読書の日記(3/14-20)

2022.03.25
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破裂しそうなハンバーグ/中吊り広告のルシア・ベルリン/笹塚のエクセルシオール/西調布、鶴の湯/千歳烏山の鳥貴族/地震/そうか、こんなに怒るべきことなんかもしれん、『ここはとても速い川』/カーシェア、夜のドライブ、豊田駅/仕事百貨、目線合わせシート/率先垂範、『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』/フールプルーフ/

抜粋

##3月14日(月)  ビールを飲みながら歩いていると道端にタンクトップでふらふらしている人がいた。さすがに季節バグってる。帰るとプランクをしてからご飯でじゃがいものスープと人参のおかずと白菜の漬物があってハンバーグを温めながら盛り付けていたらいつものハンバーグよりもレンジの中でしゅーーーという音が鋭く鳴って僕はこの音がめちゃくちゃ怖い。残り1分とあってあと1分あるのにこんな音が鳴るのか、破裂するんじゃないのかと思ってゴミ箱の横に頭を隠してうずくまって時を待った。1分がこんなに長く感じることもなかなかなくてこんなことならこの時間にプランクをやるべきだったと思う。
##3月15日(火)  ほどなくして銭湯に着いて鶴の湯と言った。ファサードは古めかしく荷物置きに花柄のカバーをかぶせた自転車が2台止まっていて暖簾は「ゆ」の周囲に色鮮やかな扇子がいくつか描かれている。それで入って更衣室はずいぶん広々としていて天井も高い、野方の銭湯を思い出したのは野方の銭湯も広々として高々としていたのも共通しているがそれと野方の銭湯に行ったのも平日の午後の明るい時間だったからかもしれない。中に入るとけっこう人がいてみな体を洗ったりヒゲを剃ったりしている。僕も体を洗うと湯船に入って大黒湯とかもそうだったけれど洗い場にたくさん人がいても浴槽はわりと空いていて全体では15人近くいた気がするが3つの浴槽にいるのは合わせてほんの4人くらいで、どういうリズムができているのかいつもわからないのだが、ともあれこじんまりとした浴槽だったが窮屈な思いをしないで済んでよかった。お湯に浸かって息を吐いて頭をのけぞらせる。壁はずうっと明るい水色で剥がれて白っぽくなったところや青く塗られているところもありながら基調は気持ちのいい水色だ、こちらも天井がやたらと高くて途中でアールを描く部分を持ちながら3階とか4階とかくらいの高さまで抜けていって一番高いところに小さな窓が並んでいる。その感じの全部が屋内プールのような印象だった。
##3月16日(水)  店行き、文庫本のカバー巻き。どんどん上達。少し仕事をして鍼灸に行き今日も指圧。来週の予約を取りながら一週間もつだろうかと思う。一昨日みたいにまた途中でヘルプ指圧に行くことになるだろうか。今日は隙間隙間で日記の赤入れをしていて駅前の喫煙所で煙草を吸っているときもペンを持ちながらiPadを見ている。すると未成年だろうか、若い女の子二人がお酒を飲んだりすることはあるかと話していて先輩によっては飲ませてくれる人もいるみたいなことを言っていて、一人は最近の飲み会でこれはトランプを用いるのだろうか、誰がトランプを持ち込むのだろうか、何かが出たら1杯で何かが出たらその数字の分、ジョーカーで3杯でなんとかで人数分、みたいな無茶な飲み方をしていて「ウォッカ飲んだウォッカおいしかった、テキーラより飲みやすかった、でも飲むものじゃないね」と言っていてウォッカにとってもテキーラにとってもこんなふうに体験されるのは不幸だよなと思う。
##3月17日(木)  着る服の数が日々少なくなって、これまで起床から出発まで10分を見ていたがこれなら5分でいいんじゃないかと思う。今日は元々は休みにしようかなと思っていた日だったが今週は全然働けていない感じがあったので働くことにして電車で本を開く。集が園長先生を追いかける。先生は呼ぶ前に足音で気づいて振り返る。「近くに寄って、できるだけゆっくり大きな声で言うようにする」。
