夜はやさし

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その人々が金曜の夜としてその夜を過ごしていたのかどうか僕が知る由もなく、もしかしたら翌土曜も仕事の方もおられたのかもしれないのだけど、昨日の夜は珍しく遅い時間まで複数人というかしっかりした数というかのお客さんがおられた。
だいたいの夜は11時を過ぎたらおられるかおられないか、おられるとおもっていたらおるのおれだけみたいなこともしばしばというくらいなので、昨晩みたいに11時半過ぎに5,6名さんの方がまだおられるというあれはすごく新鮮な光景だった。
で、その感じがなんだか実によかった。
なんというか、知らないですけど、おのおのの状況というのがどういうものなのかは知らないんですけど、なんというかみなさん、明日は休みだし、存分に一日の終わりを引き延ばすぞ、引き延ばしちゃうぞ〜、というような、知らないんですけど、そういう感じだったりするのかなとか思って、「あ、はい、すごいよいですそういうの」というか。勝手に。
夜はやさしい。太陽の明るさだとかまぶしさだとか人間の早歩きだとか甲高い会話だとかが消え失せた静かな夜はやさしい。なんというか夜は個人にとってやさしい。
もちろん個人にこそ牙を剥く夜ゆえの残酷さみたいなものだとか思考をどうにもおかしくさせるたちの悪さだとかもあろうけれど、そういうの差し引いても基本的には夜はやさしい気がするので夜がいい。夜にはいつまでも続いてほしいというか、夜の中にいると「この夜はいつまでも続くように思われる」と思う。ちょっと時間という概念から遠ざかれるのが夜のような気がする。時間に一枚の膜が張られるというか。膜が張られるため刻まれているはずのものも輪郭を失ってやわらかな持続音に変わるというか。
で、なんか、夜いいなーなんか夜な感じで人々が過ごしてるこの感じたいへんよいなーと昨日の閉店間際のその時間にそれを思って、なんというか、夜みたいな店でありたいなと昨日思ったというか、まるでやさしい夜のようにやさしい店でありたいというか。
なんかいつも少なくとも1000字は勝手に書かれるようになっていて1500くらいでは収めたいなあみたいな制御に苦労くらいの感じなのだけど今日800字とかで、どうも膨らみませんでした、という話でした。