1月17日(土)より、料金の仕組みを新しくします。こうなります。
シンプル!
プランに含まれる「◯オーダー」の数の中でご注文いただけます(もちろん頼まなくても大丈夫です)。その数を超えたご注文分については定価が加算されます。
「◯オーダー付き」の中でご注文いただけるメニューとしては、
コーヒー(深煎り、浅煎り、デカフェ)、カフェオレ、アマレットカフェオレ、アッサム、アールグレイ、ハーブティー、ほうじ茶、レモンシロップの飲み物(レモネード、レモンスカッシュ)、ジンジャーシロップの飲み物(ジンジャーエール、ホットジンジャー、ジンジャーミルク)、チャイ(一応シーズナルメニューですので提供していない時期もあります)
といったところです(メニューに印がついていてわかるようになっています)。
フード、アルコール、一部ドリンクはプラス料金となり、たとえばカレーだと+500円、チーズケーキだと+150円、ハートランドだと+100円、ウインナーコーヒーも+100円、みたいな形になります。
たとえば平日1-3hプランで
・コーヒー2杯だったら2090円(現行だと1980円)
・コーヒー3杯でも2090円(現行だと2475円)
・コーヒー2杯とチーズケーキだったら+150で2240円(現行だと2310円)
・コーヒー、カレー、チーズケーキだと+500+150で2740円(現行だと2860円)
といった感じになります。
これまでと比べると少しだけ安くなったり、少しだけ高くなったり、まるで変わらなかったりする感じです。
個々のメニュー価格については、これまで税抜税込併記だったところを税込表示のみにする中で、数字を丸める程度の修正となっています(パンのメニューとショートブレッドだけ50円上げています)。
基本的に合計金額には大きな変化はない変更ですが、これまで3〜4時間のご滞在だった方は1dayプランとなるため、ちょっと大きめの上がり幅となるかもしれません。
そんなわけで、これまでと比べると格段にシンプルになりました。
これまでは、「行ってみたいけれどなんだか難しくてわからない」であるとか、「行ってみたけれどやっぱり難しくてわからない」という方が多かったと思いますが、ぐっとわかりやすくすることで、より気持ちよく読書に集中していただけたら、というところでの大変更です。
ゆっくりみっちり読書の時間を楽しみたくなったら、ぜひフヅクエにいらしてください。
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というところで以上が本題で、以下は余談をダラダラ書いています。
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オープン翌年の2015年からこれまでの10年以上のあいだは「オーダーごとに小さくなっていくお席料制」というものをやっておりまして、こんな仕組みになっていました。
ご注文内容
ご飲食なし・・・お席料1500
ドリンク・・・お席料 900
ドリンク + 一品(つまみ/甘いもの)・・・お席料 600
ドリンク×2 ・・・お席料 300
ドリンク×2 + 一品・・・お席料 0
ドリンク×3 ・・・お席料 0
フード(ごはん/パン)・・・お席料 900
フード + 一品・・・お席料 600
フード + ドリンク・・・お席料 300
フード + ドリンク×2 ・・・お席料 0
フード + ドリンク + 一品・・・お席料 0
※土日祝は300円UP
なお、ご滞在時間が4時間を超える場合は、1時間あたりお席料600円ずつが新たに発生します。もちろんオーダーいただくことによってお席料は減っていきます。
考え方としては、基準の持ち点が15で、4時間超からは1時間ごとに6点ずつ増えて、それをドリンク/フード=6点、一品=3点で消化していった残りがお席料になる、というのが計算しやすいように思われます。たとえば5時間超でフード1つとドリンク3杯を頼まれた場合、持ち点は15+6+6で27点で、オーダーでの消化分は6×4で24点なので、27-24で3点(300円)が席料になります。
ご注文内容の一例
コーヒー1杯・・・750+お席料900・・・1650(1815)
コーヒー2杯・・・750×2 +お席料300・・・1800(1980)
コーヒー2杯とケーキ・・・750×2 +600+お席料0・・・2100(2310)
カレー・・・1200+お席料900・・・1650(1815)
カレーとビール・・・1200+850+お席料300・・・2350(2585)
難しい!
