読書の日記(11/1-7)

2021.11.12
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Googleデータポータル/くまざわ書店、『POPEYE』、『BRUTUS』、『推敲』/牛肉炒めと『東京の生活史』/文化の日、忙しくてパニック/電車の中でドラッカー、実用書と欲望/地上でつかの間きらめきたい/ドンブラボー/野方、デイリーコーヒースタンド、スイートホームサラダ/九龍、優くん、bollard/レイトショー/

抜粋

11月1日(月) 

一日中Googleデータポータルを触っていた。

11月2日(火) 

帰りにくまざわ書店に寄ったのは何か小説をと思ってのことだった、しかし最初に足が向いたのはビジネス書とかのところで「飲食店」というラベルのところを見ると10冊もなくてそのひとつがスターバックスについての本だった、結局スタバに立ち返るというかスタバから学べることは無数にあるよなと思ってペラペラ見て、でも買うことはしなかった、戻して、雑誌のところで『POPEYE』と『BRUTUS』を取って特集はそれぞれ「コーヒーと旅の話。」と「酒と飲み方。」だ。小説のところは遊ちゃんが言っていたように棚はとても小さなもので、初台もそうだしくまざわはそういうところなんだなと思う。初台同様、冊数は少ないのだけれども置いている本は面白いというかこのボリュームでこれがあるのってどういうことという本がいくつもあって、そのひとつがベルンハルトの『推敲』でドラッカーに成果成果と言われて食傷気味だったから、もっと不穏当なものが読みたいと思ってこれがうってつけだと取った。でも貴様はドラッカーが穏当と言うのか? もしかしたらドラッカーこそ不穏当の極みかもしれないぞ? ともあれその3冊を買ってスーパーで野菜を買って帰って、まだまだ仕事。雑事、こなしていく。

11月3日(水) 

今日は6時で山口くんと交代というか山口くんが来る、忙しければそのまま一緒に働いて暇であれば様子を見ながら先に帰る、そういうのがいいだろうと思っていて6時までで交代、ちょろいもんだと思ったけれど10月までは8時までひとりで営業することを「フル番」と呼んで、週末であればいささか張り詰めた気持ちというか緊張感を持って臨んでいた、それが2時間縮まっただけで「余裕だな」と思うこの感じはなんだろうと思う。たぶん感覚としては2時間縮まったというよりも、割合なんだと思う。8時までの営業をひとりでこなすのは100%その日の店を自分で回すことで、今日6時で交代になるのはいわば、シフトとしては24時までだから12時間の営業だとして、そのうち半分、今日の営業の50%を自分が担う、と思うと100と50で半分だ! みたいなそういう気楽さでなにか詐術めいている。

11月4日(木) 

僕は今日もドラッカーを読んでいて、電車の中で開くたびに「この人は経営者の条件を学びたいのだな」と周囲の人に思われそうで恥ずかしい気持ちが湧く。こういうのを実用書と呼ぶのかよくわかっていないけれど、実用書にはこういうところがあるよなと思う。実用書はその人が今持つ欲望や関心を代弁してくれてしまう、自己紹介になってしまう。『経営者の条件』だと「経営者の条件について学びたいんだな」だし『起業のファイナンス』だと「起業のファイナンスについて学びたいんだな」だし『武器としての交渉思考』だったら「武器としての交渉思考について学びたいんだな」で、それはその通りだ、これはなかなか恥ずかしいことだ。小説はこういうことは起こらなくて『一九八四年』を見て「1984年について知りたいんだな」というのは見当違いだし、『地上で僕らはつかの間きらめく』を見て「地上でつかの間きらめきたいんだな」というのは、いやたしかに、僕らは、つかの間、きらめきたい。

11月5日(金) 

野方に着くとまずはデイリーに行って大人気だ。すごいなー、たくさん人がいる、これはすごいことだなーと感心してカフェラテをいただき、横のスペースで仕事をしている。給料を振り込んだりそんなことをして、それからアイデアを練っていくみたいなことをしていると人が近寄ってきたのを感じて優くんに見つかってしまった! こんなパターンある? と優くんが呆れるように笑って僕は「来ちゃった」と言う。喜んでくれた。今スタッフと交渉中で、もしかしたらヘルプに行かなくて済むか行っても早く上がれるかも、ということだった。 ひとまずは仕事だ。流れている音楽は日本の音楽で最近のやつなんだろうなと思うものもあればだいぶ前のくるりの懐かしい曲があったりして、と思っていたらああ、ダメだ、一音目でもう、ああ、となる、夕暮れ、までどれくらい、空の色はUFOを見た、ことがある、と向井秀徳が歌い始めてナンバーガールの「YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING」だった。胸がわしっと掴まれる、そんな心地になった。

11月6日(土) 

6時で佐藤くんが来たら、やはり気を張ってがんばっていたのだなと知れて気が緩んで一気に疲れが出てもう一切働く気が起きない。夜、断りもなく店を抜けて榮山さんと屋上で話した、とても久しぶりに榮山さんに会った、週末の初台を僕が独占してしまっているから榮山さんと野口さんは長らく下北沢だけだった。屋上に上がる途中、3階の税理士事務所の前に紐でくくられた本がたくさんあり、大体は税務とかの仕事に必要そうな本だったがそのうち文庫本の山が3つあってドストエフスキー、トルストイ、漱石とかいろいろ。ドストエフスキーの『二重人格』という読んだことのない岩波文庫があって、他にも気になる本がある、『戦争と平和』もいつか読んでみたかった、もらおうかな、と思う。

11月7日(日) 

11時過ぎに出、晩ご飯をどうしようかなと思いながらドラッカー読んで帰る。「現在集中して取り組んでいる仕事以外のものにコミットしてはならない。現在の仕事を終わらせた後、改めて状況を検討し、優先すべき次の仕事を選ばなければならない」。ラーメンはないか、どこかにラーメンはないかと駅前をうろうろしてちょうど諦めたところで遊ちゃんから電話があって、飲んできた帰りで今駅に着いたところらしい。お手々をつないで一緒に帰る。遊ちゃんは電車で村田沙耶香の『地球星人』を読んで怖すぎて不安になって電話を掛けてきたとのことで、読んでみたくなった。コンビニでハンバーグとひじきの煮物を買って帰り、シャワーを浴びてから食う。
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