本の読める店

ひとの読書(2) 武田俊さん 2/3

Entry takedasan

ひとの生活や記憶のなかに読書はどういうふうに組み込まれているのか、聞いたり聞きそびれたりしてみる企画「ひとの読書」第2弾は、編集者・文筆家の武田俊さんにお話をうかがいました。

1986年名古屋市生まれ、文芸誌『界遊』創刊からそのキャリアをスタートさせ、現在はライフスタイルメディア「ROOMIE」、Instagram Storiesメディア「lute」などでご活躍中の武田さん、を、僕は、DOTPLACEに掲載された文章「インターネット曰く」を読んで知って、「俺はこういうものを読みたかった!」と思って興奮したのちに友人を介して知り合ってからのお友達で、そういえば本の話ってあんまりしたことないよな、と思い、お声がけした。
時は1月26日金曜日。15時から三鷹のSCHOOLでおこなわれる滝口悠生原作の演劇『高架線』を見に行く約束をしていた日、お昼に吉祥寺で待ち合わせ、くぐつ草に入ってカレーを食べた。カレーを食べ終えたところから話は始まった。(聞き手・構成:fuzkue 阿久津隆)

1/3 からの続き

阿久津
年末、来年の目標なあみたいなこと考えてたときに

武田
読みきらなくてもいい、みたいに

阿久津
そう、それをちょうど考えていたところだったんで、ほお、と思ったんですけど、それで、今、読了にこだわらないようにしよって思いながら一ヶ月を過ごしてるんですけど、なんか、今、何冊かをこう、何冊かが置かれていてそれをぽろぽろ読んだりとか、しながら、まあ、そのなかで、あの、『重力の虹』を通じて読んでるみたいな、

武田
はいはいはい、ガントチャートにできそう。『重力の虹』ってなかで、なになに、なになに、なになに、って

阿久津
そそそ、そーそー。でも、こう、『重力の虹』以外がビーって線になることもなくて、点、くらいなんですよね、ほんとつまみ、っていう

武田
どうですかそのスタイル

阿久津
なんか、わかんないなって昨日、昨日ちょうど思ってて。これってちょっとWebの記事を拾い読みしてるのとちょっと似ちゃってくるなって思って。その〜、なんだろう、それってなんか、うーん、いいとこどりというか、なんだろうなあ、その体験には、楽しさしかない、楽しさしかないというか楽さ、うーーーーーん、なんか、本読むのって、なんか、ある程度

武田
負荷が必要

阿久津
負荷が必要そうそうそう、必要というか、忍耐負荷みたいなもの、が、あったほう、が、なんか厚みみたいなもの体験として厚みみたいなものがでたりするのかな〜〜〜とか思ったりして、

武田
ぼくは、なんか逆に、書いておきつつ、や、それもなんかね、あの、記録、をしない、何冊目標、とかっていうのは、好きじゃないのは、こう、意識高い系の、方々が、今年は、200冊読みましたあ!って言って上がってくる本が、なんともビミョーな本が多くて、

阿久津
へっへっへ

武田
ゴリゴリのビジネスマンとかIT関係に関わる仕事をしてきたっていうのがあるからか、そういう人が、少なくない。別にいいんですよ、それはそれで。ただ読書に対する、なんだろ、求めてるものが違くて、やつらは周囲との差別化とか圧倒的成長!みたいな、マウンティング的に読んでる。昔からずっと、たかくら(かずき)と、あいつらなんなんだって言って、意識は、高、低じゃないと、深さなんだと。俺たちは意識深い系だから、意識深い、グルーヴ、出してこ、っていう。だから、カウンターパートでそう思ったんですけど、阿久津さんの年末? 年始か、去年読んだ本リスト、でベスト、みたいなもの、こう、切実に読んでる人の、記録って、すげーいいなって、逆に思って、あの、自分の新年の日記書いたあと。で、ぼく今つけてます

阿久津
あ、つけてる! へ〜!

