読書の日記(3/21-27)

2022.04.01
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エクセルシオール、フールプルーフ、アクティブ・ノンアクション/休日前の夜ふかし読書、リョサの『ケルト人の夢』/過眠/切実さと後悔/アドトラックと勲章/紀伊國屋書店新宿本店のビジネス書コーナー/九龍、久しぶりの飲酒/『真実の瞬間』を読んでいると張り切った気持ちになる/野球が始まる、全員活躍してほしい/青山真治/キャベツ、大根、しめじ、豚肉、豆苗の鍋/.250とか.286とか.143とか.167とか/フヅクエにおける接客の基本/3日連続豆苗/二人の下北沢、2020年春/ブックマーケット、フヅクエ文庫手売りの楽しさ/

抜粋

3月21日(月) 

8時で店に戻って出たあともうひと忙しがあったようで嬉しい。レジ締めとかを手伝ってから龍馬を飲んでそれからCOEDOを飲んだ。少し頭が痛い感じがしてきてなんだろうと思う。ただそう強いものではないからいいのだが頭痛というのは僕は慣れないから変な感じがする。明日から通常営業に戻るのでそれに伴ういろいろをしてお知らせ記事をつくったりそれをSNSで告知したりみんなと共有したりグーグルマイビジネスの営業時間を変えたり予約ページの予約可能時間を変えたりTwitterのプロフィールを変えたり毎度けっこうやることがあると思う。それでハンバーグを買って帰る。今日は前回の反省を活かすことにしてまずプランク。1分50秒ぶっ通しをチャレンジしてみたらできた。それからハイリバースプランク。次の時間でハンバーグを温めることにしてキッチンから聞こえる威圧的なしゅーーーという音の中でサイドプランクをこなして即座に晩ご飯タイム。
明日は好きなだけ寝ていい日なので夜ふかし読書と思うがすぐに寝るんだろうなと思いながらリョサの『ケルト人の夢』をベッドに持っていきでかい本だ。
独房の扉が開くと、あふれるような光の流れと一陣の風とともに、石造りの壁に遮られていた街の騒音が入り込み、ロジャーははっと目を覚ました。まだ混乱した頭で、まばたきしながら懸命に落ち着こうとすると、シェリフの黒い影が扉口にもたれているのが見えた。金色の口ひげをたくわえ、小さな目が悪口を言っていそうなしまりのない顔が、いつものように嫌悪の色を隠そうともせず彼を見つめている。そこにいるのは、英国政府が彼の恩赦の請願を認めようものなら、きっと苦い思いをするにちがいない人物だった。 マリオ・バルガス=リョサ『ケルト人の夢』(野谷文昭訳、岩波書店)p.3
ああ、小説が始まるなあ、と思う。小説が始まると思う瞬間はいつだっていいものだった。

3月22日(火) 

少し頭痛。目覚めてリョサをしばらく読み、また眠くなって寝て、ということを繰り返した末に起きて13時半。外に出たらみぞれが降っていてみぞれを受けてしんしんと鳴る傘の音が「静けさの音」という感じでいい。
うどん食べ、また眠くなる。布団に。持ち込んだiPadで日記の赤入れを少ししてそれからリョサ。寝、7時ごろ起きる。本当によく眠ると思う。

3月23日(水) 

6時に合わせて初台に移動して電車では『真実の瞬間』を読み始めた。スカンジナビア航空のやつ。航空と空港をいつも間違える。「航空」を読もうとしても頭の中で「くうこう」とまず読んでしまっていて、「こうくう」を単独で思ったときに思う「こうくう」は「口腔」だ。
佐藤くんとバトンタッチして新しい案内書きが届いてきれいにできた。今回からA1フォント。うれしい。夜は久しぶりで、お客さんは少しだったけれどぽつ、ぽつと来られて夜の時間が流れているというそれがうれしかった。僕は熱心に働きながら夜が更けていって時間に追われ続ける。日々時間に追われているわけだがもし時間に追いつかれたらどうなるんだろうか。

3月24日(木) 

