べたら出てきますけど。みたいなことがあり、計画だけはなんか、それっぽく仕上がってしまって
阿久津
へ〜〜〜
尾崎
でまあなんか、正直に言うと、そのSEとして、これからもずっとやるんかな、どうなのかなっていうことも考えていました。まあ50過ぎの上司とかがいて、この人みたいに働けるのかな、けっこうタフじゃないと無理なので、いや〜自分はちょっと多分、メンタルやられるなと思って
阿久津
ああへ〜
尾崎
うん、そんなタフじゃないので。なんかその、この人は20年後の自分ではないからな〜と思って。そういうこう、外の世界を見ている時期でもあったんですよね
阿久津
外の世界というのは
尾崎
SE以外の何か
阿久津
他の可能性を考えつつあった
尾崎
そうですね、転職しても、そんな変わらないのはわかっていたので。業界全体としては似たようなものなのでどこに行っても。だから、うん、業界の外の可能性ってあるのかなとかって、ちょっと、思ってたときではあって、それでなんか、やってみよう! って話になって。話というか自分の中で勝手に、やることになったんですよねははは、そこはねやっぱ、自分でこうやって説明していても飛躍があるなと思うんですけど
阿久津
飛躍しなきゃ、店なんて始められないんじゃないかって気がしますよね
尾崎
飛躍しましたか阿久津さんは
阿久津
僕もともとお店っていうものを始めたのは、フヅクエの前、岡山でなんですけど、カフェをやっていたんですけど
尾崎
それはご自分のお店だったんですか
阿久津
そうですね、僕ともうひとりの共同経営で、ふたりで立ち上げてっていう感じだったんですけど、それはもうあれですね、それまで会社員で営業だったんですけど、それがもう嫌すぎて
尾崎
ははは!
阿久津
だから飛躍っていうかもう逃亡ですね
尾崎
あーあー
阿久津
だから、「カフェがやりたかった」とかですらなかったというか、逃げ場が見つかったかも、みたいな感じだったのかな僕の始まりは。まあもともと、カフェっていうものはだいぶ好きだったし、お店で働くっていうのも大学のアルバイトはだいたい飲食店だったんで、好きではあったんですけど、自分がそういう仕事をするとは想像もしていなかったですね。だからもう、えいやっていう感じですね。えいやっていうか、ああもうこっちかなっていう感じでしたね
尾崎
僕もなんか、最後のほうは、「脱出」っていうキーワードが泳いでましたね
阿久津
あーはいはい、なるほど〜
尾崎
よく脱サラってたまに言われるんですけど、脱サラっていう言葉は好きじゃなくて、なんかちょっと昭和の匂いがして、古い言葉だから。あと脱サラってただサラリーマンを辞めたっていう意味で後ろ向きだから、何かを始めたっていう意味が削がれているから、そんな好きじゃないんですけど、まあたしかに、「脱出」って考えてたなってちょっと思って。嫌だけど、合っているっていう側面はちょっとあって
阿久津
へへへ
尾崎
危機感はちょっとありましたね正直
阿久津
そこまでのあいだで体調を崩したりを経由したりとかも
尾崎
僕はうつ病になったりとかっていうのはなかったんですけど、でもけっこう危うい経験みたいなのは何度かあって
阿久津
うんうん
尾崎
新卒で入った会社は、出向先の上司がちょっときつめの人で、それで行けなくなっちゃって
阿久津
あーあーあー
尾崎
2週間くらい急に休んで
阿久津
はいはい
尾崎
行けなくなっちゃったんですよ、そのまま辞めたんですけど。だから、何かがあるとそういうメンタル不調にはなるなあっていうのがわかってたんで。で、それがいつ来るかっていうのはわからなくて。人間関係でそうなるので、単に仕事がハードでたくさんやることがあるとかは平気なんですけど、やっぱ人は難しいですね。わりとそこは運っていうか、自分では決められないので
阿久津
そうですよね
尾崎
だから、今回はこの案件のこのメンバーは大丈夫だった、けど次はわからないみたいなことが続く。プロジェクトは半年とか一年とかで終わって、別の案件にアサインされたりとかっていうサイクルなんで、なんかいつか、壊れちゃうぞみたいなのがあって、そうですね、脱出せねばっていうのがちょっとあった