武田
読了、タイミングで書いてるんですけど、読了も続けようとも思ったんですけど、でも、やっぱり手癖で、どんどんまた散らばってって、やっぱぼく多動的に読んじゃうんで、つまんで、つまんで、ってなってあの今日はこれ、とかやっちゃうんですよね、あんまよくないなあって思ってきて。なんだろう、再読したいものは、つまんで読めばいいと思うんですけど

阿久津

武田
新規に読んでるものは、つままずに、ある程度継続して、読みきるまでは、っていうほんとはそういうふうにしたほうがいいのかもって逆にもう思い始めた。併読する数を減らして。特に小説は、通読、完全にしないとちゃんとその中に、入りこめない

阿久津
ねえ。小説はなんかそんな気がしちゃうんですよねえつまんなくても、つまんない時間が続いてもそのあとにってどうしても思っちゃうっていうか

武田
なんか、サブスクリプションサービス、なんか入ってます?

阿久津
アップルミュージックくらいですかね

武田
アップルミュージック。ぼくなんかもうとりあえず入った、アップルミュージックスポティファイ、ネットフリックスフールー、ダゾーン、入ってて

阿久津
なんすか最後の

武田
最後のあのUFCとか見れるやつです

阿久津
UFC?

武田
うん、アルティメットファイティングチャンピオンシップ

阿久津
へえ〜、格闘技?

武田
そう格闘技。ってやってて、移動中も基本的に、Spotify、で聞いてるんですけど、そうすると、アーティスト単位とかアルバム単位っていうよりも、リストとか、しかも自分でちゃんとリストを作り込むとかしてなくて、Spotifyだとムードに合わせたプレイリストがあるんですね、それをずーっとつまんでるから、誰のどの楽曲って認識にならないまま、耳障りがいいものを聞いているっていう体験、これはけっこうやべーなと思った。アルバム単位の世界観とか完全無視ですからね、同じBPMのものとか、でたぶんリスティングされてるから

阿久津
そう、やあ、けっこうやばいっすよね

武田
ほんとWeb記事の拾い読みみたいな

阿久津
なんかね、なんかそうなんですよね、なんかやっぱ残らない、残りにくい気が、うーん、なんか、単純に、負荷を掛けるとかなんかちゃんと向き合うっていう、の、もそうなんだけど、単純に読書の一つの楽しみ喜びが、なんか一冊の本を、としばらく付き合ってると単純に時間的な、なんていうんだろう、読み始めから読了までの時期っていうのがちょっとこうその本となにかがこう、紐付いて記憶されるみたいな、ある気がして

武田
うん

阿久津
なんか、そう『高架線』、これ『高架線』てなんか僕は、けっこうたまらなくなんかいいんですけど、あの、たしか、読み始めは『高架線』の読書会を店でやった日に、まあその日はなんかいろいろ仕事しながらだったんで、ちょっとだけ読んで、で翌日から箱根の旅行にいって、あの、旅館の遊歩道のところで、なんかあのめっちゃ川のせせらぎみたいな感じで読んでて、ていうのをまず思い出して、それから、昨日読み返してたんですけど、だから今日武田さんのこともあって、箱根思い出したあと武田さんご夫婦が箱根にしばしば行ってみたいな話が思い出されて

武田
連想されてくるんだ

阿久津
うん、でそうすると今度は、新宿の大ガードであの、なんかビール飲みながら

武田
そうだね、読んでみなよって

阿久津
そうそう、あれはたぶん『茄子の輝き』なんすけど、飲みながら、話をしてみたいな、でそのあとに、読みましたみたいなので、あれはいつかな鶏、鶏のお店に行ったときかななんか『茄子の輝き』の話を、一瞬しようとしかけて

武田
はいはいはい

阿久津
でもまあそんなにしなかったみたいな

武田
うん、そうだそうだ、鶏のとこだ、るいすけ

阿久津
るいすけ。ていう、なんかね、そういうのがこう、数珠つなぎに、思い出されて、それってなんか、いいなあ! っていう

武田
めっちゃいいですよねえ

阿久津
いい〜!めっちゃいい〜! いやこれってけっこうぼく本の特性の気がして

武田
今日なんか、インタビューっていうか、話をするにあたって、なんかエピソード記憶型の、読書体験なんかあったっけって。あれ辿ってくと、やっぱり、幼少期と、10代後半? までで、20代以降は、あんまりかっちり出てこなくて

