途方に暮れている。新緑の季節じゃなかったの?と問いたい。
どんなふうに問いたいかといえば下記のようなモードで問いたい。問い詰めたい。
「こんなことあるはずがない」父は、僕らを迷いから覚まそうとあたふたした。
「どうしてだよ?」
「どうしてありえないの?父さん」
僕らはそういう国に住んでるんじゃなかったのか?いつも幻想的な素晴らしいことが起こる国じゃなかったのか?死者と会話をする国だったんじゃなかったのか?ここはシュルレアリストの国だってみんな言ってたじゃないのか?
これはメキシコの小説家フアン・パブロ・ビジャロボスの『巣窟の祭典』所収の「フツーの町で暮らしていたら」からで、表題作もこの作品もどちらもすごく面白かったのでとても好きな作品集なのだけど、なんか大変なことが起こったときの父の恐慌と息子が疑問を発する様子がここに描かれているわけだけど、そんなわけで植物たちがみんな元気なく、僕は慌てふためき、そして問うている。どうしてだよ?どうして枯れていくんだよ?これからどんどん元気になるんじゃなかったのか?春が来たって君たちは喜んでいたんじゃなかったのか?これからだよって言ってなかったか?これからどんどんよくなるって、そう言ってたんじゃなかったか?どうしたんだよ?返事してよ?ちょっとは返事したらどうなんだよ?なんで黙っているんだよ?こんなのフェアじゃないよ!
という感じで、観葉植物たちがどんどん葉や肉を落としていく。昨夜は多肉植物が一つ、しかもいただいたやつだ、根腐れを起こして終わってしまっていたことが発覚した。
唯一元気なのがワイヤープランツを生やしている吊り苔玉で、彼だけはピンピンしているのだけど、他の方々、どれもなんていう種類のやつなのかわからないので名指せないのだけど、どいつもこいつも元気がない。
いったいなにが起こっているんだ?
エアコンの風が悪いのだろうか。だとしたら、悪いけどそれは止められませ〜んと言うほかない。水の頻度や量が大間違いなのだろうか。それとも日当たり?
僕は途方に暮れている。
何をしたらいいのかわからないので一番大きなやつ、もっともどんどん葉を落としていくやつ、写真のやつ。そいつに、100均にアルフォートを買いに行ったときに目についたので買った「花木液肥」と書かれたやつを一本、ぶっさしておいた。これで持ち直すならいいのだけど、そんな簡単に事は運ぶだろうか。
途方に暮れる。
すべてがダメになっていく。何もかもが枯れ落ちたとき、僕はいったいどうなってしまっているんだ?
本日、プロ野球開幕。