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反対されても、「じゃあやってみます」ってなっちゃう

阿久津
脱出を具体的に考え始めたのは、どのくらい
尾崎
けっこう直前ですね
阿久津
あそうなんですね
尾崎
2018年の秋にオープンしたんですけど、多分その前年、17年とか、うん、ぐらいだと思いますね
阿久津
それでぽやぽや考えていく中で、本とビールのこととかが、アイディアとして出てきたのはどこらへんですか
尾崎
たぶん17年の秋とかですかね
阿久津
じゃあけっこうもう、思い立ってから始まるまでがけっこう短いですよね
尾崎
短いと思いますね。なんか長年あたためてきたとかじゃないです。夢を叶えたとかでもないし
阿久津
うんうん。じゃあけっこう思いついたときに、なんか、これっぽいな〜って感じになってったんですかね
尾崎
へへへ、そうですね、こうなんか、考えが形になってくると、具体的になってくると、気に入ってくるじゃないですか自分の中で
阿久津
あっはっは気に入ってくるそうですね
尾崎
気に入るとね、あんま、誰かに反対されても、聞かなくなっちゃうっていうかっはっは
阿久津
いや〜聞かなくなりますよねえ。ていうか聞いちゃうくらいだったらそんなにやりたくないんだなあって
尾崎
うんうん
阿久津
自分は思うかな。ああ、そういうタイプなんですね
尾崎
そうですね、すごいそういうタイプですね。だからあんまりその、景気とか、成功するしないとか、関係ないですよね
阿久津
いやあほんとに
尾崎
そんな何か大規模にやりたいわけでもないから。あんまりそういう外的要因は気にせずに始めちゃいましたけどね
阿久津
それって思いついて気に入っちゃった以上、試してみないと気が済まないみたいなことってあったりします?
尾崎
ああ、ありますあります
阿久津
ありますよねはははは!
尾崎
やっぱりこう、反対されても、「じゃあやってみます」ってなっちゃうんですよ
阿久津
なる〜〜〜!!
尾崎
あははははははは! どうなるかやってみます!!
阿久津
あははははははは!!
尾崎
だってそれこそ阿久津さんもそうだと思うけど話だけ聞いて「あ、じゃあ辞めます」ってならないですよね
阿久津
いやあならないですよね、なるんだったらやらないほうがいいですよね
尾崎
うん。それは単にやる気ない
阿久津
いやあえっへっへ。なんか、趣味でアプリをつくってリリースしてみるとか、趣味で事業計画を書くとか、なんかあれですよね、ずいぶん能動的な趣味が多いですよね、手を動かすというか
尾崎
そうなんですかね、もともと無趣味だと思ってるんですけど。まあアプリつくるとかも、未経験で入って、やばいっていう危機感が最初にあったからだと思うんですよね。プライベートの時間も勉強に充てないといかんというのがあって、やってるうちに、できるようになったら楽しくなって、そのまま趣味でやってるみたいなところとか。会社だと仕事は選べないから、好きなようにはできないんで、だからプライベートで自分でやれば好きにやれるから、楽しいなっていうのはあって、いつの間にか趣味になってた、ぐらいのもので、なんかそんな、遊び上手っていうわけではまったくないですね
阿久津
そういう感覚と、お店もつくってみるみたいな感覚って通じていきそうな感じがしますね
尾崎
なんかちっちゃいころ、本当に小さい頃は夢がふたつあって、漫画家と、あと、ちっちゃい居酒屋というか、飲み屋みたいなのに憧れてたんです漠然とですけど。だから、なんか、漫画家にはなってないけど、SEになって趣味でひとりでつくるとかはちょっと通じてて、まあ居酒屋じゃないけど店も実際やってしまっているから、ちょっと通じている。だからなんだろう、ひとりで手に負える範囲で自分で何かをつくるというか、そういうのは始めから憧れとしてはあったのかもしれないですね
阿久津
ひとりで手に負える範囲で何かをつくるっていい、ああ、これがタイトルになるんだなって今思いました
尾崎
あはは!
