本の読める店

「会話のない読書会」後記(要約:ガチでグルーヴィーだった)

Entry blog fuzkue391

昨日は「会話のない読書会」の第一回だったわけなんですけど、とても楽しみにしていたんですけど、それでやってみたんですけど、僕の感想はなんというか極めて個人的というか僕ゆえみたいなところが非常に大きいものになったのでひとまずエゴ&サーチしたものペタペタ貼り付けますね。

あ!これ自分のツイートだ!ほんと手前味噌にもほどがある感があって非常にいいんですけど。仕切り直しで。

途中で「読書会直接は関係ないけどおいしいコーヒーが飲めるよみたいな宣伝も兼ねちゃえ」みたいなのも入れちゃったんですけど、昨日はアンケート用紙もお配りしていくらか書いていただけて、そこで何人かの方が書いてくださったのが「人見知りゆえしゃべらないで済むのは安心感があった」ということで、いやほんとそれ〜、と思いました。コミュニケーションの圧力がないというのは本当に気楽でいい。よかった。そう思ってくださる方が僕だけでなくてよかった。

で、ここからは僕の感想なんですけど、昨日はひきちゃんの独(り)立(ち)記念日だったので基本的にオーダーはひきちゃんに全部任せようと思っていたのだけど、最初にいくらかまとまってオーダーが入ったところで「あ、やっぱりこれちょっと手伝おうかな…」となってしばらく手伝って、たぶん20分過ぎくらいから席について読みはじめた。
最初のうちはひきちゃんの動きが気になって「大丈夫かな、今あれやってる感じかな」とか思ったりして、全然本に集中できなくて、やっぱりこれ俺は楽しむの立場上難しいかもなとか思っていた。しかもなんか眠くなってきて、「えーなんか眠いんですけどーーー客席で船漕ぐ店主とかまずいだろーーーwww」と思ったりしながら、ポヤポヤとページをめくっていた。
ひきちゃんの動きがなんだか落ち着いているふうに見えたときがあったのでコーヒーとサンドイッチをオーダーして、コーヒーが来て、飲んで、おいしくて、これおいしくて、とか思っているうちに次第次第になにも考えず本を読むようになっていって、少女の夢中を、少年の熱中を喜びながらページをめくっていた。たとえこれからそうとうな艱難辛苦が待ち受けていそうな雰囲気が露骨に見えていても、それでも喜びながらページをめくっていた。

すると57ページのことだった。少女が父親から誕生日プレゼントをもらう場面にぶつかった。その本は『海底二万里』だった。
「「書店主からは上下巻あると言われたよ。それが上巻だ。貯金していけば、来年に下巻を――」
彼女はもう読みはじめている。」
なぜかそこで、僕は、なぜかそこで僕は。手と目がぴたりと止まって。僕はもともと登場人物が本を読む場面がある小説はすごく好きで、それは僕が本を読むのが好きだからなんだろうと思うのだけど、こうやって矢も盾もたまらず本を開く感じ、がすごくよくて、それでふと今のこの、自分の環境を考えたときに僕も『すべての見えない光』を読みたいなと楽しみにしていて、そして次第にウキウキしながら読んでいて周りを見れば、見ずとも同じように何かしらの理由でこの本を読みたいと思った人たちがいてそして読んでいて、10人全員が同じ本を読んでいてこのフヅクエという、本を読む人のために作った場所で「本を読むんだったらこれが最高でしょう?」と思ってととのえた環境のなかで10人全員がおそらくその環境を享受しながら同じ本を読んでいてというその事実に突き当たって僕は。この瞬間フヅクエという空間は僕が思い描いていたおそらくもっともピュアな状態を具現化していて僕は。泣き虫なのでしかたがないんですけど、極めて感が極まってしまって、「やべー涙がとめどなくあふれてくるwww」と思って、「フヅクエ店主客席で涙止まらないwww」と思って、落ち着いたかなとか思って本に目を戻すとまた涙があふれてくるようで、もうちょっとどうしようもなくなったので外に煙草吸いに出ることにしてスマホを出したら日ハムが最終回で逆転されて負けていたがマーティンを責めることは僕にはできない。

席に戻ってまた読んで、すると「あ、もう」という感じで終了の10時半がやってきて、終了を告げるために立ち上がるも、立ち上がって見回すも、まあ読んでいらしてみなさん、そういう会なんでそりゃそうなんですけど。それでいつ声を出そうかとか2分くらい迷ったあとにおずおずと「えーと、10時半になりました、まああのあとはお好きなように…」と言ったところ多くの方がしばらくそのまま読み続けることを選んでいて、笑ったというかすごくよかった。切りが良いところまでね、読みたいよね。とか思って。それで僕もまた席に戻ってしばらく読んだりして。
そもそも始まりも「えーとそれじゃあ始めます、といっても始めるも何もないんですけど、まああの、お読みください…」とか言って、すでに本開いている方もおられる中でのよくわからない開会宣言みたいな感じになって、始まりも終わりもなしくずし、みたいな、とてもそれはいいものだと思いました。いいのかどうかしらないけど、気楽でよかった。

まあそんなわけで第一回すごくよかったのでこれから乱発しようかと思っておりまして第二回の告知の記事を夜中3時くらいにアップした。こちらです。→「会話のない読書会 保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』」

たいへんよいのでふるってご参加ください〜〜〜という話でした。

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