なんか異様に眠く、気遣いという文字列がどうしても気違いに見える程度に眠く、その眠気を妨げるものがなにもない、静かな夜、指先までこのうとうとが伝わり、いつにも増してやわらかいタイピングの音が送り返されよりいっそう眠い、昨夜なんでだか4時ごろまで眠気がやってこなかったのがいけなかった、眠れない夜、どうにか意識よ眠れと本を開き、酒を入れる。この夜に飲むつもりのなかった金麦がひと缶ふた缶とあけられていく、の、でしょうか。
それで読んでいた本はダニエル・アラルコンの『夜、僕らは輪になって歩く』という素敵タイトルの小説なんですがペルー系アメリカ人の作家で小説の舞台はペルーなんですがペルーといえばバルガス=リョサともうひとつ思い起こしていただきたいものとしてはピスコなんですがピスコはペルーのお酒でぶどうの蒸留酒なんですがピサロがなんかぶどうの苗か何か持ち込んだとかそういう始まりとかの蒸留酒とかなんですが長きにわたって無意味にというか無闇にというか闇雲にプッシュし続けているカクテルがピスコサワーなんですが夜、輪になって歩く僕らが飲むのは飲むとしてもビールであって今のところはピスコのピの字も出てこない。ピスコのピの字が出てきたのはチリのあの度し難くすばらしいアレハンドロ・サンブラの「盆栽」でたしか二度、かなしい恋人たちがそれを飲んでいた。
そういうわけで今日は特別にフヅクエで作っているピスコサワーのレシピを大公開しちゃうぞ。
1.卵を割り卵白と卵黄に分ける
2.卵白をシェイカーに入れる
3.卵黄を小鉢に入れる
4.卵黄に醤油を掛け、冷蔵庫に入れる
5.そのまま一晩か二晩か冷蔵庫に入れておく
6.昼食か夕食の際に醤油のコーティングのなかでねっとりとした塊になった卵黄を冷蔵庫から取り出し、ご飯にのせ、食べる
という感じで、卵黄の醤油漬けが今日の昼飯においしく食べられました。それにしてもピスコサワーはPOWER PUSH!している甲斐あってかそのおそらくの知名度の低さのわりにはしばしば注文いただくカクテルで、フヅクエだと卵白+ピスコ45cc+レモンシロップ30ccをシェイクしてあれして上からアンゴスチュラ・ビターズを1滴2滴たらしてシナモンをはじめちょろちょろなかぱっぱという感じで振って作るんですけど、おいしいんですけど、すごい飲みやすくて、甘く、爽やかで、そして強烈、というしろもので、たいへん。たいへんたいへん。ところでこの夏はカイピリーニャでも出してみようかなとか何年かまえに考えていたこともあったのだけど先日オランダのおしゃふとなあ間違えたクラフトなジンを買った酒屋さんで目に入ったポップが「今年の夏はカイピリーニャ」みたいなあれでそれでカシャーサが売られていた。今年は、カイピリーニャの、年に、なるの、dらおう、か。
photo : sachiko saito