6月10日、「初台・幡ヶ谷で4件内見」とある。続けて「幡ヶ谷の1件が安いしいい広さだし天井高いしで気になるも、廊下や複数テナントフロアの感じ、目の前が大きい道路の感じにひっかかったり」と。
初台の物件については何も触れられていないが、内見は初台から始まった。まったく馴染みのない町だ。
1階が理容室の古びたビルの2階で、美容室だったらしい。天井は低く、広さは図面を見る限りはちょうどよさそうなものの(57平米とあるがこれは図面左の階段のところまで入れた広さで、実際は45平米とか)、コンクリートブロックを積んだ壁で空間が仕切られていて一望できないためか広さの印象がよくわからない。一面が窓になっているのはとてもいい。向かいは壁だけど。
ビルの入り口のところで待ち合わせた不動産屋さんの方と一緒にうろうろと見ながら、なにせ初めてのことなので何を見たらいいのか、と思いながら「ほうほう」とか言いながら見る。
その方に2階以上の物件で窓が広くて席数は10で、みたいな条件を伝えたり、どのくらい工事ってのはお金掛かるもんなんですかね、等を聞いたり。
そのとき教わったことがノートに記されていて、箇条書きで「12坪くらいで十分ではとのお話」「ガス水道電気伸ばすとか、防水シートの面積とか、そういうのでいろいろ変わる。厨房機器抜きの基礎工事で4〜500万くらいかなとのこと」「天井は上げられたり」「鉄筋コンクリートの床は下げられないからグリスト作るには床上げる必要」「2Fよりもっと高い方がいいのではとも。景色的に」「居抜きはやりたい感じからすると厨房機器過剰だったり配置変えるとかやったら割りとしてはよくなくなるのでは」「バー物件とかの方が向いてるかも」とある。
聞いたらいろいろと的確に教えてくださる感じで、なんというかありがたいなと思った。
そのあと幡ヶ谷に移り、別の不動産屋さんと会って3件見た。幡ヶ谷の方が同じくらいの広さでも5万くらいは安い印象で、上述のように1件なんだかよさそうなところがあったが、引っかかるところもあり。他のところは建物がきれいすぎたり、全然ピンとこなかった。
また、こちらの不動産屋さんはどうも話が合わないというか、打っても響かないというかトンチンカンな音を鳴らすというか、聞きたいのそれじゃないんだよなーという感じで、できるならば初台の方みたいな方と関わりたいものだと思った。
「帰り際に渋谷の日本政策金融公庫に行き融資の相談。岡山の3年間の実績はゼロという感じになんとなく現実を突きつけられる」
日本政策金融公庫は渋谷のあの坂のところ、ゴリラコーヒーがあるあたりの坂のあたりの建物の5階あたりにある。最初の不動産屋さんに「早めに行っておいたほうがいいですよ」と言われたのでさっそく行ってみた格好だった。
で、引用の通り、それまでの3年、僕は岡山で店をやっていて、ずいぶんしっかりした利益を出しているつもりでいたのだけど、日本政策金融公庫の方からしたらそんな数字小さすぎて見えませんルーペなしではとても、という感じなのだろうなという感じだった。
「その売上ですとこじんまりとしたお店をされていたんですね」「いえ、こじんまりという感じでもなくて40坪くらいはあったかと」「?(どういうことだ…その売上でその広さでその利益って、どういうことなんだ…?)」みたいな。
まあ東京の人には地方の家賃の感じが想像つかないのもしょうがないのかなという気はしつつ、ともあれ「ここは東京ですし競争の激しさも違いますし」という感じで、地方の家賃相場は知らなくても地方の競争の度合いは知っているかのような口ぶりだった。ま、いいや、きっとそうなんでしょうし、と思って、いや、なんかモヤモヤすんなーと思って帰った。
そうやって内見初日が終わったわけでした。