読書の日記(8/22-28)

2022.09.02
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『文にあたる』、パンダのしっぽ/くまざわ書店、『ジョン・フォード論』、B&B、『その少年は語れない』/売上さえあれば全部できるのに/スクランブルスクエア、ミヤシタパーク、渋谷ストリーム/Notion、冗長性を許すこと/『ことばが劈かれるとき』、空雨傘/西荻窪、秀の湯、味かね/お泊り会気分、『その少年は語れない』、CM撮影の夜と朝/

抜粋

8月22日(月) 

10時頃に店を出、出るまでにビールを3本飲んでいた。夜に店にいると、なんなんだろうこれは、飲んでしまうな。『文にあたる』は終わりかけで校正の仕事を始めた経緯とかが書かれていて人が仕事に就く物語、仕事に就いて何かができるようになっていく、それは常にできないことが浮き彫りになることを伴うものだ、人の背中に流れていくそういう物語は感動する、感動しながら読んで帰り、ファミマでビールを買ってセブンに行ってレモンサワーを買って異常というか律せなさがすごい。セブンではハンバーグと切り干し大根の煮物も買った。

8月23日(火) 

打ち合わせ後にB&Bをぶらぶらしていたら文芸の平台のところにハヤカワのポケットのミステリの本が見えてポケミスの本はなんだかいつも目が吸い寄せられる。細長い判型のせいだろうか。「リーガル・スリラー」と帯に書かれたそれを見ていると少し遅れて「ベン・H・ウィンタース」という字が見えてベン・H・ウィンタース! 『地上最後の刑事』とかのベン・H・ウィンタースで三部作は夢中で読んだ。続刊を待ちわびて出た瞬間に飛びつくようなそういう読み方だった。刊行時期を見ると2013年から2015年で店の初期の記憶とけっこう結びついているそういう本だった。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に出くわしたときと同じ感じの「え!? あの!?」というそういう出会いで嬉しい遭遇だ。嬉々として買った。

8月24日(水) 

3時半に予約していた鍼灸院に行って今日は久しぶりに鍼。いつもは最初は指圧タイムだが今日は久しぶりの鍼で、ということを言ったら今日はめいっぱい鍼打ちましょうということになって最初から鍼だった。僕は指圧が好きだが、たまにはこういうのもいいかもしれない、鍼はぐんぐん響いて気持ちよかった。先生は最近出張づいているらしくて大阪広島北海道に立て続けに行った。どういう用事なのかといえば鍼灸学校の生徒たちに自社をアピールするそういう出張らしく、全国規模でリクルートをしているというのは驚いた。鍼灸学校の生徒というのは都内だけでも十分な数いそうなものだけど、全国に広げるとより優秀な人を集められるということだろうか。北海道では新千歳空港から札幌に向かう電車の車窓からエスコンフィールドを見たらしく羨ましい。でかくて四角かったとのこと。

8月25日(木) 

眠って乗り過ごさないように日記を書く。今ははんぞーと飲んできたところで渋谷で飲んだ。酔っ払っている。中央改札口、スクランブルスクエア前で待ち合わせたが久しぶりに来た渋谷は即迷子。即「ここどこ?」となる。こっちがスクランブルスクエアだろうと目星をつけて進んだら違う商業ビルで、眠い。眠らないように文字を打っていたら眠らないで済みそうだ。本はダメだった、じゃあ野球のニュースはどうかと思ったら存外にダメだった、だから残された手段はこうやって日記を書くことだけでこれですらまぶたが重く、気を許すとまぶたは下りてこようとする。今もそうだ。目が奥に行く感じがある。うろうろと立体的な街を歩くとどうにか待ち合わせ場所にたどり着いていま意識が飛びそうになった。意識が飛んで眠りに行くというのは眉間が引っ張られるふうだ。きゅーっと目がすぼまってそれで寝過ごしたものことは知らん、そうじゃないと不公平だというのがよく話しなんだろう。だから大魔神佐々木。なんで些細機が出てきたのかsっぱりわからなく怖というかしんらつすぎないかと。