阿久津
あっはっは! いいですねえ
尾崎
自分の場がほしいっていうのがあるのかもしれないですね。自分で、安全な場っていうか、物理的な空間でもいいし、何か小さいものをつくるっていうのも場だと思うんですけど自分の中の。なんかそれを欲しているのかもしれない
阿久津
「そこは別にいいよな」っていうところ気になっちゃったんで聞くんですけど、ちっちゃいころに、居酒屋をやりたいってどういう感覚あっはっはちっちゃいって何歳くらいのときのへっへっへ
尾崎
たぶんほんと、5,6歳とか
阿久津
あははは、うん
尾崎
イメージ的には、小料理屋、なんか日本酒の銘柄が書いてある立て看板あるじゃないですか
阿久津
ああはいはい
尾崎
高清水とかって書いてある、光ってるやつ、を店先に置いて、暖簾があって引き戸になってて、窓とかはなくて、中どうなってるかわからない、古いお店あるじゃないですか、あれに憧れてたんですよね
阿久津
へ〜〜〜それは中に入ってというより外からという感じなんですかね
尾崎
入ったことはなかったはずなので、想像なんですけど、でも、開けたらカウンターだけあって、カウンターに何席かあって、おそらくは常連さんがいて、店主が一人で切り盛りしてるみたいなイメージがあって、なんでそんなイメージをっはっはっは
阿久津
ははははははほんとですよね
尾崎
よくわかんない、『美味しんぼ』とかなのかなあっはっは! 何かで知って、憧れてた
阿久津
なんか、基地みたいな感じなんですかね
尾崎
あ〜〜〜〜、基地、いいですね、基地、そうですね、基地ですね。広すぎてもいけない。でもここつくるときは別に、そんなこと一切考えてなかったですけどね、その自分の中で
阿久津
こうつながったぞみたいな
尾崎
そうまったく、気づいてなかったですけど
阿久津
物件はすんなり見つかったんですか? あれ、待って、退職してから完全に動き始めた感じですか?
尾崎
いや、準備できることはしてましたね、事業計画考えるとか、あと助成金の申請したりとか、やれる分はやってました。物件は辞めてからでないと動けないんで辞めてから探しましたけど
阿久津
退職は何年何月
尾崎
ええと夏頃だったかな、18年の、夏までいかないか。でも、2018年のど頭で退職をしますっていう話を会社にしたんですよ。そのあとけっこう長く引き止めがあって、それから半年くらい掛かったんですよね辞めるのに。だから6月7月とかに辞めたんだと思いますね
阿久津
オープン10月ですよね
尾崎
そうです
阿久津
なぜか僕がいま焦ってきました
尾崎
あははは! でもそう物件探しは時間かからなかったんですよ、多分そこ時間かけるじゃないですか普通
阿久津
かけるっていうかかかっちゃうですよね
尾崎
街を決めるのも多分慎重にやるし物件もそうだと思うんですけど、そこに時間かけなかったんですよね。西荻って決まっていたし、店舗向けの物件ってそんなに出てない時期だったんでそんなに選択肢もなかったっていうのもあって、何軒か見て、ここを紹介してくれて、もうそれで決めちゃいましたね
阿久津
ここ見つけたらもう、「見つかった!」って思いそうですよね
尾崎
気に入っちゃったんですよね
阿久津
いやそうですよねえここは、いいですよねえ
尾崎
まあ苦労は多いですけどね
阿久津
古いですか?