ひじりのノートはちゃんと、食べたいもんのページまで見ましたか、対処はどうすることでしたか。上手に書いて置いとっても文字は絶対的なもんちゃうかって、遠くのもんは小さくしか見えへんのは、何でですか。大人になっても自分の分しか囲い込むことはできへんのなら、正木先生が元気に子どもを生めんかったらそれは誰のせいですか。道徳的なこと言って嬉しがって、生まれてくるだけで恵まれ過ぎてんのは知ってますけど、みんな、自分の稲かて背負いきれてへんのに。ちゃんと悲しがってるんが、自分の息子や娘やと思って泣いてますか。和歌山の焼き肉食べ放題は寒い部屋に、肉がどの部位も同じ色して薄切りに並んどったんは、覚えてますか。アガペーなんて、名前についとってもあかんくて、悲しいことは起こりにくい?それなら俺は、置いていかれた時はどうやった? 井戸川射子『ここはとても速い川』(講談社)p.83
収録されているのはひとつだけかと思っていたが中編ふたつだったようで突然「ここはとても速い川」は終わってこれはすごい小説だった。いま引用したところとかすごかった場面を繰り返し読みながら下北沢に行った。下北沢は何もなかったが初台は白湯のグラスがいくつか落ちて割れたようで片付けが大変そうだった。ちょうど二人いる日でよかった。
##3月18日(金)  閉店の時間になって店に戻りビールを飲んじゃった。22日から酒類提供の復活でそれに伴ってビールを仕入れた、それで冷蔵庫にビールがあったから飲んじゃってあると飲んじゃうなと思う。榮山さんにカーシェアのドライブの楽しさを説くと2階に上がって文庫のカバー巻き。今日で在庫すべてにカバーを巻ききってしまいたいと思ってどんどん上達していく、速くなっていく。本のカバーを巻く工程には最初のひと折り、本の高さを取ってもうひと折り、厚みを勘案して袖をひと折り、本を袖に入れてもう片方の袖の位置を取って折って袖に入れる、という4つの工程があるが一冊4工程を繰り返すのではなくて工程ごとにまとめてやったほうが動きも洗練されていくというか気をつけるポイントも反復されるのでどうやらいいようで、10冊やるならまず最初のひと折りを10枚やって、みたいな進め方をしたところ格段に速いし確かになっていく。それで1時間くらいで30冊くらいを済ませられた感じで全部終わったので満足した。
##3月19日(土)  帰ってプランク、犬猫の動画、それで満足して布団に移ってプロジェクトマネジメントの本を読んで「ことあるごとに「目的」に立ち返らせる」「関係者を不安にさせない」「あなたの不安に気づいていますよ、と知らせる」「「何を言っても許される」ことを保障する」「自己開示で疑心暗鬼を取り除く」、これらは目次の項目名だがなんというかとても学ぶ。こうしようああしようと考えながら読んでいると眠くならず、でもそろそろ寝たい、目をつむっていたら眠れるかなと思って目をつむるとさっきまで『現代思想入門』を読んでいた遊ちゃんも眠気がどこかに行ったらしい。まあ努めて寝ようという同意はわざわざ言わずとも取れそうなものだが僕がぎゅっと目をつむって眠りまでの細い道を歩いていこうとしていると隣から突然歌声が聞こえてしかも大きな張り切った堂々とした歌声だ。二人して長く笑ってしばらく笑いが喉に残って、しかしめげずに目をつむっていたらいつの間にか寝ていた。
##3月20日(日)  それで夕方まで仕事。ちょこちょこ席状況を見ているとだいぶ忙しそうでこれは大丈夫だろうか、でも呼ばれないということは大変でも一人でやってみたいということか、とか思いながら働いて4月からのマキノさん佐藤くんの働き方を変えるための準備を熱心におこなった。必要なマニュアルを書きながら昨日今日と「フールプルーフ」という言葉が頭の中にあってそれを思い出していた。おととい何かの記事についたコメントで知った言葉でいい言葉というか「利用者が操作や取り扱い方を誤っても危険が生じない、あるいは、そもそも誤った操作や危険な使い方ができないような構造や仕掛けを設計段階で組み込むこと」ということで大好物の考え方だった、バカは余計だが誰でもというかうっかりの余地をなくすみたいな大好物の考え方に言葉が与えられた感じで気に入って案内書きも業務のマニュアルもこういうことなんだよなと思う。仕組みで解決すること、こういうことをずうっとやり続けたいといつも思う。今日はとてもはかどった感じがあった。
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