抜粋
1月10日(月)
帰りながら論理パターンの組み立てについて学び、そこで学んだことをもとに実践してみようというコーナーになる。「あなたもぜひ1枚の紙とペンを用意し、紙上トレーニングをしながら、読み進んでいただきたい」とあるが愚直にそうしようと思えるか思えないかはやはりアクチュアルに感じているかどうかに懸かっていてたいてい、と言ってもそれがどういう本におけるものだったか具体的には覚えはないのだが、たいていは真面目に実践せずにそのまま読み進めてしまうのだが、今日は愚直にやりたく思ったので「ベータ社に関するヒアリングの内容」を読み込むとそれ以上は進まずに本を閉じた。
1月11日(火)
そのあと取材チームがぞろぞろとやってきて今日はこんな大所帯の取材は初めて受けるという多さで13人だ。13人を動かすというのは一日だけでもずいぶんお金が掛かるだろう、どんな予算なんだろうかと思うし、13人全員必要なのだろうか、だとしたらなんだかそれはとてもすごいことだし、人が人と手を組んで協力し合ってスキルや知識や労力を持ち寄って何かをつくっていくというのは、すごいこと、なんだかいいことだなと感じた。モデルさんもおられる取材でしゃべりよりも撮影の比重が大きいものだったが、モデルさんの質問を受けて僕が答えるみたいな場面もあってしゃべっていたら『ラインズ』という本を読んでいてということで、「あ、ティム・インゴルドですか?」と返せたのは物知りっぽくて満悦だった。
お土産におにぎりをもらった。
1月12日(水)
終わって7時過ぎ、まだまだやらないとと思っているのだがなんだか今日は休みのような気もしているし、というか今日を休みとしなかったら今週休める日がない、だから仕方がないかなとも思いつつ、だけどやらなくてはいけないことはたくさんある、しかし体が仕事をし始めてくれない、ずうっと座っている、ソリティアに手が伸びそうになるがそれは抑えられた、でもデイリーポータルZを読んだりしている、眠くすらなってきた。
スーパーに行って大袋のポテチとビールを買ってきて、今日は諦めたようだ。あたたかい部屋でポテチを広げると乗代雄介を読み始めて「生き方の問題」、楽しい。遊ちゃんが青汁の粉が変なところに入ってしまって噎せている、激しく噎せていてちょっと心配になるような噎せ方だった。「生き方の問題」が終わるとそのまま表題作の「最高の任務」も読み始めてこれも面白い。
恥ずかしい昨日の日記を消そうかどうかさんざん迷ったけど、結局消さずに書き始めた。なぜって一行消してみたら、その隠そうとした跡が死ぬほどみっともなかったから。昨日の私はバカだった。
乗代雄介『最高の任務』(講談社)p.98
明日のトークのイベントではこのことを話したいなと思って小説は今はなき叔母をめぐる話だ。
1月13日(木)
今日はトークのイベントで内沼さんと「書くことの楽しみ」というテーマで話して、内沼さんに身を委ねているというか内沼さんに聞かれたことを答えていけばいいようにしてもらえるだろうという無責任な安心感みたいなものを持って臨んでいるので気が楽で、実際そうなった。1時間で終わり、挨拶をして帰る。帰りはスカイツリーが見えたり東京ドームが見えたりして幡ヶ谷で下りるようだ。そうか幡ヶ谷には高速の出口があったのか、どこに出るのだろうと思ってワクワクしながら外を見ている。オー、ヤー、あの小さな―ああ―来るぞ、来る来る、あのかわいい―AHH―
幡ヶ谷!
1月14日(金)
交代すると下北沢へ移動して広場の電飾が全体的に消えている感じがあってどうしたのだろうか、やってない施設みたいに見える。ラウンジでいくつか今日絶対にやらないといけないことを済ませるとカバー・帯巻き作業。「愛と死の人類学」を聞きながら。やればやるだけ効率化できるポイントが洗い出されていく感じが楽しく、「この改善のサイクルをより高速で回せたら」と思ってから「この改善のサイクルをより高速で回せたらってwww」と思う。まあでもほんとそうなんだけど。
2時間で25部。なんとなく勝手にカバーを折る、カバーを巻く、帯を切る、帯を巻くという作業をひとかたまりのものとして捉えていたが、これは分解してみんなの暇なとき作業として卸せるなとやっと思えてよかった。つい自分でやろうとするからいけない、本当にそこからは脱さないといけない。
1月15日(土)
けっこう大変な日で6時に佐藤くんが来るまではノンストップで働いていた。
それで夜はゆったりとした感じになったのでいいところで切り上げて出、遊ちゃんがまたおかずをいろいろこしらえてくれたらしく楽しみだ、しかしその前に下北沢に移動。週明けに「あのひとのフヅクエ時間」を更新したいのでその準備をいろいろ。店は暇なようで、ちょうど川又さんが仕事を探しているところでしたということだったのでカバー折りや帯カットを教えて、それからラウンジでダミーの帯をつくって写真撮影用だ。毎回写真を撮るよりもダミーのフヅクエ文庫をひとつつくってきれいな写真を撮ったらすべての本でそれを使う、というほうがよさそうな気がしたため。通し番号は000、選者は山田太郎で肩書きは野球選手とした。
1月16日(日)
いつもより一本遅い電車に乗って『ロジカル・シンキング』。やっぱり答えを教えてもらいたい! ちょっと考えて、答えや考えの筋道を教わって、それで「なるほど〜」とやりたい! 問題を出されても全然わからない、すぐに諦めて次に行く、ただの劣等生という感じになってしまって読み続けるのがしんどい! やはり『ロジカル・シンキング練習帳』だろうか!