尾崎
古いです。45年かな、今年で。だから寒いです。床とかここ冷たいと思うんですけど。夏はめちゃくちゃ暑いし、冬は寒いし
阿久津
物件探しにあたって自分の中での条件、金銭的なもの以外にも、こういうところ、みたいな決めてる部分ってありました?
尾崎
まあ本の売り場と、ビールを出すっていうのももう決めてたんで、それができるっていうのが条件としてはあって、あとは路面だったらいいなあとか、そのくらいだった気がします。あんまりそんなに求めてなかったんで、まあ2階建て、こんな戸建ての物件にしたいとか、まったく思ってなかったですし
阿久津
東京で「戸建ての物件って決めてるんです!」って言ってる人がいたら、あの、ちょっと、考え直したほうがいいかもってははは
尾崎
さすがに、大丈夫かってなりますよね
阿久津
なかなか出てこないんじゃないかな〜って
尾崎
求めすぎですよねあっはっは。だからちょっとオーバースペックなんですよ本当は
阿久津
思っていたよりも広いってことですか
尾崎
広いですね、だからどうやって使おうかなっていうのを、物件、決めてから考えて
阿久津
シャワーとかはないんですか?
尾崎
ないです。1階に実は風呂場はあるんですけど、そこは潰して物置きっていうか、バックヤードにしていて
阿久津
なんで聞いたかっていうと、2階は住んじゃうっていう選択肢はなかったかなと思って
尾崎
ありましたね、まあ実際、住まわれていたので、ここをする前は
阿久津
ギャラリーが1階で上が住居だったんですよね
尾崎
そうですそうです、ただ、可能ではあったんですけど、でも、住もうっていう気持ちはなかったですね。もちろん住んだほうが経済的なんですけど。ここはイベントとかお客さん入れる空間なので、あんまりそこで住むのはなっていうのは、分けたかった
阿久津
僕だったら住んじゃいそうだなって。いや、最初の2年くらい家借りてなかったんですよ
尾崎
お、どういうことですか?
阿久津
フヅクエで寝てたんですよね
尾崎
初台の
阿久津
初台の。寝袋置いて
尾崎
マジですか! シャワーとかあったんですか?
阿久津
近くにエニタイムフィットネスがありました
尾崎
なんですかそれは
阿久津
ああの24時間のフィットネスクラブ
尾崎
あ〜〜〜、そこで
阿久津
そうそうなんか、閉店したら行って、30分走って、シャワー浴びるみたいな、まあ走らないでシャワーだけ浴びる日もあるんですけどもちろん
尾崎
24時間
阿久津
そうそういつでも行けたから。風呂はそれで済んで、コインランドリーで洗濯できるし食べ物はいくらでもあるしみたいなははは!
尾崎
はっはっはっは!
阿久津
なんだろう、暮らしのクラウド化みたいな
尾崎
はははははなるほど
阿久津
なんかねけっこう快適だったですよ
尾崎
ああほんとですか、向いてました?
阿久津
向いてたのかもしれないですね、いま考えるとよく体ギシギシにならずに寝れてたなあって思うんですけど
尾崎
いやあそうですよ。妄想はするんですけど、自分はそこまで、もともとの健康度合いもあんまりよくないので、寝床はちゃんとあったほうがいいなって思って。僕はやらないですけど、でもできる人はいいなと思います
阿久津
なんかお金……どうせ店にいる時間のほうが圧倒的に長いんだよなあって思ったときに、家にお金かあ、って思っちゃったんでしょうねそのときは
尾崎
いやたしかにそうなんですよね。ほとんどここにいるので、ほんと寝床、なんですよね家の必要な機能が。シャワーと寝床。考えはしますけどね。だから住民票の住所は僕ここにしてますね自宅じゃなくて
阿久津
あ僕もそうです
尾崎
郵便物とか全部こっちのほうが受け取れるんで
阿久津
そうそう僕も、そう
尾崎
あはははは!