阿久津
ああ〜〜〜

武田
たぶん乱読し始めてるんですよね、その時期から。自分でお金を使えるようになって、買って読むものの数が増えたりとか、特にこの数年は、読む超時間が少ないから、忘れないために思い当たったらAmazon、ひたすらポチって毎日なんか届いてみたいになって、もう、体験として記憶してないですもん、これ貧しいなって思って

阿久津
なんかねえ、せっかくならねえ、したいですよねえ

武田
情報になっちゃってる。情報、未満かな、刺激? 刺激みたいなものになっちゃってて、

阿久津
あのそれは、仕事の、エンジン、みたいなことになったりとかしたり

武田
そうなんです。自分のなんか、文字のアウトプットじゃなくて仕事? しかもけっこうしゃべってまとめる系のことばっかりが多かったから、その活力にはなるんすよね。社会における自分の攻撃力にはなる

阿久津
はいはいはい

武田
でもそれってぼくの読書だったっけ? って。体験としては希薄

阿久津
それねえ

武田
昔の読書のほうが豊かだったなって

阿久津
それを、ちょっと取り戻したいみたいな

武田
取り戻したい

阿久津
なるほどねー。いやでもそう僕も、僕もというか、いや武田さんいつ本読んでるのかなみたいな。ていうかそれは、その、高校時代は野球ガッツリやってるじゃないですか、130キロとか投げて、で、大学入って、映画サークル、映画の、ところで、撮ったり、上映会やったり、いろいろやったりとか、大学3年くらいで『界遊』始めて、そのあとも、なんか、バイオグラフィー追ってったら、隙間なくなんかこう、テンション高い何かをやってそう

武田
くふふふふ

阿久津
って思って。僕とかは、なんか常に、本読むような余白というか余裕というか隙間が、あったというか、まあだから好きな本読んできたんですけど、そもそも10代のころから武田さんけっこういろいろやってるなみたいな。どんなふうに、たとえば高校生のときとかって、野球、やりながら、本読んだりしてたんですか?

武田
そうですよね、だから、どこから辿ればいいんだろ、ええと、たぶん、編年体で話すと早いから

阿久津
へんねんたいってなんですか?

武田
順番に。

阿久津
あーあー、じゃあ。ちっちゃいころからいきましょうか

武田
うん、ちっちゃいころは、超虚弱児だったんですよ

阿久津
へ〜〜〜〜〜!

武田
7つのアレルギーを、持ち、みたいな

阿久津
ほお

武田
海じゃなくて

阿久津
ふふふふ

武田
7つのアレルギーを渡り歩き、小児喘息が激しくて

阿久津
へ〜〜〜〜!

武田
まったく走れなくて

阿久津
ああ! そうすか〜

武田
幼稚園のときとかは、鬼ごっこやるときとか永久に鬼で

阿久津
それ。でも追われてるほうも楽しくないっすよね

武田
だからもうチャンチャンみたいになっちゃう

阿久津
ああはいはい

武田
で、そのときに、母親たちが、読書家だったわけじゃないんですけど、なんかあの時代の、人たちって教養としての読書みたいなのが、今よりベースにある気がして

阿久津
へ〜〜〜

武田
なんかおばあちゃん、とかおばさんが、絵を描いたりしている、食ったりしてるわけじゃないんですけど油画をやってたりして

阿久津
ヨガ?

武田
ゆが。油絵をやっていて。なんかアトリエがあったりしておばあちゃんちに

阿久津
へえ!

武田
そこでなんか、上の兄弟がいないから、大人に本を教えてもらったり、幼稚園のときはまあ絵本とか、紙芝居とか、福音館や偕成社の絵本を読んでいて、そっちのほうが好きだったんですよね、走れないし。そのときからなんか、特に用務員のおじさんがいて

阿久津
うん

武田
虫とか植物とか、めっちゃ知ってるんすよ、でどんどん教えてくれて。かっこいい!と思って。親に、こうこう話したら、ああ、物知りのおじさんなんだねえ、って言ってて、はっ!!ってなってぼく短冊に書いたのは

阿久津
物知り

武田
ものしりになりたい

阿久津武田
えっへっへっへ

武田
そっから能動的読書が始まった。で、ちょっと早熟になったのかも、しれない

阿久津
今、小1くらいですか?

武田
幼稚園か小1くらいですね

阿久津
なんか、ちっちゃい頃ってか、武田家は、本は無制限に買ってもらえるって。小学生の時とかってそういう、武田少年はなにをこれって言ってたんですか?

