読書の日記(2/28-3/6)

2022.03.11
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Gather、「インドアだけじゃ疲れちゃう」/2年前の下北沢、2年経てば変わることはある/怒涛の眠気/『本当のような話』、家の記憶、本の記憶/世界=新庄剛志+野村克也/1時間制のカフェ/5度目の『親密さ』/リアルな他者のアンリアル化/渋沢栄一、パトロネージ、藤森照信『建築探偵の冒険・東京篇』/『小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』、「ビジョン実現型人事評価制度」/榮山さんと『読書の日記』/資料作成、『ロジカル・ライティング』は今年のMVP/◯◯エリアで就職人気企業ランキングNo・1!/恋豚のハムとソーセージ/「人事評価」という言葉/箱そばの小学生/お茶の日、定食の日/満席で帰すこと/俺のMECEは止まらない/誰かが何かを好きだと思うこと/

抜粋

2月28日(月) 

朝起きて、窓を開ける。
景色はあった。直線距離にして一四メートルほどの、灰皿を投げても届くほどの近さに、なぜか国電中央線の始発ホームが作ってあって、背広を着たサラリーマンが横一列に並び、こちらを向いてつっ立っている。こちらはうす暗い部屋に浴衣を着てつっ立っている。ナンダ、コリャ。次亜空間のすきまにすべり込んでしまったようだ。赤煉瓦の建物もプラットホームもいつしか消えてしまい、自分一人とサラリーマンが、観客の去った暗い舞台で、月明りをあびながら向い合っているような気持ちがする。
向い合っているんだが、ホームに並んでいる人は、こちらの存在に気づいていない。一人のサラリーマンは、右足を靴から出して左足の靴の甲にこすりながら、右側の人の広げた夕刊フジをのぞいている。右側の人物は、時々新聞を閉じ、目をとじて上を向く。三人おいて左側のOLは、バッグからコンパクトをとり出し、広げたまま手にもって、結局見ずにまたしまう。中年がアクビをする。一息おいて隣りもする。アクビは、二、三個ずつ、アブクのように起きては消える。 藤森照信『建築探偵の冒険・東京篇』(筑摩書房)p.151,152
東京駅のホテルの部屋の扉を開けるとそんなふうで調布駅は地下で目の前は壁だった。3月12日の改定に向けてなのかそんなわけはなさそうな話だがここのところダイアが何度も変わっているような感じがどうしてもあって今日は特急の次の準特急を待つよりも背中の本八幡行きに乗るのが一番だと教えられて先週までは準特急だった、果たしてそんなことがあるものだろうか。

3月1日(火) 

鍼灸の予約に合わせて出、恋豚が昨日で店じまいで今日佐藤さんがハムとかソーセージとかを店に持ってきてくれたようで、覗くといたのであいさつをする。佐藤さんはせっせと荷物を恋豚仕様のバンに運び入れていた。思えば恋豚はオープンが少し後ろにずれて、それでフヅクエの左隣は最初空きで6月とか7月に大浪漫が入ったことを思い出して逆の隣のベッドは1年とかで出て今はテントでテントも建物自体の修繕とかでしばらく休業中だ。2年が経てば変わることは本当にいくらでもあると改めて思うし恋豚の閉店のことは細かくは知らないけれどどこかの店が撤退するということは他人事に見られるものでは一切なくて挨拶をしながら胸が詰まるような気持ちになった。
それで指圧を受けて電車。くまざわ書店で太田さんに読むように勧められた『小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』という本を買った。

3月2日(水) 

9時半ごろ起きて10時から月例会。演説をする。終わると途中のところで一晩そのままになっていたポテサラを完成させ、ご飯を炊き、すると眠気が怒涛となって押し寄せてきて布団に入る。2時か3時まで寝ていた。起きてご飯を食べると眠気が怒涛となって押し寄せてきて布団に入る。7時前まで寝ていた。眠気のあまりの強さに恐怖を感じる。

3月3日(木) 

