気が遠くなる

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ジムのランニングマシーンで走行する際は正面のディスプレイはオフにして音楽を聞いたり聞かなかったりというのが平常なのだけど、先日テニスの試合をやっていたので「運動を見るのもまた一興」と思ってそれを観戦した。ナダル対フェレールの試合で、第1セットはフェレールが7-6で取って、僕が見ていたのは第2セットで両者がずっと自分のあれをキープし続けている様子だった。
なんだかそれを見ていたらテニスすごいなと思って、4回ポイント取ってやっと1ゲームで、それ6回やって1セットで、それ2回やってやっと1試合勝つわけでしょ。「ひえ〜、気が遠くなる〜」と思って、すごいなというか怖いなと思って。あとで結果を見たところナダルが勝ったらしいのだけど、ということは6ゲーム取っておいて取られたセットのあとに6ゲーム取るのを2回やったわけじゃないですか、全部で18ゲーム取ったってことは全部で72回以上は「よし!」みたいな場面があったわけで、その「よし!」1回につき、何回か知らないけど、何回も失敗しないで打ち返すっていうことをやっていて、だから何百回とか失敗しないっていうことをやっていて、と思うと「ひえ〜、気が遠くなる〜」と思った。もちろんポイント取られたぶん何十回も失敗をするわけだけど、それにしても。
僕がナダルだったら6ゲーム取った末にセット取られたら「え〜、勝つにはこれから12ゲーム取らなきゃいけないわけ?12ってことは48でしょ、48ってことは……ぷえ〜遠すぎるわ〜。よしんば2セット目とっても次のセット取られたら負けなわけでしょ、なにその徒労、だったらいさぎよく2セット目で負けますわ〜」という気になっちゃいそうだなというか。
ところで僕は中学時代はソフトテニス部に所属していたのだけど、たいへん勝負弱かったのだけど、その勝負弱さがとても納得いくというか、こういうメンタリティの人間はテニス向いてないんだろうなとなんかいま書きながら思いました。
この3連休は調子がいい3連休で、「休日コンスタントにこれくらいいったらすごい楽になるよな〜」という3日間だった。
とは言えその3日間で来られた方がそう聞いたときに「あーやっぱりいい感じなあれだったんだねーあれは」と思う方と「え、あの閑散の状況で!」と思う方と両方出てくるだろう感じで、すごい暇な時間とかも毎日あって、ヤクルトのファン感謝デーに関する記事にあった「たまたま球場を訪れていた野村克則バッテリーコーチは」という記述がジワジワと面白すぎて笑いをこらえる場面や「じゃあ私クッキー焼くね」みたいな場面もあったくらいなのだけど、均して見ると「よしよし」というふうだった。
雑誌の効果だったりするのかなとも思いそうになるのだけど、そういう方も確かにおられたとは思うけど多くが初めてではない方だったので、健全な集客+アルファ〜という感じで総じて健全な感じだったのではないかと。
という3日間を終えて、終えてというか今朝起きた瞬間、ふと恐怖に見舞われたのだった。「ちゃんとやっていくってことはこの「よしよし」感をずっと続けていくという感じなのか!」と思ったら、なんか「ひえ〜、気が遠くなる〜」というふうになって。どれだけラリーを続けなければいけないのか、どれだけ「失敗するかと思ったけどなんとかネット越えてくれた〜」とか「失敗するかと思ったけどなんとかラインの内側に落ちてくれた〜」とか思わなければいけないのか。3日で「ほえ〜」だったのを1ヶ月続けて1年続けて5年続けて10年続けて、とか考えたらちょっとぞっとするというか、「磨り減りそ〜」みたいな。
まあ、そう思ってちょっと怖くなったんですけど、これも結局なんていうか途上の感覚というか、これまでのフヅクエにとってこの3日間の集客および売上というのがなかなか達しなかったところに連日で達したものだったから、慣れない風景を見たという感じだったから、「こんなギリギリ狙って全力で拳にぎって「よし!」みたいなラリーを何回続けなきゃいけないの〜」という恐れが生まれたというところなんだけど、それが平常気味になっていったら、つまり底上げというかベースアップというか同じか、なんで言い換えたんだろう、まあ、それをしていったら、そのギリギリ感とか全力感とかも薄れていって「これくらいはまあ普通に打ち返しますよ、ラリ〜」になっていく、ということなのかな、であるといいな、と思った、次第だった。
なんというか、世界ランク150位の選手が10位くらいの選手にまぐれ勝ちして「うわ〜勝てちゃった〜どうしよ〜追う立場から追われる立場へ〜」みたいな、いやいやあなたやっと140位だよみたいな、そういうあれでした、という話というか。
あそうだ思い出した。ずいぶん収まりのいい話になるというか華麗に冒頭のトピックに還る格好なんですが、僕ジムで走り始めたときにもう何十年も運動なんてしていなかったので無理しちゃいけないぞというところで時速5.5kmから始めたんですよ、徒歩より遅いんじゃないか?という速さなんですけど、そこから始めて0.5km/hずつ速くしていって、7km/hあたりになったところで「あれ?俺、もしかして長距離の素質あるのでは?」とか思ったりしたんですけど、長距離っていっても走るの30分だから3キロとかね、それでそういうあたりでたまに戯れに10km/hとかに設定してみたときに「これで走り続けるとか到底www 気が遠くなる〜」と思ったんですよ。それが今では10km/hで「なにか?」みたいな顔して走っていて、なんかこう、いつ有能なコーチがやってきて「5年後の五輪を目指して」みたいなこと言ってきてもおかしくないよなと、そんなふうなんですけど、これですよねこれ。慣れていくんだよなっていう、そういうあれ。だからフヅクエもちゃんと底上げしてくださいねみたいなあれというか。後生ですからというか。
でした〜。