週末が来たぞ

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昨日の土曜日はなんというか本当に久しぶりに「これは忙しいと呼んで差し支えのない気がするあれだなあ」という一日になって、それを僕はけっこうのところシンプルな喜びとして喜んだ。あと安心した。「おいおい、いちおう金曜日なんですけど…?」という翌日だったからその安心もより一層だったのかもしれない。
なんといいますか、たいへん蒸し暑い毎日ではありますがこちらは猛烈な寒風吹きすさぶ日々というか本当にこう、からっきしな日が続くわけで、最後にフヅクエで忙しさというのを体感したのがいつだったかなんてもうさっぱり思い出せないくらいで。
だからなんというか、週末って業務委託契約を結んでいる定食屋の仕事がないので半日はゆったりできて、さらに週末だろうと忙しくならないのであれば丸一日がゆったりになり、だから昨日なんかも開店してから「さて、今日は何するかなあ、なんかブログって気分でもないし、営業中に読みたい本っていうのも特にあれだし、はてさて、いったい何をしようか」などとのんきなことを思っていた。そうしたら意想外なことに忙しさ的なものがやってきた。
なお「忙しい」の定義は「仕込みを除く厨房仕事が一日の多くの時間で続くこと」なんですが、昨日は席が埋まるということは起きていなかったものの僕は終始というか開店から9時くらいまでだろうか、わりとずっと何かしらオーダーされたものを一所懸命および誠心誠意あるいは全身全霊で作成するという行為をおこなっていて、その間ずっと「お〜っほ、お〜っほっほ」とオリジナルの歌曲をわめくような調子で歌っていた(脳内で)。
(あれ、でもよくよく思い出してみたら途中でチーズケーキ焼いたり玉ねぎのマリネ作ったりしてたな… まあ、でもいいや、総じて「コンスタントだなあ」くらいの感じを「忙しい」の定義としたい)
なんというか、いっときは週末になれば「週末が来たぞ」という気分に一応はなるものだったし、席が埋まったり、一日を通して理想として描いていた集客が実現されるということもあったが、ここ3ヶ月くらいだろうか、もはやそんなことはなく、起こる気配もなく、「週末が来たぞ」はもはや狼少年が発するそれのように無意味な掛け声になり、なんていうんですかね、二交代制で入っている定食屋の仕事があるからこの場所を続けていく収入的なめどというか安心というかは今の段階ではあるので「やばい…やばいぞ…!」とかにはならないのだけど、もたげてくる感情として一抹の切なさというものはあって、あと寂しさとか、「わりとこの店ってほんとに求められてないのかな…いやもちろんまだまだこれからだとは思ってるんだけど…しかしさ…それにしてもさ…」みたいな、ちょっとした弱気の感がなかったかといえば大嘘になる程度には「ふーむ」と思っていたところだったので、昨日の感じを見るにつけ、ひとまずよかったというか、「まだいた」というか「まだいてくれた」というかいてくださったというか、とにかく、なんだやっぱり大丈夫じゃんみたいな、よかったよかったというか、よゆーよゆーというか、こりゃちょっと目を離した隙に繁盛店になるわというか、そんな感じだった。
そういうわけで「おいおい、いちおう日曜日なんですけど…?」というフヅクエからお届けしました。
photo by 斉藤幸子