僕らは3つの言葉を繰り返していた。壊れたレコードみたいに。イルガチェフェ、イルガチェフェ、イルガチェフェ、と。
誰かがそんなふうに繰り返している光景に立ち会ったことはないのだけれども、イルガチェフェの豆は僕も大好きで、「うわほんとおいしいですわ〜」とうっとりとするようなたぐいのおいしさがある。僕はコーヒーの味を形容する言葉をあいにく持っていないからあれなんだけど、イルガチェフェは「うわ〜ベリーな感じってこのことですかね〜」という感じがする。ともかく大好きな豆だ。
僕も大好きだし、いろんな焙煎屋さんで名前を見るから人々もきっと好きみたいで、あ、人々もきっと本当に好きなんだな、というのをいちばん感じたのはドトールに行ったときに今日のコーヒーみたいなやつで「イルガチェフェG1」て書いてあったときで、こういうところに波及しているってことは人々もきっとイルガチェフェの虜っていうことなんだな、と思った次第。
ただしかし、イルガチェフェイルガチェフェ言うけれど、そんなイルガチェフェについて僕は一体なにを知っているのだろう、エチオピアに関係するらしいということ以外、果たしてどれだけ知っているか。たぶん町か村の名前だったよな確か、というところで。
ということで調べてみた。まずエチオピア。エチオピアはアフリカの東側。モカ港のあるイエメンのあるアラビア半島は海を挟んですぐの感じのところで、連邦共和制国家とのこと。民族ごとに構成される9つの州と2つの自治区で形成されていて、国内になんと80以上の民族集団がいるとのこと。
で、そのエチオピアの地図で言うと左下、内陸側、ケニアとスーダンに接する州が南部諸民族州(Southern Nations, Nationalities, and People's Region)というやつで、諸民族州とは言えそれにしたって多いなという感じで45以上の民族集団がいる州とのこと。トップはシダマ人で19%ほどを占めている。
その南部諸民族州のわりと右側のあたりにゲデオ地区(Gedeo Zone)というのがあって、それはゲデオ人がもっとも多いからゲデオ地区。なおゲデオ人は南部諸民族州的には5%くらい。
そのゲデオ地区のちょうど真ん中くらいにイルガチェフェ区?Yirgachefe DistrictsあるいはYirgachefe Woredaというのがあって、その中の町がイルガチェフェ。
つまりアフリカの右側の国の左下の州のわりと右側の地区のちょうどまんなかくらいの区か何かの中の町、それがイルガチェフェ。
わかった?僕はせっかくわかった気になったのによくわからなくなったというところなんだけど、要はイルガチェフェっていうのはエチオピアの町の名前なんだな、っていうことがなんとなく知ってたけど改めて確認できました、ということでしょうか。