武田
えっとね、まずベタなのは、ゾロリでしょ

阿久津
あ〜〜〜、読んだことないんですよね

武田
ゾロリ超いいですよ

阿久津
怪傑ですよね

武田
そうそう。お母さんがね、いないのたしか、ゾロリ

阿久津
子どもなんすかゾロリって

武田
わかん、よくわかんない、おや、おかあ、ママに会いたくてなんかいろいろがんばってて、で手下の、イノシシつれて、

阿久津
ゾロリはきつねですか?

武田
きつね

阿久津
ああああ

武田
あとは、ズッコケは通るでしょ、そのあとから、小学校中学年高学年になるにつれて、なんか、いわゆる名作の、ちょっと、冒険小説?『海底2万マイル』とか、『十五少年漂流記』とか、青い鳥文庫になって、そこから、図書室、とかに入り浸るようになって、ファンタジー? ミヒャエル・エンデとか、あとなんだろう、ロアルド・ダール、『チャーリーとチョコレート工場』『おばけ桃の冒険』、ていうほうにガンガン行って。地底世界ペルシダー!とかそういう冒険、行って。読了快感を、しっかり味わったのが、ミヒャエル・エンデの、『はてしない物語』、のハードカバー版を、読んで、 

阿久津
あの箱みたいなやつですか

武田
そうこういうやつ。で、こんなん読める! って、すごいそこで快楽を、がっつり得た

阿久津
なんかエンデって、すごい影響。みんななんかエンデかあ、って、すごいんですね

武田
そう、なんだろう、『モモ』、『モモ』が、家の棚にあった。で、これなに?って言って読ませてもらったりとか。あとあれだ、『ナルニア国物語』

阿久津
あ〜〜〜

武田
全12巻くらい、読んでた

阿久津
あれってそんな昔からあったやつなんですね

武田
昔からありましたよ

阿久津
僕なんか、ここ15年くらいの

武田
映画が。けっこう古典のはずですよ

阿久津
あそうなん。あ、へ〜〜〜〜

武田
基本ファンタジー、でしたよね 

阿久津
今小5くらいですか?

武田
小学校まだそんくらい? かな。で中学生になってから、中高一貫の男子校なんですけど、そこで6年間野球部だったんですけど、中学の野球はけっこうゆるくて、でそのときに、中1か中2のときに友だちに、本好きの子がいて、これ読んでみなよとか言って渡されたのが村山由佳で、恋愛小説ってものに、ドキドキしまくるっていうのが、中1中2。これはなんかすごい!こんなふうに、なんだっけな、『翼』っていうのが、『翼』だったっけなあ、なんだっけななんかサーフィンのやつ、それがなんかけっこうなんか、性の描写が、激しくて

阿久津
へ〜〜〜、やばいっすねえ

武田
こういう、感じなんだ……とか

阿久津
ふぁっふぁっふぁ

武田
女性の、恋愛小説をいっぱい読んでたんです、そう女性作家をたくさん読んでて、それでなんかヤングアダルトみたいなところであさのあつこ『バッテリー』、森絵都さんの、『DIVE!!』っていう、飛び込みのやつ、いわゆる青春、スポーツものみたいな。なんかこう、大人の本も、面白い、大人の本ていうか、今までよりも活字が多いけど全然読めるわっていう。じゃあもう、あ行から、全部読んでこうって

阿久津
おお

武田
図書室で。買ってもらうには多すぎたし

阿久津
じゃあけっこうなペースで読んでた

武田
「あ」からずーっと読んで、ときどき飛ばして、名前を知っているから村上春樹とか村上龍とか

阿久津
それ、中学生?

武田
中3くらい。すげえ!!ってなって。でも「あ」からも続けてこって、もちろん全部は読まないんですけど、目を引くものから、たぶん中3、高1くらいのときに、「た」の、行で、高橋源一郎に、出会うんですね

阿久津
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜うわ〜〜〜〜〜へ〜〜〜〜〜

武田
で『さようなら、ギャングたち』を読んで、ええええええ!!!!ってなって。漫画が引用されている!!!!!