この仕組みは、「コーヒー1杯でも気兼ねなく存分に長居してほしい」と「店の存続に必要なだけの利益をほしい」のあいだでぐらぐら考えているときに、「フヅクエが売っているのは飲食物ではなく最高の読書の時間だ、であるならば、もっと頼んでもらえるようにしようとか、回転率を上げられるようにしようとかではなく、ゆっくり過ごしてくださった方全員から同じ利益を得られるようにすればいいんだ!」と思いついて導入したもので、コーヒー1杯の方でも、コーヒーと食事とケーキの方でも、お酒の方でも、利益が同じ金額になるように、という設計になっています。
このことによって、ゆっくり過ごしてくださるすべての方が店に必要な金額を落としてくださる方になり、全員を心の底から同等に歓迎することができるわけで、そうすると、「あのお客さんコーヒー1杯で何時間いるんだろう……そろそろおかわりを……」みたいなことは一切思わなくていいですし、お客さんにとっても、そう思われないで済むこと、どう過ごしていても歓迎される状態でいられることを知っているからこそ、「したくもないおかわりをする」みたいなことをせずとも、気兼ねなく長くいられる、を実現できました。
他では見たことのない独特の仕組みで、発明という感じがあり、誇りを持っていましたし、フヅクエといえば、みたいなシグネチャーな仕組みですらあったんじゃないかとも思います。
難しいと言われることは多々あったというか、誰に聞いてみても、それこそ何年も通ってくださる方に聞いてみても、「わかっていない。なんとなくこのぐらいなんでしょという理解で過ごしている」という感じでしたし(そしてそれでいいと思っていましたし)、中には「あの金額はいったいなんだったんだ」というモヤモヤを持ち帰る方もいたと思いますが、「正しいことをするためには一定の複雑さが必要なことがある」「入り口が難しかろうと、その先に得られる豊かさがある、フヅクエはそれを提供できる」みたいな感じで、これこそがフヅクエのあるべき姿なんだ、と固く信じていました。
なんですけど。
秋にお席料の早わかり表というものをつくって、これまでよりも伝わりやすくなった、と喜んでいたのですが、多分それがきっかけになって仕組みについて改めて考えるスイッチみたいなものが入ったようで、12月になるころに、ふいに、これまでは検討の俎上に上げたこともなかった、時間制というんですかね、1時間ごとに上がるやつ、あれについていったん思考実験として検討してみることにして、あれはやっぱり、1時間ごとに切り上がるのは常に頭の中にチクタクと時間を刻む音が響きそうで無理だなとなったんですが、では3段階くらいであればどうだ(今までも大きく3段階はあるわけだし)、と思って今の形にして、それからいろいろを検討していったら、びっくりしたんですよね。「すべての方から同じだけの利益をいただけるようにする」ということのために、これまでは言わば「足し算して引き算して足し算する」という計算方法だったんですが、これと同じ結果を、「足し算する」だけで、得られる!!!となりまして。
なぜ10年も気づかなかったんだ……という気持ちも少しありましたが、それよりも「ほとんど変わらないままめちゃくちゃわかりやすくすることができる」ということの高揚感が勝り、12月に大急ぎで用意して、ちょうど今年は年末年始営業を初台でやることにしたので、そこに間に合わせて5日間の試運転をしてみました。
すると、なんというか、ご注文までが早い。これまでは初めて来られた方は案内書きを開きながら、「うーん、これは、いったい、なんなんだろう」という時間があったと思うのですが、それがぐっと短くなった感じがありました。それはつまり、より早く読書を楽しむ時間にできる、ということで、これだけでもめちゃくちゃいいなあと。当然お会計もスムーズで、いやあ、これにしない理由がもうないなあと。
これまでも、難しい仕組みをどこまで維持できるのかについて考えることはありました。今後もしフヅクエを全国に増やしていけることになったとして、この仕組みでどこまでやれるだろう、お客さんに難しいというのはスタッフにとっても難しいということだし、広がっていくことを考えるとけっこう近いところに限界はあるんじゃないか、みたいに思ったりはしていました。
シンプルさに舵を切るときが来るとしたら、それは大きな目的の達成のために細部の美しさの一部を捨ててみる判断ができたときだろう(その判断自体、僕は美しくかっこいいとも思う立場です)と思っていたんですけれども、まさかまさか、ほぼなんも捨てずにシンプルさに舵を切ることができたとは〜、という、驚天動地のこの1ヶ月とかでした。
というわけでの大変更でございました。
これまでの「お席料の枠内であればオーダーの多寡にかかわらず(計算上は)本当に一律同じ利益」という、僕の中での納得度とか公正度みたいなものは100だったものから、今度のものは90くらいに落ちた感じはあります。今度のは、お得ということでいえば、◯オーダーの分だけ頼んでもらったほうがお得になります(お客さんにとってお得になるというか、オーダーが少ないほうが店の利益額は少し大きくなります)。そこも「オーダー数未達の場合はそれに応じて」みたいなことも考えはしたのですが、そういうことをしているとまた理解しづらさに戻っていくことになると判断し、シンプルさに寄せさせていただきました。
これまでの仕組みに馴染んでくださっていた方の中には、なんだかしっくり来ない、という方もいらっしゃるかとは思いますが、大丈夫、あれだけ難しいものに馴染んでくださっていたのだから、すぐ馴染む、とお伝えしたいと思います。
よりいい時間を過ごしていただけるように精進していきたいと思います。
そんなところで、新生フヅクエという気分です。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
フヅクエ店主 阿久津隆