6時15分に待ち合わせで今は6時5分で、時間があるわけでもないのだが吸いこまれるような感じで紀伊國屋書店に入っていって建物の一部が工事中で1階は封鎖されていた、2階に上がると青いシートが敷かれて文芸書のエリアが見えるはずのところには仮設の壁が立てられて不思議な幅広の通路みたいになっていた。どういうふうに変わるのだろうか。
それでフロアマップを見ると3階だとわかりビジネス書のコーナーに行ってさっきからぐるぐる考えていることと関係があったのかどうだったのかプロジェクトマネジメント的な本をもうひとつ読みたいと思ってプロジェクト的なものをどうやって組み立てて遂行していくのか、実践的なものを読みたいらしくそういうものを探した。紀伊國屋書店のビジネス書コーナーは初めて来たような気がするがたくさんたくさん本があって楽しいものだった。だんだんビジネス書を読むことが趣味みたいになってきたところがあるようで、その場にいることに楽しさを感じていた。ドラッカーの赤いコレクションがびっしり揃っていてまたどれか読みたい。

3月25日(金) 

夕方でそれでだから交代で下北沢に移動。『真実の瞬間』を読んでいると張り切った気持ちになるというか店を立て直すぞ、いろいろやるぞ、あれこもこれもやりたい、早く取り組みたい、という気持ちがむんむんと強くなってそれはヤン・カールソンがいくつもの企業を再建するそういう話が書かれているからで非常に影響を受けやすいしこれはいい影響な気がする。それでやる気に満ちてボーナストラックに向かいながら、始まるなあ、と思う。野球が始まる。ロッテと楽天の試合はデーゲームで2時とかから始まっていたから始まるというか始まっている。ハウスの横を通ったら殿塚さんの姿が見えて中継を見ながら仕事しているかなと思って中を覗いたら櫻井さんと真面目に打ち合わせをしているところだった。

3月26日(土) 

帰ってシャワーを浴びるともうひと仕事で消費税の確定申告をやっとやった。去年はe-Taxでやろうとしてファイルを出力するところまではfreeeで簡単だったのだが国税庁のe-Taxサイトが全然使い方がわからなくて諦めて税務署に出しに行った、今年はどうなるかと思ったがどこで出せばいいかわかったらあとは簡単で、去年の見えなさはなんだったかなと思う。
それからちょこちょこと進めているマニュアルの整備みたいなことをやって今日は「接客の基本」みたいなページをつくっていってこれまでは接客って言葉は違うんだよな接客からむしろ離れていきたいんだよなというところで応接という言葉を使うようにしていたのだが、ここはむしろ言葉は平易というか通常使われる接客でいいかと思い直してそうした。そして書かれていったそれは接客の基本というよりはフヅクエにおける接客の思想みたいなそういうことで項目名は「フヅクエにおける接客の目的」「「お客様」とは呼ばない」「「お客さん」とは誰か?」「お客さんを信じるところから始める」「間延び、言いよどみ、身振り手振り」「僕たちは思った以上によく喋る」「傷つきうる接客をする」「「接客」をしない」とかで中身を書いていくとどんどん新たに書きたい項目というか全員に浸透させたい考えが出てきて際限がないが楽しい作業で、途中でプランクをやったり豆苗豚肉ひらたけ炒めをつくったりしてじゃがいもとキャベツのスープと一緒にいただいた。

3月27日(日) 

11時過ぎから広場のテーブルに本を並べていってフヅクエ文庫23タイトルがずらっと並んだ緑色のテーブルはきれいだった。今日は一日中そこで店番で遊ちゃんが一緒にいてくれたし説明の大半を遊ちゃんがしてくれた。フヅクエ文庫の手売りはなかなか面白い体験で面白がって見てくれる人がけっこういた。ひとりでやってきた小学4年生くらいの女の子が真剣な面持ちで選書コメントをずっと読んでいる、遊ちゃんが「本が好きなの?」と聞くとうなずいて、「普段はどんな本を読むの?」と聞いたら「物語」と答えた。身をぐっと乗り出したら手前の本がずれてそれに気づいて真っ直ぐに直すそっと扱う手つきが本を好きな人の手つきという感じがした。感動する光景だった。
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