阿久津
あ〜〜〜〜〜〜〜

武田
なんかたぶん、まったく理解できてないんですけど、とんでもないものを読んだって体験だけがすごくて。で、大学はなんか、そういう中高の、私立の? なんか半端なおぼっちゃん校だったんですけど

阿久津
今、大学に飛んだんですね

武田
あ、ちゃうちゃ、中高一貫で大学まであるんですよね

阿久津
あ〜〜、なるほどなるほど。あ〜へ〜〜、そういう学校なんですね

武田
なんかみんな、ちゃんと、理系の人は、お医者さんがんばりましょうとか、文系の人は弁護士とかがんばってみましょうみたいな

阿久津
へ〜……

武田
そういう学校で、ふーんとか思いながら

阿久津
あ〜……

武田
ごめんなさいね、長くて

阿久津
ううん、全然全然

武田
ロースクールが、ちゃんと、日本でも整備されるっていう

阿久津
はあ……

武田
法科大学院

阿久津
あ、いや今思っていたのは、なんで優秀な人は医者とか弁護士なんだろうなつまんねーなって

武田
なんか、なんなんでしょうね

阿久津
なんかね、優秀さと興味は関係しないはずなのにね、なんかそれほんとよくないなとか思って今ぼーっと、話聞いてなかった

武田
そこも反発ありましたね。だけどその法科大学院できるっていうのをなんか見て、テレビドラマで、オダギリジョーが主演の、司法修習生のドラマっていうのがあって。なんか司法修習生って司法試験受けた、受かったあとなのかな、受かる前かな、ちょっと忘れちゃったけど、まだ弁護士も検事も裁判官も区別のない、でトライアルをやってるみたいな、のドラマが、よくて、で法科大学院に行けるようにって法学部に行こうと思って

阿久津
へえ!マジっすか!へ〜〜〜〜

武田
あでもそのベースには、あミスった、中学で椎名誠読み始めたんだ

阿久津
んんん、大事じゃないっすか

武田
超大事。それは母親の影響でした。なんか木村晋介っていう、椎名さんの私小説のなかに出てくる、弁護士が、になる、おっちゃんがいるんですけど。いいキャラなんですよ。ほほ〜、いいねえ、って、かなと思ってたのが、高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』に会ってしまって、これが小説なのか! 文学って、やつなのこれも!って。でもう文学部だけにしようっていう、っていう、一番のエポック。

阿久津
あ〜〜〜それは〜〜〜すごいなあ! 高橋源一郎は、やああれを中3高1でいったらなんか、ぶっと、なんか、殴られる感じしそうですね

武田
びっくりしちゃった

阿久津
へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

武田
であとは、そっから、彼のことがとにかく気になるんで、小説読んで、書評集とか、けっこうバンバン出してるから、そのへんの、をリンクポイントに、彼が書評した本を全部、基本的に読んでいこうって

阿久津
はいはいはい

武田
そうなると岩波とかになっていく、マルクスとかになっていったりするんですよね

阿久津
へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。ああやっぱそういう、僕の場合それってけっこう保坂和志、で『小説の自由』を読みながら、多分、いろいろ小説家を知ったりとか、あこれもこれもみたいな

武田
保坂さんからラテンアメリカは、けっこう、うまくジャンプできそうな気がしますね

阿久津
うんなんか、うんなんか大きい。『百年の孤独』とか、あーそっか登場人物一覧見ながら読んじゃいけないんだみたいなっはっは。巻き戻りながら、巻き戻りながらか、かしこまりましたみたいな。でそういうけっこう

武田
そういう人多いのかもしれないですね

阿久津
そういうパターンて、なのかもしれないですね。一人のこう、ハブから行く、みたいな感じなんですかね。へ〜〜〜〜〜。それが高橋源一郎だったんですね

武田
そう。なんかその文学史、みたいなものにも興味が湧いて、国語便覧あるじゃないですか

阿久津
ん?