それで映画だ。『親密さ』だ。怖い感覚があった、見るのが怖い感覚。打ちのめされてぶっ壊れるほど感動したいとも思うしそのあとの時間に仕事をしたいからそれに支障をきたさない程度であってほしいとケチなことを思ったりもしていて見るのは4年ぶりくらいだろうか、北千住でだった、調べたら2015年の7月26日だからフヅクエを初めて1年も経っていない時期だ、日曜日で、このときはきっと誰も雇ったりしていなかったはずだから、これは僕は店を休みにして行ったのだろう。この時期は多分ほとんど休まずに営業するみたいなことを続けていたはずでだからたまに休むのはいつであってもいいと思っていたのかもしれない。どういう経緯でだったか鈴木さんと見に行ってそんなに前に鈴木さんと知り合っていたんだなと思う、鈴木さんがイトマイを始めたのは2019年3月だ。
だからこれは、何度目なんだろうと前から2列目の席について考えている。最初は「濱口竜介プロスペクティヴ in Kansai」で2013年の7月で京都の立誠小学校のところだ。このとき『親密さ』だけでなく『なみのおと』も『うたうひと』も『なみのこえ』のふたつも見た。どれかの回が終わったあとに小学校の渡り廊下のところに監督らしき人の姿を見えたのを覚えている。暑い日だった。それにしてもどうしてそんなまとめた見方が可能だったのだろうと思うし、そしてどうしてそんなに貪欲に一挙に見ようとなるほどまだ見たことのない監督の作品に興味を増大させられたのだろうとも思うし覚えていない。

3月4日(金) 

電車で『小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』を読み始めて買った日に最初のほうを見たときに「ビジョン実現型人事評価制度」とあってそれで警戒心を持っていた、造語に対する警戒心、と書くと果たして造語一般に対して警戒心を持っているだろうかと思うのだが警戒する造語というのはあるらしくてこれは僕にとってはそれだった。ただ読み始めたら、書かれていることはもっともというか、ああなるほど、こういう順番で考えていったらいいのか、ということを教わる感じがあってこれは重宝するかもしれないと思っていい道具を手に入れたかもしれないとうれしい気持ちで電車に揺られているとすぐに下北沢だ。
今朝もブルーハーブを大きな音で流して今日は「未来は俺等の手の中」から始めて『STILLING,STILL DREAMING』を聞いた。

3月5日(土) 

それで今日はソーセージご飯。ソーセージを炒めてにんにくと醤油で味をつけて目玉焼きを焼いて、というのとキャベツの浅漬けとポテサラを全部ご飯にのっけてそれで適宜混ぜながら食べた。いいご飯。食後はプランク。いつか腹筋割れたりするかなと期待する自分を感じ、腹筋を割りたかったんだ、と知る。
寝るまで渋沢栄一。兜町の栄華の時期が終わってそこにあった銀行とかは続々丸の内に移っていった。株式取引所だけが残ってそれから証券会社の町になった。丸の内も主導権を握りたかった渋沢はしかしここでは三菱に一矢報いられてなんでも自分の思う通りに行くわけじゃない!

3月6日(日) 

昨日の開店早々のラッシュはオーダーがコーヒー系のものに偏っていてコーヒー系のドリンクとフード、という感じのオーダーが続いた。だから6杯くらい川又さんはドリップを繰り返して僕はその横でサンドイッチをつくったりしていた。今日はそこから一転してお茶の日で、紅茶ハーブティーほうじ茶とまんべんなく頼まれて特にアッサムのミルクティーを続けてつくった。2杯続けてアッサムミルクティーをつくったあとまた別の方がミルクティーを飲みたいんですけどと言ってきてアッサムとアールグレイどっちにしますかと聞くとおすすめのほうでと言われ、了解ですと言って戻るとアッサムでつくることにした。それは「立て続けに3杯アッサムでミルクティーをつくる」というのが珍奇なことだったからで珍奇なことは面白いことだった。だからとにかくお茶で、ティーポットが全部出るみたいな状態になったから6くらいお茶の注文があったわけだ。最初の6人全員お茶みたいなそういう感じで7人目でやっとコーヒーが頼まれて、と思っているとそのあと今度は一挙に定食の日になって短い時間のあいだで5つくらい定食をつくった。あとで伝票を見たら1時半までに来られた最初の10人で8つお茶が頼まれて6つ定食が頼まれていた。昨日の伝票を見たら最初の10人で7人がコーヒー系のオーダーで、先週のポカポカした日はアイスドリンク偏重だったなと思ってこちらも見てみると10人中で8杯出ていた。何かにオーダーが偏っていくことはたまにあって僕はこれまで「香りの粒子みたいなものが舞っているとか?」と思っていたけれどアイスドリンクについてはポカポカしていてみなただただ喉が乾いていた。
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