読書の日記(10/3-9)

2022.10.14
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ままならない仕事、原節子ごっこ、豚野菜炒め/引退セレモニー、予見と認知、バスで帰る山口くん/『水平線』、本を読むこと、フラジャイルな像/議事録データベース、秋山くん、終わりの予感/朝活、調布北高校、ダブルうどん/『正反対な君と僕』、多摩川説、そっちょくな言葉(平田良介、筒香嘉智、大谷翔平、滝口悠生)/『言語が消滅する前に』、エビデントな言葉、AsIs/ToBe/チャイシロップの試作、『100話で心折れるスタートアップ』、たとえばフヅクエがダメになったら/ポストシーズンが始まる、フヅクエエクストリームサービス便、好き勝手できる街、武田さんの小説、『さようなら、ギャングたち』/エアコンクリーナー、スタババイトの記憶、『SPY×FAMILY』

抜粋

10月3日(月) 

夜になり、しょんぼりした心地に覆われていく。けっこうダウナーな感じになっていく。なんだかな、なかなか報われないものだな、みたいなちょっといじけた感じ。スーパーで豚肉とビールを買ってくる。家に帰ると家を出てコンビニに行ってビールを買ってくる。「ゆる言語学ラジオ」を聞きながら豚野菜炒めをこしらえて豚ときゃべつと玉ねぎとしめじとパプリカといんげんでおいしくできた。そのまま聞きながら、遊ちゃんがこしらえた他のおかずも盛り付けてバクバク食べる。たらふく食べてうれしくなった。

10月4日(火) 

やや明るい気持ちになったので満足して寝床に行き『水平線』。
「西側は湾と湾岸の集落の方へ下っていく斜面で、木々の奥に空間が抜けている光が見えた」というのが今日読み始めた一文で続いて「沿道にはタコの木やヤシの木、小さな葉の連なるシダ系の木々が立ち並んでいた」とあってここまで読んでいま自分の頭の中には何も流れていない、ただ文字を追っただけだ、と気づいて元に戻って読み、何度か繰り返す、3度目くらいになってやっと言葉が身体というのか輪郭というのかを持つような感覚になってそれで頭に届いて、そしてどこまで正確にできているのかわからないけれどなんとなく光景が頭の中に流れ始める、時間が動き出す、そういう感触を味わって小説を読むというのはずいぶん特殊なことをやっているよなあ、と思う。わざわざ言葉を拾って頭の中に吸い上げて、それを組み立てて像にする、そのフラジャイルな像をそっと抱えながら続く言葉を拾って景色や人や思考を運動させていく、これは特殊で、どこまでも自由な遊びだなあ、と思う。なにがどう自由なのかわからないがとても自由に感じる。

10月5日(水) 

読んでいるだけで疲れが体に伝わってくるような感じがあって大変な作業だなあと思う。これもまたすばらしい章で、秋山くん、秋山幸二、秋山翔吾、その章が終わり、なんとなく本から目をそらしながらスピンを挟む。目をそらしたのは、次のページを開いたら小説が終わっている可能性をどこかで感じているからだ。けっこう、終わりだと言われても不思議ではない章だと感じたというか、ここまでなかった秋山くん中心の章が最後に置かれるというのもけっこうふさわしいあり方に感じた。でもまだ残りページはあるし、これは単行本だし解説とかはないだろうし、きっと終わらないとは思う。これが翻訳ものだと長い解説とか、あとは注のやつがめちゃくちゃ長くあるというのもあるパターンだけど。

10月6日(木) 

家に着くと仕事をしたのだったかもうしなかったのだったか忘れたが買ってきた『正反対な君と僕』の2巻を少し読んで、遊ちゃんは「いいところをまた読もう〜」と言って『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んでいた。『正反対な君と僕』はこれはどういう地域なんだろうと思っていた、何かの回のときに学校の窓の外にちょっと山の稜線みたいなものが見えたり、谷くんは飛び石とかのある庭のある一戸建てに住んでいたり、東京ではないかもしれない、という要素があった。でもおそらく田舎でもなくて電車でアクセスできるシネコンもある。それが今日読んでいた平がオープニングスタッフをやっているコンビニ回を読んでいたらもしかしたらと思う場面があってこのコンビニは駐車場があるコンビニだ、そして谷と鈴木が二人乗りで自転車で河川敷を走っている、その後景にはそれなりに高層のマンションっぽいものがそれなりにという感じで林立している。これは、多摩川なのではないか。そう思って見るとうちから行ける多摩川の河川敷から見える景色にもとても似ている気がする、でも直感としては神奈川だ。登戸でどうでしょう!

10月7日(金) 

それで出て銀行に行ったり雨宿りしたり書店に行ったり指圧に行ったりするとボーナストラックに戻ろうと歩いている、雨は寒く風も強く心が折れる、心が折れるといえばこの一週間くらいツイッターで『100話で心折れるスタートアップ』を読んで日々辛い気持ちになっている、今日でとうとうその100話目になって心底辛い。フヅクエがダメになったら、というのを重ねながら読んでいたわけだけど最悪の100話目だ、泣きべそをかきそうになる、しかしどうやらまだ続くらしく、しかしこの、立ち上げたスタートアップがもうどうしようもなくなって、借金もたくさんあって、仲間たちは離れていって、この状況で、101話目にどんなことを期待したらいいのだろうか。寒すぎるから今日はもう帰ろうと思いながら店に寄るだけ寄って佐藤くんとあれこれ話す、広場のタープはひっきりなしに溜まった水をどしゃっとひっくり返していて言うまでもなく誰もいない。こんな日、他のテナントってどのくらいの売上になるものなんだろう、といつも思うことを思う。

10月8日(土) 

うれしく働いていると下北沢から電気ケトルがつかなくなったという連絡が入り、対応のパターンをいろいろ考えていたが一番早いのは今ここにいる人に動いてもらうことだと気づくまでには妙に時間が掛かって時間をロスした。ヨドバシカメラに電話をして取り置きをお願いすると戸塚さんに行ってもらってそのまま下北沢に運搬だ、下北沢には「3時間以内にお届けします。フヅクエエクストリームサービス便の到着をお待ちください」と伝えてそれまではコンロでお湯を沸かしてしのいでもらう。店はそれなりに忙しい感じだったが一人で回せないこともなく、一人でせかせかと動くのも楽しい。秩序の維持に手間を掛けること、それがけっきょく最も速い動きになること。
下北沢に到着したと戸塚さんから連絡があったのは出て1時間が経過したころで、3時間というのもなんの理由もなかったけれど、それにしても1時間で行けるものかとびっくり。フヅクエエクストリームサービス便はすごい。

10月9日(日) 

家に着いたのが1時前でシャワーを浴びるとお湯を沸かした豚肉をしゃぶしゃぶした。それをいい加減なタレで食べることにして他は遊ちゃん作成のハヤトウリの漬物、きゃべつの和え物、キムチ、あとなんだったか、そういうのを食べて立派な晩ごはんだ。机には漫画が10冊くらいあってカバーが外されてマットなビニールでカバーされている、全体的にくすんでいる、黒い袋があってツタヤでレンタルしてきたもののようだ、『ち。』というやつと『SPY×FAMILY』というやつで後者を開いたら面白くて1巻全部読んだ。満足して布団に入って脳の幽霊のやつをちょっと。
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