武田
サブテキストの、教科書じゃなくて、便覧って、ええと、平安時代とか、『古事記』らへんから、現在までがビジュアライズされてるサブテキスト

阿久津
へ〜〜覚えてないですね

武田
なんか、超好きで、この順に、読めるものを読んでいったりして

阿久津
やっぱり順番にやりたいんですね

武田
順番にやりたいっぽい

阿久津武田
ふっふっふっふっふっふっふ

武田
なんか太宰治とかも、面白いのかもねとか言って、読んだりとかして。いやそうだ、読む時間どうしてたのって話ですよね

阿久津
ああいや、やあ全然

武田
高校生の時は常に本、持って、野球部の練習の、あとに。遠征が多かったんですよ、練習試合とか、まいっかい土日遠征、その道中とかで読んでて、

阿久津
あ、バスのなかですか

武田
バスとか電車で。保坂さんとかを読んでましたね。で先輩の人から、お前なに読んでんだよ、エロいやつ読んでんのかあ、いやぼくそういうんじゃないですけど、ふ〜〜〜〜んみたいな。やべえ、こいつらと本の話しちゃいけねえ!

阿久津
えへへへへへ。そうそうなんかそういうところで本読んだりして、どんな、なんか、こう

武田
孤独でしたよ

阿久津
あ、ほんとですか

武田
ぼくピッチャーだったんですけど、肘を完全にぶっ壊して、一年半くらい投げられなかったんですよ、そのあいだはもうずっと、ボール触らしてもらえないんで、ランニングとトレーニングルーム、っていう、もうみんなと別メニュー。でなんかこう、どんどんみんなとの距離が、できちゃって、でぼくはぼくで本を読んでるから、ちょっと高飛車に、天狗になってて

阿久津
あはは

武田
こいつらとはもう付き合ってらんねえみたいな。こうなってるから余計、距離開いちゃって、

阿久津
そりゃあ開きそう

武田
半地下のトレーニングルームに、安吾、坂口安吾を置いて

阿久津
ぶはっ!

武田
1セットベンチプレスやって、安吾を読んで、次、スクワット1セットやって、安吾を読んで、っていうのを、1年半やってたら、見事に日が入らない半地下のビルなんで。どんどんね、世の中に対しての悪意、

阿久津
ぶははははははは

武田
憎悪が、高まっていく

阿久津
やあ、見たくない光景ですねえ。へえなんか、投げられないピッチャーが安吾を読んで怒って

武田
そう。堕落が足りないのか!とか言って

阿久津武田
ひっひっひっひっひっひ

武田
ほんとあのころねえ、いかってましたねえ

阿久津
ふーんあそうですか、へ〜〜〜〜

武田
やるせなかった。それでミッシェル・ガン・エレファントを聞いて家に帰って、「世界の終わり」を聞きながら、

阿久津
あ〜〜〜〜〜〜〜

武田
バッキバキにこじらせましたね

阿久津
いいですねほんとそうですね

武田
でそのときはもうだから村山由佳を読んでいた歴史とかはぼくのなかで封印されて

阿久津
なるほどなるほど

武田
あんな女子どもの読むものをっていう、ムードだったんですね退廃的な。酒とかは飲んでませんでしたけどね、高野連が

阿久津
あーそっかそっか!

武田
大変だから

阿久津
あーそっかそっかもう連帯責任だから、ですもんねえ

武田
だから善良な、文学青年、でした

阿久津
ふんなるほどね

武田
まあ不良ですけどそれも、ほほほほほ

阿久津
へ〜〜〜〜〜〜。大学、は、日本文学、科、ですよね

武田
それしか受けなかったんです

阿久津
あれなんですか外国文学科とかもあるんですか英文学科とか、

武田
ありましたね英文学、まあ、大学にもよりますけど、仏文、英文、日文、学科レベルでは、でもドイツとかもあるのかなあロシアとかもあるところはありますけどね

阿久津
ああ。で、日本だったんですね

武田
日本でしたね。そんときは外国の、現代の作家とかはあんまり読んでないんで。古典は読みましたけど。やっぱりその、分析していった結果、ブックリスト系の本もいっぱい読んだんですよ、

阿久津
ブックリスト

武田
なんだっけな、福田和也さんとかの、『作家の値うち』とか

阿久津
ああ〜!