阿久津
そうなんですよ僕いま住まいは調布なんですけど、でもなんか住民票を店にしておくと、引っ越ししても変えなくていいっていうあはは
尾崎
ああそうですよね
阿久津
ああそうかっはっは。同じことやってる人いたんだなって
尾崎
集約したほうがいいっていう話ですよね
brewbooks_4.jpg

過去に戻りたい地点が一切ないんですよね

阿久津
お店の名前は他の候補ってありました?
尾崎
ありましたね、けっこう悩みましたね
阿久津
あ悩んだんですね、けっこうもうすぐピタっと来たのかなと思ってました
尾崎
最初は「NISHIOGI BOOKSHOP(西荻ブックショップ)」とか
阿久津
お〜〜〜〜
尾崎
考えましたね。あとここ住所が西荻南の3丁目の4の5なんですけど、3,4,5で揃ってるから「BOOKS345」とか
阿久津
ふ〜〜〜んはいはいはい
尾崎
候補はあったんですけど。西荻ブックショップは、わりとこう自分の中では優勢な店名だったんですけど、オープンが近づいてくるにつれて、西荻って冠するのおこがましいなとか、ビビり始めて
阿久津
はいはい
尾崎
何様なんだとか思い始めちゃって、ビビってやめましたね
阿久津
いやーたしかにそれビビりそうですねえ
尾崎
あっはっは! やっぱり西荻好きな人多いんで
阿久津
そうですよねえ
尾崎
ブックショップもなんか、本好き多いし、なんかこう、怖いなあと思ってへへへ
阿久津
うん、怖そう……
尾崎
ははは!
阿久津
もう、今それ聞いて、「いや〜西荻ブックショップにならなくてよかったなあ!」って思いながら
尾崎
あははははは!
阿久津
ブリューブックス大正解でしたね
尾崎
名前が引き起こす誤解ってありそうなんで
阿久津
いや〜ほんと、危なかったですよそれ!
尾崎
あははははは! そうなんですよ
阿久津
ああでも、それってその店名がいいなって思ってたのって、やっぱり意識がすごい西荻窪っていうのが強かったというか、そういうことの表れってことなんですかね
尾崎
ですかね。なんかキャッチーでいいかなっていうのもありますけどね
阿久津
西荻窪の人たちに向けて開くんだみたいな感覚でした?
尾崎
うーんどうだったんだろう、何を考えてたんでしょうねそのとき。なんかそこまで明確に、街に対して開こうみたいな意識があったわけでもないんですけど
阿久津
あ、じゃあ、自分が街でこういうことをやりたい、っていうそういう欲望からっていう感じですかね
尾崎
そこは双方向っていうか、準備してるときに街の人がやってきて、何になるんですかとか、交流がもう始まるんですよね。オープン前から始まってた。オープン直前の時期に街でハロウィンイベントとかがあって、参加させてもらったりとかもしてて、なんか、そういうの全部断らないで僕は出させてもらってたんですけど。だから自ずと開かれるという感じでした
阿久津
ああなるほど
尾崎
そこはたしかに西荻の特性かもしれないですけど。気に掛けてくれる感じ。やっぱり僕もそうですけど、西荻に新しいお店ができるって知ると、気になるし楽しみになるので、そういう感覚を持ってる人が多いんじゃないかなあと思いますね
阿久津
いいですね、初台にはまったくない感覚ですね。僕いまだに隣のお店の人とほぼしゃべったことないんですよねあっはっは!
