エッセイシリーズ「あのひとのフヅクエ時間」&選書販売企画「フヅクエ文庫」スタートします

2021.12.06
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誰かにとっての忘れがたい読書の時間の記憶を綴ってもらうエッセイ「あのひとのフヅクエ時間」と、誰かにとっての大切な本を販売する「フヅクエ文庫」の2つの企画を、この冬スタートします。
その第1回として、オリジナルブレンドコーヒー「フヅクエ時間ブレンド」のイラストも手掛けていただいた、マンガ家、アーティストの近藤聡乃さんによるエッセイと選書を12月8日に公開します。
その後、稲田俊輔さん(料理人・飲食店プロデューサー)、雪浦聖子さん(sneeuwデザイナー)、三宅唱さん(映画監督)、滝口悠生さん(小説家)ら、さまざまな方によるエッセイと選書を順次公開予定です。
「フヅクエ文庫」は、帯に記された選書コメントを頼りに選んでいただく覆面本スタイルでの販売です。本を包むブックカバーと帯は太田真紀さんにデザインしていただきました。
誰かの読書の記憶に触れ、そして誰かの大切な本と出会う。
素敵な体験をお届けできるものと信じています。
どうぞご期待ください。







「フヅクエ時間」という言葉を僕たちは今、「豊かな読書の時間をめぐるもの全部」という意味で使っています。
フヅクエで過ごしていただく時間ももちろんそうだし、家や、移動の電車や、ベンチや、どこかのお店や、いろいろな場所で過ごされている読書時間もそう。読んでいる時間だけではなく、誰かと本にまつわる話をしたり、ある本の一節や情景をふっと思い出す時間も。
もともと、最初の緊急事態宣言が出されて多くの人が自宅生活を余儀なくされた2020年の春、店も開けられないし、フヅクエにできることは何かないかなと思い、読書の時間をゆるやかに共有するハッシュタグ「#自宅フヅクエ」を始めました。それはとてもいいもので、あの時分の言いようのない不安や寂しさのいくらかを埋めてくれるものだったように思います。
「もう自宅とは限らないよな〜」となった夏頃、「#フヅクエ時間」と改称し、地図上に読書の光を灯していくささやかなウェブサービスとしてアップデートしたのが、「フヅクエ時間」という言葉が生まれた瞬間です。
「もちろんフヅクエに来てもらいたいんだけど、でも全部愛おしいよね、だからもう、全部フヅクエ時間!」みたいな、そんな感じでした。
それから日夜、ぽつぽつと灯される明かりや、このハッシュタグとともにつぶやかれる投稿を見ながら、本とともにある誰かの生活の断片をこうやって覗かせてもらうことは、ひとりの読書好きとしては、本当になんだか心地がいいものだな、と思ってきました。今も誰かがどこかで本を読んでいる、それだけで胸に灯る何か、支えられる何かは、たしかにあるように感じています。
そして今度は、あのひとやあのひとの読書にまつわる話を、その時間の記憶を、だから「あのひとのフヅクエ時間」を、ぜひ読んでみたいなと考えるようになり、想像してウキウキしてしまった以上、これはもうやってみるしかないでしょうというところでこの企画が動き始めました。それが今年の春頃。
それからずいぶん時間が掛かってしまいましたが、12月、やっとスタートの準備が整いました。
その間、基本的にはもたもたしていたのですが、ウェブサイトリニューアルのデザインを担っていただいた太田真紀さんに素敵なブックカバーと帯のデザインを、藤原印刷株式会社にブックカバーの印刷をお願いし、素敵な装いにすることができました。もたもたするのも悪いことばかりではないですね。
さて、そんなわけで、ずいぶん満を持したなあという感覚の中、始まりです。
僕はすでに上記の5人の方の素晴らしい原稿を読んでいるので断言できますが、「これは、本当に、ものすごく幸せな企画だよ」と思います。
読んでくださる方にも、さまざまな書き手による読書の時間をめぐる文章に触れながら、すっかり忘れていた自身の読書の記憶が蘇ったり、なんかやっぱ、本、好き……自分にとってとても大切だよ読書……という気持ちにしみじみ浸っていただけたりしたら、とても嬉しく思います。
フヅクエ代表 阿久津隆