武田
あとは、えっと、あのときのすが秀実さんとか評論系の人が、書いた、必読書とか

阿久津
あ〜、はいはい、あ〜〜〜、そかそか。なんかさっきから、あそれ高校生か、僕大学生のときだなっていう、感じですね全体的に

武田
なんですね。ほんと友だちいなかった。なんかでも小説をただ読む行為だけじゃなくて批評っていうものがあって、批評ってものにはいっぱい引用されてるから、効率がよかったんですよね、ブックリストみたいに、読めるし、ああこういう見方があるのか、俯瞰して見るとこうなるとか、それで高校3年生くらいのときに、人文系の本を読み始めましたね。ニューアカ、的なものから始めたりとか、浅田彰とか中沢新一、で宮台さんとかも読んで、とか、あとは、カルチュラル・スタディーズ的なもの、にも興味があって、いわゆるサブカルチャーというものも評論、対象なんだ、とか、それから社会学、ってものがあんのか、とか。そっからたぶん小熊英二さんを読んで、そのへんはもう、図書室になかったんで、で高いんですよね

阿久津
そうですよねえ

武田
だからひたすら、リクエストをして。ぼくは多分、もっとも予算を使った生徒の一人だったと思う

阿久津
ああなるほど、へ〜〜〜

武田
でめっちゃ借りたんで卒業のときに、司書のおばちゃんが、図書カードを、なんか全部まとめて、プレゼントしてくれて、

阿久津
やあ、ああ! まだあります?

武田
実家にたぶん

阿久津
ああすごい。それ見たいっすねえ

武田
それ見たいっすよね。なんかぼく、探したんですけど、実家っぽかった。あれば今日持ってこようかなと。もうけっこう散漫ですよ

阿久津
いやあそれは面白そうだなあ。へえ〜〜〜〜〜!! あじゃあ、意識深い系学生だった

武田
もう最初から深かった

阿久津武田
ふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇ

武田
でもねセカチューとかも読んでた

阿久津
ん?

武田
あの、『世界の中心で、愛をさけぶ』

阿久津
あほんとですか! あの、それって、それってなんなんですか? その、こじれてるときだったらもっとも回避しそうな

武田
なんか最近、思い出したんですけど、ベースはやっぱり、ファンタジーと冒険小説だから、エンタテインメントとしての小説、が、好き、なはずで、どっかでたぶん、ダサいと思って蓋をしてたんですけど。恩田陸さんとかも超好きだし、なんかほんとはそこに差分がないんだってことに最近、あらためて、

阿久津
ふーんあ、それはわりと最近の気づきというか

武田
なんか何回かたぶん気づいて忘れて

阿久津
それはKAI-YOUで「POP is Here」って言ってたときには気づいてなかった

武田
そのときは、ポップカルチャー、は、アニメ、ゲームのほう、になっちゃってたから、俺別にこういうものだけ、じゃないんだかんなって感じで逆張りで、人文に寄ってましたねそのときの自分の、心は。あとゼロ年代批評、みたいなシーンがあった

阿久津
あ〜、なるほどね、へ〜〜。映画とかって、その名古屋にいるときとかって見る環境って、まあシネマテークとかはあると思うんですけど、けっこう、東京と比べたら

武田
全然ないっすね。盛り場にそもそも行かなかった、行く時間もなかった

阿久津
あそかそか

武田
だから映画はほっとんど見れてなかったですね高校生

阿久津
それは大学入ってからって感じ

武田
大学入ってやっぱり、こんなに、自分より本に詳しい人がいるのか、自分より本に詳しい文学部じゃない先輩が、自分より音楽も映画も詳しすぎるってわかったときに、狂いそうになって

阿久津
へへへへへ

武田
やばい!ってなって

阿久津
へへへへへ

武田
なんかね、最初野球サークル行ったんですよ!なんか不安で。ほんとは本とかの話をしたいしそういう友だちを見つけるために、大学行ってるんだけど、不安すぎて、野球サークル行って、なんかビールピッチャー一気みたいなことして、自分飲めるかどうかもわかんないから、そしたら、ピッチャーを、空けれちゃったんですよ、で、まわりがやべええ!!ってなって、こいつザルだぜ!すげええ!!っていって、はいもう一本、オイオイオイオイってなったら、気づいたら歌舞伎町でばすって寝てて、3年間ずっと大切に使っていた硬式グローブがなくなってる

阿久津
うえ!

武田
んで、母親に泣きながら電話して、いまどこにいるかもわかんないしグローブもないよお!おかあさん!!って

阿久津
ふははははははは

武田
形あるものはなくなるよって言われて

阿久津
ほおへ〜〜

武田
野球サークルはやめよう!ってなって

3/3に続く

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