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昨日からコーヒーが入れ替わって、中深煎りがマンデリン、中煎りがメキシコになった。
メキシコの豆はサンタテレサ農園というところで作られている。サンタテレサ。今日はそのあたりを少し書いてみようと思う。
「砂漠のなかのだだっ広い街」
それが3人の批評家たち--ジャン=クロード・ペルチエ、マヌエル・エスピノーサ、リズ・ノートン--がこの街に抱いた印象だ。
サンタテレサ市はメキシコ北西部、ソノラの州都であり、アメリカ・アリゾナ州と国境を接する。国境を越えたらすぐにツーソン。
製品組立工場であるところのマキラドーラの街として栄えているともいえるし、致命的に荒廃しているともいえる。
この証言は、街の持つ多面的な性格をもっとも端的に描写しているように思われる。
「ここは完璧な、何不自由ない街だ」
サンタテレサの新聞社とラジオ局に勤めている記者のチューチョ・フローレスは、中心街にあるホテル、ソノラ・リゾートで出会ったアメリカ人記者オスカー・フェイトにそう言う。彼は続ける。
「ここにはなんでもある。工場、マキラドーラ、低い失業率--メキシコでもっとも低い--、コカイン・カルテル、絶えずよその町や村からやってくる労働者、中米からの移民、都市計画が支えきれないほどの人口増加、金もある、貧困もたっぷりある、想像力に官僚主義、暴力もあれば落ち着いて仕事をしたいという欲求もある」
サンタテレサでは、1993年以降(あるいは以前から)、200件を超える(正確な数は誰にもわからない)女性連続殺人事件が起こっていた。どうしようもなく無能な、腐敗した警察たちは手をこまねくばかりで、なすすべもなく女たちは一人、また一人と姿を消し、殺されていった。 事件の取材のためにこの街に来ていた記者グアダルーペ・ロンカルはこう言う。「何もかもが怖くて。サンタテレサの女性連続殺人事件に関わる仕事に就くと、女性なら最後には怖くなるんです」
サンタテレサ刑務所の周りを車で走った朝の心情を彼女は吐露している。「刑務所が生き物に見えるんです(…)たとえばアパートの建物より生気がある。はるかに生気があるんです。こんなことを言っても驚かないでくださいね、切り刻まれた女のように見えるんです。切り刻まれながら、まだ生きている女です。そしてその女のなかに囚人たちが暮らしている」と……
そのサンタテレサに、ドイツ文学の巨匠ベンノ・フォン・アルチンボルディが滞在しているかもしれないという。
なんでまた彼はこんな場所にいる(のかもしれない)のか…… 批評家たちはアルチンボルティに会うことができるのか…… そして事件は……
という街だそうです。
(全部嘘です。ロベルト・ボラーニョの『2666』の主要舞台がサンタテレサという架空の街で、農園の名前を見て「サンタテレサ!」とテンションが上がったので書いてしまっただけです。ちなみに「街」を連呼してますけど僕はどちらかというと「町」派です。)
明日はちゃんと調べるか調べないかしようと思います。