読書の日記(1/24-30)

2022.02.04
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『骨を引き上げろ』の一週間/朝から利他・ヘイワース/タスク継承報告書/立川談志の「文七元結」/木っ端の売上/神保町、サンマルク、東京堂書店/井戸川射子の『ここはとても速い川』/『思いがけず利他』の続編は『いずれにしても不毛』/痺れる左手/ロング缶を酒井さんと/『自分ごとの政治学』、『料理と利他』、フヅクエは中島岳志ブーム/土日はデュアルシフト/Taylor Deupreeの「Negative Snow」/挟み込み読みものの制作/「週刊ベースボールONLINE」で「野球浪漫」/

抜粋

1月24日(月) 

『論点思考』は昨日の通勤時に終わったので今日は朝から利他・ヘイワース。利他は受け取られたときに発動する。
―私たちは他者の行為や言葉を受け取ることで、相手を利他の主体に押し上げることができる。
私たちは、与えることによって利他を生み出すのではなく、受け取ることで利他を生み出します。そして、利他となる種は、すでに過去に発信されています。私たちは、そのことに気づいていません。しかし、何かをきっかけに「あのときの一言」「あのときの行為」の利他性に気づくことがあります。私たちは、ここで発信されていたものを受信します。そのときこそ、利他が起動する瞬間です。発信と受信の間には、時間的な隔たりが存在します。 中島岳志『思いがけず利他』(ミシマ社)p.129

1月25日(火) 

電気代とか気にならないのかね、と思うけど、気にならないんだよね。木っ端過ぎて。どうやったって売上が足りないわけで、そうなるとコストとかほとんど意味をなさないような感じがあるんだよね。木っ端過ぎて。先日大地にまず優先順位付けをするのはどうかと言われたけれど本当にそうでタスク運用がどうとか言っている場合じゃないというか、この状態でそんなことに拘泥しているのはずいぶん優雅だ。どれだけぐちゃぐちゃでもいいからまずこの大赤字を、最貧の売上を、どうにかすることに腐心するべきなんじゃないかと思う。仕事をスムースに快適に進めたいとか言ってこのひと月を費やしたわけだけど、それはそれで、一年のうちのひと月と思えば高い割合だけど、これからずっと続く長い年月のうちのひと月と考えたら短いし、そして今の取り組みの意味は、長くなれば長くなるほど大きく効果を出してくるとも信じているけれど、でも売上がこの状態じゃ顔向けできない、世間とか、周囲とかに、という意識がずっとあって、それがどういうふうに考えても拭うことができないものであるならば、拭えるように、必死になって売上を上げる方策を採るのが先なんじゃないですかね? 結局、自分にとって簡単なことに手を出して何かやった気になろうとしているだけなんじゃないかな、と思う。あと、楽しいこと。目に見えること。甘いよね、徹頭徹尾。

1月26日(水) 

今日は休日なので昼まで寝ている。起きるとまたうどんを食べる。シャノアールに行って夕方まで仕事をする。パルコの地下に行ってワインを一本買う。それから遊ちゃんと落ち合い、い志井に行く。まだ明るい時間だ。2階の席に通されておいしいものを食べる。したたかに酔っ払う。

1月27日(木) 

7時過ぎに出、帰る。明大前でふと思いついてホームにあるお花屋さんに寄って花を買う。ユーカリとチューリップとなんとかリリなんとか、緑と赤と赤。
貪るような感じで小説を読みながら電車に揺られる、片手に花が入った袋を下げていると心地がいい、それにしても自分が今何をやるべきなのか、ずうっとわからないままだなと思う。居心地がずうっと悪い。

1月28日(金) 

喉の乾きで目が覚める、まだ暗い、台所に行って水をガブガブ飲む、時間を見ると5時だった。眠いのだが眠れない感じがあって本を開くと犬が弱っている、心配になる。少し読むと目が閉じて、しかしまだ眠れずまた開けて、読み、そういうことを繰り返しながら朝に向かっていった。明るくなってからやっとそれなりにまとまった眠りに入ったらしくテレビでは立浪和義が映っていてニュース番組のスタジオみたいなところでたった一人で映っている、カメラをまっすぐ見つめながら煙草を吸いながら今年の構想とかを語っている、お酒も入っているようで呂律の回らない口で選手への期待を述べている。悪夢みたいなものを見ちゃったな、とそのときは思ったが起きてからあれが夢だったとわかってまさに悪夢だったわけだ。

1月29日(土) 

すると2時半だった、それまでまったくの凪ぎだった店が一転した。短いあいだでどわーっとお客さんが来られてたちまち満席に。カテゴリー3といったところか。すごい勢いでオーダーが入ってどうにかついていくような感じでこなしていく。4時で佐藤くんが来て洗い物をざーっと進め、最低限の秩序が取り戻されたところで慌てて出、下北沢に。ボーナストラックは今日はブックマーケットで断捨離編ということでギャラリーの前を通ると人が大勢いて本を見ていた。平台に置かれた本を見る人の背中はいいものだなと思う。少し前かがみのあの感じ。それでどうにか間に合って5時、マキノさんと水澤さんが店の前で何か話している。今日明日は僕は夕方まで初台、夕方から下北沢というデュアルシフトの日。それでマキノさんと交代して今日は店内はそこそこ、テイクアウトはまあまあという日のようで今はもう静かだった。

1月30日(日) 

閉店すると昨日の反省を生かして片づけとレジ締めを最後までやりきってから座って、ビールを開ける。飲んでいる。飲みながらしているのは昼間の続きで挟み込み読みものの制作。さっき野口さんに必要な文字の大きさというかどこまで小さいとよくないのかの話をうかがったら野口さんはちょうど今仕事でそういう挟み込みの印刷物を作っているところだったらしくて7・5までだと断言した。それを踏まえながら作業する。それっぽい形ができたので印刷してみるがここでつまずき、調べながらブックレットプリントという技を覚える。しかしここでもややつまずき、表と裏で天地が逆になってしまう、こんなシンプルそうなことでと思いながらけっこう手こずり、しかし解決。近藤聡乃さんの分と稲田俊輔さんの分をつくり、印刷。10枚ずつくらいカットして折って、紙はただの白いやつでもともとは『読書の日記』の挟み込みみたいな色のついた紙で考えていたが、白でもまあいいのかなとも思う。その挟み込みの、ピンクとオレンジの中間のような色のやつは参考にするために今日持っていて、そこで久しぶりに保坂さんに書いていただいた文章を少し読み、改めて感動する感覚があった。あなたからいただいたその言葉で、私はもう他の何をも必要とせずに、これから先も書き続けていくことができるようになりました。と改めて思う。そう思いながらもちろん『親密さ』を思い出していて水を掛けられた女が濡れた顔でまっすぐ前を見ながら話している様子が浮かぶ。
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