尾崎
ビジネスマン多いですよね意外に
阿久津
会社が意外に多いというかオペラシティの中に多分いっぱいオフィスとかなんで。でもその商店間のつながりみたいなものは本当に、いや僕が知らないだけであるのかもしれないけど、商店会とかはあるんですけど
尾崎
ありますよね
阿久津
僕が入ってないだけなんですけど
尾崎
あ、そうなんですね
阿久津
月1500円くらい会費がって言われて「1500円も月にって、なんか、DAZNとか入ったほうがいいんじゃないか」みたいな
尾崎
あははは。そこはなんか1500円に納得感がないと、入れない感じですか
阿久津
うん何に使われるんだろうっていうのが、ちょっとそれ聞いたときは、出したくないなっていうので断った感じで
尾崎
交流にはなるかとかは思わずそこは
阿久津
そうですね。今だったらちょっと感覚違うなと思うんですけど、当時は、全然、初台でやってるだけであって全然初台の人に向けてやってるわけじゃないからっていう意識がとにかく先鋭化してたんじゃないかなっていう
尾崎
ああ。でもね僕も最近商店会抜けたんですよ
阿久津
あそうなんですね
尾崎
月2500円だったんですけど
阿久津
え、せんご、にせんご?
尾崎
2500円
阿久津
2500円!? え、たっか……高いのかわかんないけど
尾崎
オープンしたら会の人がきて入ったんですけど、当時は朝市とかここの、神明通りっていうんですけど、通りで月1でやってたりとか、取り組みが見えてたんで、あとはインフラまわりのメンテに使ってるって聞いて、そこはお金出していいって思って入ったんですけど、コロナ禍に入ってから取り組みが見えなくなって
阿久津
あ、そうなんですか、へ〜〜
尾崎
あと2500円はやっぱりきついなって思ってたんで、だからそれは、ちょっと言い出しにくかったけど辞めました
阿久津
いやな顔されませんでした?
尾崎
そのときはすぐに承諾してくれて何もなかったんですけど、その次に会ったときちょっと気まずかったですねはっはっは
阿久津
あっはっは!
尾崎
なんでこの話をしてるんでしたっけ?
阿久津
えーと、あれ、店名かな
尾崎
あ店名だ、街の、NISHIOGI BOOKSHOPじゃなくてっていう
阿久津
ふふふ
尾崎
ブリューブックスは、ブリュードッグから取りました。ドッグをブックスに変えて
阿久津
ぴったりの名前ですよね。何やってるかが明確というか伝わりますもんね。そうそう西荻ブックショップだとビール売ってなさそうじゃないですか
尾崎
あーそうですね、ビール要素がない
阿久津
その、ビールに加えてけっこうイベントもいろいろされてると思うんですけど、それも始めてからっていう感じですか、なんていうか、「イベントもやっていこう」みたいなのって
尾崎
もちろんB&Bさんとか知ってたから、イベント打って回していくんだみたいなやり方があるっていうのは知ってたんですけど、僕の場合は全然まったく門外漢だったから、別に出版社とか著者とコネクションもまったくないから、「まあなんかいずれできるようになんのかな〜」くらいに考えてたんですよねふふふ
阿久津
ふふふ
尾崎
そしたら、わりとやりましょうって言ってくれたというか、向こうから。あと読書会やりたいですって言ってくれる方が現れたりして、僕の中ではもっとできるようになるのは先だろうと思ってたんですけど、わりとすぐできちゃって
阿久津
へ〜〜〜。一番最初のイベントって覚えてますか
尾崎
一番最初は読書会だったのかな、西荻に住んでるお客さんが読書会をやりたいってその時期ちょうど思ってたみたいで、でそういうときに店ができたんで、うちでじゃあやりましょうって話になり、ただそのときは、うち主催っていうよりはその人の読書会をここで開くっていう感じだったかな、でも新しい店だからお客さん来てくれて、本好きの人たちが。多分それが最初だったのかな
阿久津
ふんふん
尾崎
だから、著者イベントは今も苦手というか、あんまり自分からってならないですね
阿久津
あそうなんですね
尾崎
お声がけいただいて実現するパターンが多いです
阿久津
それは、何が苦手なんですか
尾崎
なんか、緊張するからです
阿久津
あっはははは!
