カフェバーぽい 御中

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なんの店をやるのと問われるたびに、じっくり話す時間があるときはもちろんちゃんと話したのだけど、ちょろっと挨拶がてら聞かれるみたいな局面ではいつも「カフェバー的な感じの店です」となんとも濁った言い方をしてきた。
なんとも曖昧だ。
実際にそういったタグというのか拡張子というのか、で言えばwebのディスクリプションというのかな、そこにも「一人の時間をゆっくり過ごしていただくための静かなカフェというかバーというか食事処というか、そういう類の店」と曖昧で濁った書き方をしていて、強いて言うならそうとしか言えないというか、そうとしか言いたくないというか。(開店二日目くらいまで「~静かなブックカフェ。」というふうになっていて、いや、やっぱりこれは違う、これはいけないぞ、と思って至急今の形に直してもらった)
「カフェ」という拡張子は確かに、なんかゆっくりできそうでコーヒーが飲めてご飯が食べられてお酒も飲めてという全部をカバーする便利なものだろう。
ただ、これだけカフェという言葉がそこらじゅうに氾濫して、英会話教室や人材派遣サービスまでもがカフェを名乗ったりする時代に、今から名乗るに際してカフェという言葉を入れることはためらわれる。じゃあ食事処かと言われれば、定食こそあれど、意味する射程が狭すぎる。それではバーかと言ったら、バーなんて数えるほどしか行ったことないから俺よくわかんないしなーというところになる。本当は「店」ぐらいの感じで言いたいけどさすがに無愛想なので、ここはやっぱり「カフェバー的な感じの店」ということか。
先日、見積りをお願いしていた業者の方が持ってきた見積書に「カフェバーぽい 御中」とあり、これ完全に社内用に使ってたの間違ってそのまま印刷してきちゃったパターンじゃないですかと思いつつ気がつかないふりをしながらニヤニヤしてしまうことがあった。
ここにはこの店を軽んじる態度以外はほとんど何もないと思うのだけど(発注量もものすごい少ないだろうし軽んじられるのも当然なのだろうけど)、そうそう、カフェバーぽいくらいの感じで認識してもらえるといいよな、この「ぽい」って大切だよな、「っ」を入れるか入れないかで人柄というか手癖というか何かが表れている感じがして愉快だな、と思ってちょっとうれしくなった。
それにしてもこの「ぽい」っていう適当な2文字の力ってすごいな。多くの部分を台無しにしてくれる。
何を書きたいのかわからなくなっちゃったな。
まあきっとつまり、フヅクエは「カフェ」とか「ブックカフェ」というよりは「カフェバーぽい店」としてやっていますよ、本当は「一人の時間をゆっくり過ごしていただくための静かなカフェというかバーというか食事処というか、そういう類の店」と、ここまで言いたいけど、短く言うなら「カフェバーぽい店」といったところですよ、だいたい、ということだ。
まあ、この違いがお客さんにとってどれだけ意味のある違いなのかはわからないけど、とりあえずそんなところです、というところだ。