8月26日(金) 

店に着いて敷野くんとしばらく話すと店に戻り、今日も暇そうで今週の西荻窪の暇っぷりはやばい。チーズケーキを焼いたりキーマカレーの小分けをしたりせっせと働く。アールグレイのアイスティーをつくっていたらふと実家のことを思い出してフォションの缶があった、たまにそれでアイスティーがつくられていてそのオレンジ色の液体と爽やかで甘やかな香りと白濁した氷を思い出してその頃、アイスティーがつくられるたび、何かしらの感銘というか、家でアイスティーなんて特別な感じがある、よくやるなあ! というような心地があった、なにか我が家をハイソサエティに感じる感じ。その心地を思い出して濃く抽出して氷で冷やしてという作業をしながら、どういう部分に特別感を覚えていたのだろうなと、20年とかを経て初めて考えた。
閉店すると敷野くんが案出しと試作を担当した梨のシロップのカクテルをこしらえて飲んでみてすごくおいしい。試飲というのはけっこう危ないもので酒だということを忘れてすごい速さで飲んでしまう。それから晩ごはんを食べ、これまではご飯を食べる気にならなかったのだけど少し西荻窪に体が慣れてきたのかもしれない。定食はどれもおいしかった。

8月27日(土) 

今日はどこか遠征気分があるようだ。知らない街に来た感じ。秀の湯の隣りにあった味かねという店で夕飯を食べることにして、入ってカウンターに座ろうとするとお店の方がカウンターより机のほうが涼しくていいよと教えてくれたのでそうして、餃子と支那そばの醤油と瓶ビールを頼んだ。入る前からいい予感があったけれど餃子も支那そばもすごくいい、向こうの人が食べているのは揚げ豚ロースというやつだろうか、大きな肉の塊が見える、いい晩酌だ。餃子は醤油とお酢とラー油で食べるのが僕の中では基本だが見慣れないものがあって取ってみたら「鎮江香醋」という黒酢でこれも小皿に出してつけて食べてみたらとてもよかった。ラーメンもすごくおいしい。麺を食べ終えてからも何度もスープを口に運んで、口が終わりを惜しんでいる感じ。なんだかとてもよくて、こんな店が家の近くにあったら嬉しいだろうな。

8月28日(日) 

それで朝5時からどんどん人がやってきて最初は照明チームだ、静かにものを下ろして中に入れていくだけならばいいのだけど外でも照明を設置していて、照明にかぶせるとかの分厚いラップみたいなものがけっこうパキパキとうるさくてヒヤヒヤする。上はマンションで人が寝ているわけだ。次第に喋ったりもし始めたのでまだ早いんでできるかぎり静かにやってくださいと注意。それから撮影チームが来たりいろんな人たちが来て人の気配ってそれだけでもけっこうにぎやかなものだなと思う、外が車通りで早朝だろうと関係なく車が走っているのはまだ紛れてよかったなと思うが、だんだん普通に話し始める人とかもでてきてコントロールがきかなくなる感じ。この人たちはこういう早朝から働き始めるみたいなことも特別珍しいわけでもないのだろうから、だからこそこういう時間への感度を上げてちゃんと静かであってほしいとも思う一方、なんというかそれが静かにするべき時間なんだという感覚もなくなっていったりするのかもしれない、なんせ普通に働いているのだから。でもここはマンションだ、住人の人たちに掛ける迷惑は最小限にしなければ。それが今日の俺の役目だと思い、結局4度くらい注意することになった。それにしても本当に人が多い。聞くとこの現場だけでも関係している会社は10社は下らないのではないかとのことで、つくづく大変なものだ。サンドイッチをもらったので食った。調べたら人気のロケ弁店のものとのこと。
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