尾崎
あとここでできることってわりと、普通のトークイベントってなるべくたくさん、多いほうがいいじゃないですかお客さん。だからもうちょっと大きな箱でやるのが向いてると思うんですけど、ここは10人くらいでマックスなんで、それだと、謝礼的にもよくなくなっちゃって、やりにくいっていうのがあるんですよね、だからちょっと工夫を凝らさないといけないっていうか、そういう意味でも、こちらから提案しにくいなっていうのがありますね
阿久津
それはなんかすごくわかるというか、「うちじゃないほうがいいんじゃないですか?」っていう感覚ってことですよね
尾崎
あ、そうなんですよ、そうそう、まさに
阿久津
そういうのってありますよねえ
尾崎
そうそう、うちよりやりやすい本屋さんは他にもいっぱいあるから
阿久津
でもここって、今まさに座らせてもらっているところとか、きっとこの椅子でトークとかはしゃべると思うんですけど、いいですよね、なんか、こうやってみると、無人の前で僕ら今トークイベントやってるみたいですもんねあっはっはっは
尾崎
あーたしかにはははははは
阿久津
座敷っていうのもくつろげていいし
尾崎
去年やった木下龍也さんのイベントは、短歌を依頼を受けてつくるっていうのと、木下さんが選書した歌集をここで販売するっていうイベントを開いていただいたんですけど、それとかはすごいよくて、木下さんとファンの方が近くで交流できる機会なので。それって他の本屋さんよりここが、多分マッチしていて、すごくいいイベントだったんです。ナナロク社の村井さんが企画してくれたんですよね。すごいなと思いました、うまく使ってくれて
阿久津
あーいいですね
尾崎
でもたいていのイベントはうちじゃないほうがってあははははは
阿久津
あっはははははは! でも僕さっきから「そうかなあ?」と思ってますけどね、10人って座敷までってことですか? じゃあでも奥まで行っちゃったら20人くらい行けないですかね
尾崎
いやー厳しいっすね
阿久津
20は厳しいですか
尾崎
意外と人、でかいんで
阿久津
人ってそっか意外にでかいのか
尾崎
あっはっは!
阿久津
たしかにでかいのかもしれないですね、あそうかじゃあ人がたくさん入る場所って広い場所ってことなんですねあっはっは!
尾崎
いやそうなんですよ
阿久津
びっくりしますねこうやって見ると広そうに見えるんだけど
尾崎
案外、10人で、多いなってなるんですよね
阿久津
そうか〜〜〜、人はでかいと
brewbooks_5.jpg
阿久津
なんか、時間過ぎちゃった、どうしようかな、いろいろ聞き逃したな、まさか開店するまでに1時間かかるとはふふふ
尾崎
わりとこう、序盤の話
阿久津
いやすごい面白くって人の仕事の話。深堀りも深掘りって感じで。最後にあの、すごい雑な質問になっちゃうんですけど
尾崎
あっはっは!
阿久津
よかったですか? 始めて
尾崎
よかったですね。やんなきゃよかったっていうふうに思ってないですね
阿久津
思いそうになったことってあります?
尾崎
うーん、ないかなあ。なんだろう、続けるのが大変なので、「ああどうなるんだろう!」みたいな気持ちになることはあるんですけど、だからといってやらなきゃよかったっていう発想はまったくないですね。僕、過去に戻りたい地点が一切ないんですよね
阿久津
あ〜〜〜!
尾崎
別に前向きとかじゃないですよ、ただ、今のほうが一番マシっていうか、どの地点を振り返っても、なんか恥ずかしい気持ちになっちゃうんですよね僕は。だから過去に戻ってやり直したいっていう地点が一個もなくて、それはちょくちょく自分の中で思い返すんですけど、一応今が一番マシなんですよ、常に。まあいっつも未熟ってことなんですけど

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