「夜外読書ノススメ」(『OZマガジン10月号「夜のよりみち」』)

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なんというかずっと思っているのは、二人であるとか、仲間の方々であるとか、家族の面々であるとか、で過ごすための場所、その時間を彩るために用意された場所、その時間を贅沢に過ごすために作られた場所、というのはいくらでもあるのだけれども、これがこと「一人のために」となると、ぜんぜん本当に見当たらないぞ、というところで。
一人で過ごせる場所はいくつもあるだろうけれど、「一人のために」用意された場所というのはめったにない。一人でもべつだん構いませんよ、というものばかりだ。
席についたはいいが周囲から聞こえてくる、のしかかってくる、押しつぶしてくる、浮き世のウキウキに憂き憂きみたいな、死んでろというか、違うな死ぬべきは俺かみたいな気持ちになるというか、あ間違えたなんか余計なこと書き始めちゃった暗くなった辛くなった。
ともあれ、一人で収まることはできようとも、どこか侘びしさというか寂しさというか、「独り」を意識させられるというか、というのがほとんどだろう。
あるいは。一人のための場所、として思いつくのは僕は図書館とかネットカフェとかなんだけど、これらはそこで過ごす時間を彩ってはくれない。少なくとも僕にとっては。
というなかで、一人のために、そしてその一人時間を彩るために、という場所がもっとなんかいろいろ用意されたらいいなと常々おもっていて、今号の『OZマガジン』を読めば何か得られるだろうか、と思って手に取ったのだった。嘘。掲題の特集にて取り上げていただいて、送ってくださったためポストから抜き取った、というのが本当なんだけど、まあそれでペラペラと読んで、それで思った。今度水族館行ってみようと。品川の。なんかすげーキラキラしてるので、すげーキラキラした気分になれるんじゃないかなと、これは一縷か?この望みは一縷なのか?知らんけど、行ってみよう、俺、と思った。あとスタジアムね。野球。近いし神宮。シーズン終わっちゃう前に。ヤクルト横浜戦がよさそう。そう思った。
そういうわけで載っけていただいた。
「夜のよりみち」第2特集「夜外読書ノススメ」第一章「夜外読書スポット 個性派が席巻中」というところで、「大人のための夜の図書室 渋谷 森の図書室」、「寝落ちの幸せ♡泊まれる本屋さん!? 池袋 BOOKS AND BED TOKYO」のあいだで「絶対的ひとりしずか空間」としてご紹介いただいている。BOOKS AND BEDはすごい泊まってみたいと思ってたんですよね。完成が楽しみですね。
でまあなんというか、フヅクエがどうというのはどうでもいいのだけど、こう、ペラペラ読んでいると、一人を豊かに過ごすための選択肢が一つでも増えていけばいいというのはすごい思いますよね。とりあえずあれなのかな、上野千鶴子の本とか読んだらいいのかな、おひとりさん的なやつ。関係ない?どういうのか全然知らないんだけど。まいいや。というわけでみんなもひとりであの石原の草を刈ろうぜ!そのさびしさでではなくその豊かさでお前は音を作ろうぜ!というかね。言いたいですよ俺は声を大というかマックスにしてというか。というか。
なんつーか、こう、載っけていただいたりして今一度自分の店をこうなんていうか第三者に位置づけられたものとして見るというか客観的にというか見るというかをすると改めて思いますけど、何をもってらぐじゅありーというのか知らないけど、ラグジュアリーかつ親密なひとり時間みたいなものをね、世界にね、提示したいですよねというかね。これほんと思いますよね。お前はここで復活する。みたいな。なんだこれ。まいいや。という話でした。