読書の日記(3/25-31)

2024.04.05
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抜粋

3月25日(月) 

パソコンを開き、昨日までにやらなければいけなかった振り込みをしていなかったことがわかり、こんなことまで抜けるか、と思う。くよくよしても仕方ないので振り込みを済ませて今週の仕事を組み立て、隣のテーブルの女の人の話し方が耳障りで、常に人を責めるような口調で、相手の人はこれよく聞いていられるなと思う。僕は聞いていられないので「無伴奏チェロ組曲」で耳に蓋をしてしっかり働く。だんだん頭が動いていく感じがあって悪くない感じ。このまま夜中まで働けばまともに働いたことになるのでそうしようと思う。始動が遅かろうと終わりを遅くすればいいわけだ。でも始動が遅いのは気持ちにはよくないから、やっぱり午前中にミーチングという強制始動スイッチを置いたほうが僕にはよさそう。強制力のない起床というのは夜型の人間がもっとも不得手とすることではないだろうか。他の人は知らないが僕はどうもそうでそうならそうと受け入れてそれを回避する手段を持つことだ。意思じゃ無理。

3月26日(火) 

予定があるのはいいことだ。10時前には起きてニュースを開いて大谷翔平の会見全文を読む。すごいなあ、と思う。29歳でこんなに大変なことを世界中に向けてしゃべってるんだ。本当に立派なことだ。読むとこれまでにはなかった情報も入っていて、大谷が賭博に関わった疑惑があることがメディアから代理人たちに伝えられると、一平さんはその賭博が自分と関わりのあるものではないことにした。ある友人の借金の肩代わりをしたと翔平が話している、と代理人に一平が言った、と大谷。こう書くとベルンハルトみたいで、とシェラーにエーカー。『アムラス』のふたつめの「行く」だ。すこぶる面白かったやつ。
だから一平さんがついていた嘘、大谷を通さないでつくりだした大谷の発言、そういうものがあるということだが、それにしてもやっぱり返す返すというか、危機管理対応担当者という人が仕事をしていなかったことにならないか。某友人の肩代わりをしたと大谷が言った、と代理人に水原。

3月27日(水) 

生活がぐちゃぐちゃ。ここのところ寝る時間が遅くなっている感じがする。4時に寝て12時に起きて快眠。うどんかなと考えたがよく考えたら時間がないことに気づき愚か。急いで家を出、下北沢、ミーチングふたつ。Gatherに映った佐藤くんの背景が妙に広々していて海の街にいるみたいに見えた。実際はボーナストラックで僕の目の前にいたのだが。

3月28日(木) 

帰り、ビール。ハンバーグとキムチと菜の花きのこ炒め。リヴァプールの今季の最初のほうの試合を見てみることにして第3節のニューカッスル戦を見ながら食べた。今とどう同じでどう違うのだろうと思い。意外なことに遠藤はもう先発していた。メンツはそんなに変わらず、でもブラッドリーとかエリオットの影はないような感じだった。ヌニェスではなくガクポだった。その試合をぼんやり見ながら食べ、食後は5分のアラームを掛けてストレッチをおこない、そして寝。『2666』。ハースは中庭。
目を開け、中庭の向こう側の日なたで草を食んでいるようにうろついているバイソン団員を、夢を見ているかのように眺めた。バイソンが刑務所の庭で草を食んでいる。そう考えると、即効性の鎮静剤を打ったように気持ちが落ち着いた。 ロベルト・ボラーニョ『2666』(野谷文昭、内田兆史、久野量一訳、白水社)p.544
刑務所の中にもっとも穏やかな時間が流れる。塀の外では死体が見つかり続ける。ただただ死体が見つかる街の話の何がこんなに面白いのだろうと思うがただただ面白い。何がそうなのかわからないが、『2666』はボラーニョ作品の中でももっともキャッチーだと感じる。気づいたら4時。

3月29日(金) 

店には山口くんしかいかなかった。伝票を見ると悲惨な金曜日で、3月29日金曜日、これって、ザ・年度末、年度末最終日みたいな日だろうか。そういえば昨日は遊ちゃんも送別会に参加とかで新宿に行っていた。今ごろは全員が誰かの送別にかこつけて酒を飲んでいるところだろうか。
山口くん上がり、コーヒー淹れてブラウニーを皿に用意し、プロ野球が開幕した。試合の途中経過を見、それから何かザ・年度末で極端に暇みたいなツイートをしようかと思っていたその瞬間にお客さんが立て続けにあって7時半、ここから閉店までノンストップでめちゃくちゃに働いた。びっくりした。

3月30日(土) 

心細い気持ちになりながら歩いて、家に着くとひっそりと静まっている。部屋を覗いて歩いていくと最後に見た寝室に遊ちゃんがいて昼寝をしていた。メガネをつけたままで耳にもイヤホンが挿さっていて、まるで今も読んでいるような感じで目の前には『エイヴォン記』があり、少し離れたところには裏側になったパソコンが置かれている。ただいまとひそひそ声で言ってみても動じず、ずれた毛布を掛けながら足を撫でてもまるで起きず、ぐっすり眠っているようだった。あたたかい気持ちに満たされた。それからお湯を沸かしてうどんを茹でて冷やして食べ、ソファに横たわって野球の情報を見たり。

3月31日(日) 

ハーフタイムでシャワーを浴び、ご飯が炊けたのでかき玉汁と冷奴を用意してお刺身をお皿に盛ってみるとやっぱりずいぶんな量で、冷奴は今日は塩とごま油にした。それで食べながら後半戦を見てリヴァプールが勝った。お刺身が少し残って、全部食べるとやはり脂っこいような気もし、明日遊ちゃんに食べてもらおうかなと思ってラップを掛けて冷蔵庫に。試合終了後の30分は黒字化に向けた収支計算をしていて頭が数字になっていって、そのまま続けたい気持ちにもなったが12時半からアーセナルとシティの試合が始まるのでそれも見始めて、なんとなく前半だけで終わりにしようかなと思いながら、漫然とした気分で見、さっきまで見ていたスプレッドシートが頭にちらついて気を取られながら、見、ゆっくり攻めるシティ、しっかり守りを固めるアーセナル、という試合でゆっくりしたテンポで、さっきの試合とは違う時間の流れ方だった。ハーフタイムはまたスプレッドシートを見て過ごした。
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