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読書日記(153)

Entry diary153

9月5日(木) 

意外に目が覚めたので、まだ10時台だったが、起きた、起きて、遊ちゃんが歯医者から戻ってきて、今日はお昼からどこかで仕事だということで、時間がちょうどいいから、そうしたらリトルナップに行く? と提案したら採択され、散歩をした。代々木公園であるとかの緑を見ながら、代々木公園はいいねえ、と言った。代々木公園ではない小さい公園の中にある渋谷はるのおがわプレーパークというところは、子どもとか遊びみたいな文脈みたいなものにおいてけっこうな権威みたいなものがあるところらしかった、そこに今日は「銀行」と書かれた小屋みたいなものがあり、こういう遊びとしての銀行みたいなものを見ると、なにを発行してもらえるのかな、という考えがまず浮かぶのが面白かった。三菱UFJ銀行を見たときには「発行」という感覚は起きないものだった。それでカフェラテを買って、僕は飲む時間くらいはあるものだろうと思っていたらそうでもないようで、テイクアウトにしてもらって、また歩いた、駅で別れ、家に戻った。
たちまち書き始めるか、と思ったら、日記を書き始めてしまって、1時間が経った。渋谷はるのおがわプレーパークの名前を調べるのに検索をしていたらそのパークの口コミが出てきてグーグルの口コミは3つくらいがハイライトとして最初に出てくるけれどそのひとつが「正面道路に車を停めてトイレを使用しました。」というもので、どうしてこれがピックアップされるのか、と笑った。有用な情報である可能性が高いと判断されるのだろうか、「トイレ」とか、「車を停めて」とか。先週山口くんと餃子食おうぜと、閉店後に向かったら閉店していた中華料理屋さんのそこには「タバコの臭いは服に付いちゃうから洗わないと臭いが取れない。」とあって、口コミというより真理の発表みたいな感じがして、二人して笑った。でも、でもというか、あのハイライトというのはどうもそういう感じのようで、参考にされやすい口コミかどうかとかではなく、その場所を説明するらしい単語をできるだけ広範囲で集めて、表示する、みたいなものらしかった。

原稿と向かい合って時間を過ごしていた、ねんそう君の音源を聞いて、やはりよくてずっと聞いていたいというかその中にいたい音で、それを聞きながら、パソコンの前に、座っていた。なかなかはかどらず、頭がぼーっとしていた、いくらか富士そばの本を読んだりしていた、少ししか進まず、4時まで、と思って、3時40分だった、20分寝よう、と布団に横になると、4時にアラームで起きた、そのとき、自分が寝ているのが布団ではなくいくらか高さのあるマットレスであるような感覚になっていて、体がその高さ仕様の動きをした、もう25分追加して、寝て、それを繰り返していたところ6時だった。これは気持ちを切り替えるために場所を変える必要がある、と思い、というか本屋に行きたかった、帰ってきていた遊ちゃんにいってくるねと言って、出た、外はもう暗かった。山手通りを走っていると富ヶ谷のところで首相の私邸がある前のところの警備の車両や人員がいつもより多い感じがあって、邪魔、と思った。暗い時間に松濤の住宅街を通るのは珍しいことで、なんとなく交通事故に気をつけようと感じた、以前、ここで車が自転車にぶつかったのを見たというか見たあと目撃者として関与したことがあってそれを思い出した。あの人はその後、元気でいるだろうか。連絡がなかったということは大丈夫だったということだろうか。妊婦さんだった。 丸善ジュンク堂に入って、なにか小説が読みたい気分だった、広さを感じるような、そういうものを読みたかった、『新潮』はまだだよな、と文芸誌のところに行くとちょうど次のが出る直前ということなのか、すっからかんだった、新刊台のところで、新入りたちを見つめた、ジュンパ・ラヒリの、イタリア語で書かれた初めての長編小説、というのがあり、ほう、と思った。それからすぐに海外文学のところに行ってうろうろしていると歩きながら電話をしている男性があって明朗な声で「住所は、渋谷区円山町」と自身の住所を言っていて、聞きながらグーグルマップを開いて検索をして、ふむふむ、お名前は? と思っていると名も言われた。僕が今日探し気味だったのはグレアム・スウィフトの『ウォーターランド』で真野泰訳だった、『奇跡も語る者がいなければ』を8月末に読みたくなって、でもなにか読んだことのないものを、と思ったときに僕は真野泰の訳文が読みたいのではないかと思ってそれで『ウォーターランド』だった、探したが見当たらず、hontoのアプリで見たら在庫はなかった、探し気味程度だったので落胆はそうなかったがどうしようかと思って、先ほど見かけたことでジュンパ・ラヒリに白羽の矢が立って、ジュンパ・ラヒリはこれまで読んだことがなかったから「ラヒリ」というのもおぼつかなくて「ラリヒ」だっけというくらいだった、新しいやつか、それとも名作とのほまれ高いような印象が勝手にあるのか植え付けられてあるのかとにかくある『停電の夜に』にするか考えて、今僕は「停電の夜に」と打とうとしながら「ろうd」と打っていてつまり『朗読者』と『停電の夜に』が僕の中で同じ位置にあるらしかった。読んだことのない、名作とほまれ高い印象の、クレスト・ブックス。ともに文庫にすらなっている。
それで『停電の夜に』にすることにして買ってすたこらと東急百貨店を出た、フグレンに行くと、遊ちゃんの自転車が止まっていて中にいることが知れた。コーヒーを頼んで、見回すと姿があったので、「やあ!」と言って、ソファについて、ラジオをおこなった。終わると原稿に行った、集中できそうな気配をやっと感じながら、すぐに逃げていくような感じだった、少し書いて、ジントニックを飲むことにして飲んで、これでなにかがほぐれて意識が鮮明にならないかと期待したがそうでもなかった、遊ちゃんは仕事を終えたらしく途中で帰っていった、僕はしばらくにらめっこをした末、体裁を整えるだけして平野さんに送って、今日はおしまいにすることにした、10時、出た。出ると、今日はカレーだ! という、10時の発想としてどうなのかなという発想がやってきて、モロヘイヤがあるから、モロヘイヤキーマカレーにしようと、スーパーに寄って肉であるとか必要なものを買って帰って、そのままの勢いでカレーをつくり始めて遊ちゃんをびっくりさせた。

カレーをこしらえながら、遊ちゃんとああだこうだとおしゃべりをして、途中で僕は5分で戻るから少し見てて、とフライパンを任せてシャワーを浴びた、戻ってグレイビーを完成させ、ひき肉を投入し、ヨーグルトがあったので入れて水も入れて、それからモロヘイヤの茎を入れてしばらく煮た、煮詰めていった、5分ほど煮て茎は取り出して、煮詰めて煮詰めて、細かく刻んだモロヘイヤの葉を入れてぐるぐるぐると混ぜたらひきわりの納豆みたいだった。完成だった。たいそうおいしかった。バクバク食べて大満足で、読書の時間を始めた。表題作は、こんな話だったのか、という話で、停電の夜の話で、よかった。次のやつを読み始め、ウイスキーを飲みすぎた、布団に移って、しばらくすると眠った。

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この週に読んだり買ったりした本

ジョアオ・ビール『ヴィータ 遺棄された者たちの生』(桑島薫・水野友美子訳、みすず書房) https://amzn.to/30lC7H6

丹道夫『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』(集英社) https://amzn.to/2ZIpSHr

ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』(小川高義訳、新潮社) https://amzn.to/30YAeRd

ティム・インゴルド『ライフ・オブ・ラインズ 線の生態人類学』(筧菜奈子・島村幸忠・宇佐美達朗訳、フィルムアート社) https://amzn.to/2K4drfs

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